ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムの育て方

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムの育て方

和名はアリウム・シクラムですが、アリウムの仲間ではありません。ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリスは、現在ではネギ科ネクタロスコルダム属に分類されていますが、かつてはアリウムの仲間とされており、アリウム・シクラムと呼ばれていました。

育てる環境について

環境としては寒冷地が最も適していますが、広い地域で育てることができます。育て方はプランターや植木鉢に植えるか、花壇への直植えです。水はけが良く有機質に富んだ土壌で育てると良いでしょう。生育中は乾燥した環境があまり得意ではないので、半日陰になるようにしながら育てます。

特に西日に当たらないように気を付ける必要があります。耐寒性に優れているので極寒地でも冬を越す時の心配はいりません。むしろ気を付けるべきは夏を越す時です。東北地方や北海道といった夏でもある程度涼しい地域では問題ありませんが、関東以南の地域では、

夏を越せずに球根の部分が腐ってしまうことがあります。そのため、特に温暖な中国地方、四国地方、九州地方の平地では、地上部が枯れた時点で球根を掘り上げ、乾燥貯蔵して夏を越す方が安全です。関東以北では植えたままにしておいても問題ありません。

基本的には環境さえ合えばほとんど放置した状態でも毎年開花する品種です。そのため、ほとんど植え替えの必要もなく、何年間も同じところに植えっぱなしで栽培することも珍しくありません。それなりに草丈があるので、花壇に植える時は後方に配置して花壇の背景とすると良いでしょう。

ほとんど全面が緑色なので、どんな色の花とも合わせやすい品種です。また、下向きに花をつけるので、花の色を楽しみたい時はプランターや鉢植えにして園芸棚などを設置したうえで高い位置に置くと良いでしょう。

種付けや水やり、肥料について

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムは、球根種なので種ではなく球根で植え付けます。植え付けの適期は9月から11月です。寒冷地では10月までの間に終わらせた方が良いでしょう。温暖地で夏に掘り上げて避難させた球根を植え直すのもこの時期が適しています。

基本的に植え替えの少ない品種なので、寒冷地では特に植え付ける時の土壌の質が生長に直接影響します。水はけの良さと有機質の豊富さが必要なので、土は十分に耕し、水はけの良い赤玉土と、腐葉土や完熟堆肥といった有機質を豊富に含んだ土を混ぜ合わせて使います。

植える際には各球根の間隔を15cmから20cmは取るようにして、地表から10cmほどの深さに植え付けます。また、今後の生長を助けるための元肥として、緩効性の肥料も併せて与えましょう。水やりについては、葉が伸びてくると乾燥を嫌うようになり、欲しがる水の量が増えてくるので、

地面が乾かない程度に与えます。できることなら、早朝や日が落ちた時間帯などの涼しい時間に与えた方が根への負担が少なくて済みます。特に夏場は、日が高くなる昼前から夕方にかけての時間帯の水やりは避けてください。花が終わって地上部が枯れて球根だけになった場合、

ほとんど水分を要求しなくなります。その場合は腐らないように乾燥気味にしましょう。肥料については、植え付ける時の元肥だけでも事足ります。土の中に混ぜ込むタイプの肥料は植え付けや植え替えの時しか使えないので、それ以外の生育期間や開花中などに与える場合は、液体肥料を与えると良いでしょう。月に1、2回程度与えると、花の付き方が良くなります。

増やし方や害虫について

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムの増やし方は、分球が基本です。球根以外には種子も簡単に採種することができますが、種蒔きから開花までに5年は必要になるので、増やし方としては分球の方がより現実的です。また、すでにある株が窮屈になる前に株分けするという意味でも、分球の方が良いでしょう。

放置しておくと翌年には株の脇から次々と芽を出してしまいます。増えることには変わりありませんが、ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムは大きな葉を広げるので、何年も経つとそれぞれの葉が込み合って育成不良を招く恐れがあります。開花時にも大きく場所を取るので、単純な増殖方法としてはもちろん、

健やかな生育のためにも外観保持のためにも必要な作業です。分球は地上部が枯れたら行います。温暖な地域では避暑のために掘り上げるついでに行いましょう。その年に芽を出していた球根を中心に複数の球根ができているので、ひとつひとつ丁寧に取り分けます。

3cm程度の大きさになっているものが特に望ましいでしょう。取り分けた球根は土を落とし、日陰で軽く乾燥させます。その後は、干からびないように程良い湿度のある環境で植え付け時期になるまで保管してください。砂の中に埋めておくようにすると、腐らない程度の通気性を確保しながら球根の水分の蒸発を防ぐことができます。

植え付け時期になったら、最初の植え付けと同様に水はけの良い有機質に富んだ土に植え付けます。ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムには特に警戒しなければならないような病気も害虫もありません。適した環境であれば問題なく生育できます。

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムの歴史

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムは、ブルガリアとトルコを原産国とする大型の植物です。広葉樹林や牧草地などの高地、または寒冷地の人里周辺を生息地としています。ブルガリカムの部分は省略されて呼ばれることが多く、ネクタロスコルダム・シクルムとも呼ばれます。

和名はアリウム・シクラムですが、アリウムの仲間ではありません。ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリスは、現在ではネギ科ネクタロスコルダム属に分類されていますが、かつてはアリウムの仲間とされており、アリウム・シクラムと呼ばれていました。

その後分類の変更に伴い改名して現在の名前になったものの、日本ではアリウム・シクラムの名がすっかり浸透しており、和名として定着しています。また、科名も分類によってはユリ科とされることがあります。属名のネクタロスコルダムは蜜を意味する「nectar」とニンニクを意味する「scordoprasum」の合成語を語源としています。

その由来は、花に甘い蜜を持つことと、ニンニクに似た外見を持つことからきています。茎や葉を折るとネギ科特有の匂いが香るので、原産国ではハーブとして料理に用いられていたこともありました。日本では園芸向きの品種として一般に流通し親しまれています。

しかし、ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリスの名前はあまり浸透していないので、園芸市場での流通名はいまだにアリウム・シクラムとなっている場合が少なくありません。また、北海道の冬にも耐えることができる耐寒性を持ちながら、比較的暖かい場所でも栽培できるので、全国各地で栽培されています。

ネクタロスコルダム・シクラム・ブルガリカムの特徴

草丈80cmから100cmほどの大型で、たくさんの花茎を伸ばし、1本の花茎から複数の花を咲かせます。日本での開花時期は6月頃で、期間は1ヶ月ほどです。花が開く前の蕾の段階ではすべての蕾がひとつの大きな薄い苞に包まれていて、開花時期になると苞が開き、徐々に垂れ下がります。

苞は上に向かって先が尖っていて、ロウソクの炎のような形です。蕾はティアドロップ状で釣り鐘状に開き、花は外側の部分はやや褐色寄りの緑色で、内側はクリーム色の下地にピンクに近い紫が入っています。釣り鐘状なので花は下を向いて咲くため、外見上は緑の部分が目立ちます。

花からは甘い蜜が分泌されており、開花期には甘い匂いがします。花茎は細くヒョロヒョロとしていますが、茎の先から複数の花が垂れ下がる姿はシャンデリアに似ていて、とても存在感があります。葉はニンニクの葉に似ていて、大きくて細長い形です。

茎や葉にはイオウ化合物を含むので、手折るとネギ科特有の独特な匂いがします。また、球根種ですが花が終わると種子をつけます。球根性の多年草で、一度植え付けると何年も続けて栽培することができます。球根が生きていれば、地上部が枯れても再び芽を出します。性質としては、非常に強い耐寒性が特徴です。

-20℃の極寒にも耐え抜くので冬を越すのが容易で、日本の寒冷地の厳冬にも耐えられます。そのため、関東以北の寒冷地での栽培に特に適しています。また、暖かい場所でも生育できるので、関東以南の地域でも栽培することが可能です。ただし、もともと寒冷地原産の品種なので、蒸し暑い環境は得意とは言えません。そのため、寒冷地と温暖地では育て方が多少異なります。

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