イチイの仲間の育て方

イチイの仲間の育て方

イチイの仲間は日本を含め世界各地に生息地があり、日本も沖縄を除くほぼ全土がイチイの原産地となっています。その発生は「古生代」という、恐竜が現れるよりも古い時代まで遡る事ができます。

イチイの仲間の育てる環境について

イチイの仲間の栽培は、庭木として育てるのであれば、植える場所や土質を特に厳しく選ぶ事はありません。耐陰性に優れていて、自然に生えている樹木も母木のすぐ下で芽吹いている事がある程です。群生している地域も比較的光量の少ない場所である事からわかる通り、涼しい場所で育てるのに好ましい樹木です。

また、耐寒性に優れた樹木であり、東北や北海道等の寒く雪深い地域でも耐える力があります。特に北海道で庭木として広く用いられている様に、寒い地域でもよく育つ樹木です。寒い地域で育てられる理由には、耐久性の高さという点も見逃せません。丈夫な木ですから、雪が多く積もっても耐えられる強さがあります。

庭木としては比較的環境を選ばず育つため、栽培する場所を選ぶのも簡単ですが、樹勢良好に育てたいのであれば、西日の当たらない陽射しの穏やかな場所を選ぶべきです。風通しの良い場所を選べば害虫も発生しにくくなります。避けた方が良い環境は、陽射しが強くて暑く、風が強く当たり過ぎる場所です。

陽射しと風が強いと乾燥しやすくなり、イチイの仲間が枯死や育成不良になったり、腐ってしまったりと、トラブルが発生しやすくなります。土は肥沃で水はけの良い物で育てると上手く栽培できますが、高植えの様に乾燥しやすい植え方は避けた方が良い場合もあります。イチイの仲間が地中の水分を取り込めなくなると、枯死や生育不良の原因となりますので、気を付けなければいけません。

種付けや水やり、肥料について

イチイの仲間は種や苗木から育てる他にも、挿し木から育てる事ができる樹木です。種から育てるのであれば、種の入手が問題となります。既に結実するイチイが育っているなら、秋に成った実から種を取ってまくと良いでしょう。種をまく場所は影になっている場所を選び、乾燥しにくい場所で育てれば芽吹きやすくなります。

発芽まで時間がかかる特徴がありますので、2回か3回、越冬して芽吹くものと考えて根気良く待つのが大切です。苗木から育てるのであれば、1年を通じて植え込みができます。樹勢を強く育てたいなら春から初夏、秋から初冬にかけての間が適切なタイミングです。

苗木から育てるのであれば、木がしっかり育つまでは水やりに気を付けます。土が乾燥しないように気を付けて、表土が渇いているのが見えたら、水やりをすれば上手く育ちます。挿し木で育てるのであれば、春先と梅雨の時期、秋口が適切なタイミングです。

挿し木の入手時には雄株か雌株かを選ぶ必要がありますので、業者から購入する場合は、雄株と雌株を選べる業者から購入すると良いでしょう。剪定や刈り込みをした枝を植える場合は、枝の先端を選んで植えると樹勢良好に育ちます。

イチイの仲間を育てる為に施肥するには、肥沃で水はけが良いように心がけ、有機質を多く含む土壌に仕上げます。施肥は春先と秋口を選んで行いますが、鉢植えで育てる場合は初春と初夏と初冬の3期間に分けて与えると上手く育つものです。

増やし方や害虫について

イチイの仲間を増やすには3つの方法があり、1つ目は種子を採取してまく方法です。結実するまで育った雌木からは種子が多く取れますから、増やすのも簡単です。ただし、種をまいてから発芽まで2年か3年かかる事もあります。また、種子は乾燥すると発芽しなくなりますので、保管中は保湿が必要です。

2つ目は挿し木で育てる方法で、種子を採取する方法に比べて芽吹くまで待つ必要がありません。挿し木をする際は、枝の先端を利用します。それ以外の枝で挿し木をすると、育ち具合が悪かったり、木が真っ直ぐ伸びなかったりと、トラブルの原因になるので注意が必要です。

3つ目の方法は取り木をする方法です。既に育っているイチイがあれば比較的簡単にできて、失敗しにくく木も枯れにくいと、増やす方法として安定しています。ただし、種や挿し木の方法と違って、一度に沢山増やすのには向いていません。

イチイは病害に強い樹木ですが、カイガラムシにやられると枝や葉に糞が溜まって、すす病が発生しやすくなります。カイガラムシは発生してから全体に広まるまで時間がありますので、発見次第、樹皮を傷つけないように取り除けば安全です。

また、幼虫の時期は殺虫剤が効きますので、時期を見計らって利用すれば効率的な駆除ができます。ミノガ類もイチイの仲間につきやすい害虫の1つですが、カイガラムシ同様に幼虫の時期に殺虫剤を利用するのが効率的です。ミノガを放置すると毎年数が増えていきますので、駆除は1匹でも見かけた時にすぐに始めます。

害虫としてはナガチャコガネにも注意が必要です。幼虫が好んでイチイの仲間の根を食べるので、場合によっては根の防除対策が必要です。成虫も6月の終わり頃、日没からしばらくの間に活動が盛んになりますので、発見次第、駆除する事で産卵を予防できます。また、イチイの仲間は実のくぼみに小さな蜘蛛が潜んでいる事もありますので、採取の際は注意が必要です。

イチイの仲間の歴史

イチイの仲間は日本を含め世界各地に生息地があり、日本も沖縄を除くほぼ全土がイチイの原産地となっています。その発生は「古生代」という、恐竜が現れるよりも古い時代まで遡る事ができます。古来人間に活用されてきた歴史もあり、

学名の「タクサス」の由来が古代ギリシャ語の「トクソン(弓)」に由来する事からもわかるように、人間との関わりが深い歴史を持っている樹木です。イチイの仲間の歴史上、弓の例を挙げると、アルプスで発見されて話題となった5300年前のミイラ「アイスマン」が持っていたのは、イチイの仲間で作った弓でした。

また、イギリスでかつてロングボウの材料として利用されたのもイチイの仲間です。日本ではアイヌ人から「クネニ(弓の木)」と呼ばれ、やはり弓の材料として活用されてきました。また、イチイの仲間は人間の文化にも影響を与えてきた歴史があり、

例えば、ヨーロッパでは北欧の神話やケルトの伝説に登場する需要な役目を持つ樹木の1つは、イチイの仲間です。イチイと人間との関わりの歴史は現代にも続いています。例えば工芸分野では飛騨地域の一位一刀彫という伝統工芸に使われる木材はイチイの木と決まっていて、

イチイの仲間が持つ木材としての色合いが重宝されています。また、イチイの仲間は古くから薬品として利用されてきた歴史もあり、現代でも漢方薬やがん治療薬等に活用されている樹木です。ちなみに、日本における「イチイ」という和名は、古代時代に朝廷へ献上されて、笏に使われた事をきっかけに爵位の「一位(イチイ)」にちなんで呼ばれ始めたという説があります。

イチイの仲間の特徴

イチイの仲間は冷温帯性で、生息地は地域によって異なる木です。暖かい地域では山地を生息地としていますが、北海道や東北北部のように寒い地域では平地が生息地となっています。イチイの仲間は常緑性ですから、庭木として栽培した場合、見栄えの良い状態を保ちやすい特徴があります。

また、日光が弱い場所でも育ちますので、植える場所を選ばないのも良い特徴です。耐寒性もありますから、雪が高く積もる地方でも栽培できる樹木です。剪定によく耐える為、初心者向けの樹木の1つと言えるでしょう。生命力が強く、特別に手入れをしなくても元気に育つ為、手のかからない良さもあります。

ただし、成長が遅い為、大きく育てるには根気が必要でしょう。成長すると10m以上の高さになりますが、種類によっては3m程度の高さでおさまる物もありますので、庭のサイズに合わせて選択できます。刈り込みにも強いので、生け垣を作るにも適していますが、

それ以外にも盆栽として栽培する育て方もできますので、栽培の楽しみ方が多様な樹木と言えるでしょう。イチイの仲間は雌雄異株ですから、雄株と雌株によって花の付き方が異なるものです。開花の時期は春で、丸くて小さな黄色く花が鈴生りの様に咲きます。雌木は葉の裏側に咲き、一見、木の芽の様に見える変わった花です。

結実の時期は秋であり、枝中に赤く小さな赤い実が成ります。蜜の様に甘いので、そのまま食べる他にもジャムに加工するにも使えるものです。ただし、実の中に埋まっている種は毒がありますから、一緒に食べてしまわないように気を付ける必要があります。

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