トキワサンザシの育て方

育てる環境について
元々の原産が、原産地は東ヨーロッパや西アジアであることから、その地帯における気候や土壌に似た環境を好みます。しかし、そうした地域が日本の環境と比較的近いこともあって、日本においてはあまり土壌について気にする必要はありません。あえて言えば、水はけの良い土質ということになるでしょう。とは言っても極端に乾燥するようなところは避けるようにしてください。
基本的には、日当たりがよく、風通しが良いところがお勧めです。ある程度、耐陰性もあるので、日陰でも育てることは可能です。ただし、その場合には、花つきが悪くなってしまうため、実をつけることもほとんどなくなってしまいます。庭木にする場合には、ある程度広い場所を確保して、一本植えをすると非常に見栄えがします。
自然な樹形で成長させると、見事なくらい実がたくさん付いて見応えがあります。芝生の真ん中等に植えるとより一層見応えのある姿を見せてくれるようになります。ただしある程度は、形を整えるために剪定してあげる必要があるので、お手入れは必須となります。また耐寒性がある方ではありますが、
東北や北海道のような寒冷地の場合は、露地植えするのは難しいと思っておいた方が良いでしょう。剪定に適した時期としては、大体6月頃から9月にかけて行うのが良いでしょう。基本的な方法としては、徒長枝を切り戻すのが中心作業となります。もし実付きを重視するのであれば、8月を過ぎたら刈り込まないようにしてください。
種付けや水やり、肥料について
育て方としては、苗木から行うのが一般的です。植え付けに適した時期というのは、春期であれば、3月から4月ごろ、秋期であれば9から11月ごろが良いでしょう。寒冷地で、地面が凍結するような場合には、春の暖かくなる時節を待ってから植え付けを行うようにすると良いでしょう。鉢植えの場合は、苗木が鉢の中で根でいっぱいに張るようになってから植え替えを行うようにします。
そこからさらに樹を大きくしたいという場合には、もう一回り大きな鉢を用意して、それに植え替えを行うようにします。反対に、もうそれ以上大きくしたくないというような場合、根を切り詰めます。大体一回り程度、小さくなるように切り詰めを行いますが、その時、同時に枝も短く切り詰めて、鉢に植えると良いでしょう。
水やりについては、庭植えの場合、植え付け直後の苗木については土の乾燥に注意してあげてください。それ以外は、雨の降らない日が続いて乾燥が激しいような場合以外は、水を与えなくても大丈夫です。鉢植えは土の表面が乾くのを待ってから、その後にたっぷりと水を与えるようにします。す。特に春から秋にかけての生長期は、乾燥させ過ぎないように注意してください。
肥料については、庭植えする場合には、ほとんど与える必要はありません。与える場合には、冬に油かすと骨粉を少し混ぜたものを株元に適量与えれば十分です。鉢植えの場合は、花が咲く前の3月から4月、開花後の6月から7月、実が色づく前の8月から9月の時期に、粒状の化成肥料を施すと良いでしょう。ただし肥料を多すぎると徒長枝が増えてしまって、実付きが悪くなってしまうことがあるので要注意です。
増やし方や害虫について
トキワサンザシは、さし木で増やすことが可能です。適期は6月上旬から9月ごろにかけてとなります。その年に伸びた枝の先端を10センチから15センチ程度の長さに切り取って、これを土に挿します。土は、赤玉土がお勧めです。赤玉土は、関東ローム層の赤土を乾燥させたもので、通気性・保水性等に富むことから、園芸で万能に使える用土として昔から使われています。
これにさす事によって、太めの枝でも比較的よく根を出します。市販されている赤玉土の中には、硬質赤玉土というものがありますが、これは赤玉土とは別ものなので、購入の際にはご注意ください。またトキワサンザシは、病気には強い性質を持っているため、日当たりと風通しさえ確保していれば、あまり心配する必要はありません。
ただし害虫については、春先にアブラムシが発生する可能性があります。アブラムシは葉の裏等に大量に発生して、草木の栄養を吸引してしまいます。なるべく早期の段階で発見して駆除するようにしましょう。また初夏から秋の時節には、ハマキムシが発生する可能性があります。ハマキムシは2センチから4cmの幼虫が、糸をはいて葉を袋状に丸めてしまいます。
また何枚かの葉をくっつけ、その中で葉を食害していきます。もし被害にあった場合には、葉ごと幼虫を取り除くと良いでしょう。薬剤では浸透移行性剤のオルトラン水和剤かスミチオン乳剤が効果的です。スミチオン乳剤を使用する場合は、中にいる虫にかかるようにたっぷりと散布することが大切です。
トキワサンザシの歴史
真赤な赤い実と濃い緑の葉を豊かに実らせるトキワサンザシは、バラ科の植物で、トキワサンザシ属です。学名をPyracanthacoccineaと言い、日本でもピラカンサと呼ばれることがあります。こちらの名前の方がよく知られているかもしれません。もともとは、東ヨーロッパ方面から西アジアにかけての広い範囲を生息地とする常緑の低木です。
日本における歴史は、17世紀頃にヨーロッパに広まったものが、明治中頃に文明開化化の流れに乗って渡来してきました。明治時代にもたらされた温室の出現によって、もともと植物を育てるのが好きだった日本人に、ちょっとした外来種ブームを引き起こします。大隈重信の温室や、横浜のポーマ商会の温室等が今も残されており、
当時の流行を今に伝えていますが、ピラカンサも当時の流行に乗って日本にもたらされたのでしょう。和名の由来は、アジアに古くからあるサンザシに似ていて、常緑樹であることからきています。現在では、沢山の種類との交配が繰り返された結果として、沢山の園芸品種が登場しています。
六月頃に咲く美しい白色の花と、真っ赤な紅色に熟す沢山の実が非常に美しい植物です。またその濃い緑色の葉と熟した赤い実とのコントラストが明治の人々にも愛されて、庭木として植えられることが多かったのですが、そうした人気の結果として、栽培されていたものが、いつの間にか野生化して、今では自然の中においても、トキワサンザシを見掛けることができるようになっています。
トキワサンザシの特徴
トキワサンザシの樹木の高さは、数メートルから7メートル程度まで生長するものがあります。枝はそう密集する程ではないため、家の周りにおいて生垣として用いられることは、あまり多くありません。バラ科らしく、枝の先端部分が、やや刺状になるのですが、触ってみても痛いほどのものではありません。また若枝には、よくみると毛が生えているのがわかります。
観葉植物としても十分通用する美しい緑色の葉は長さ4センチ程度、幅2センチ程度で、細めの卵形をしています。ただそうした葉の中に、時として楕円形の大きな葉が出ることがあって、これもこの木のちょっとした魅力になっています。葉の縁部分は低い鋸歯状のギザギザがあります。同属にタチバナモドキやヒマラヤトキワサンザシがあり、
主に実の色によって区別しますが、同系色の実を持つ同属の植物は、区別するのが非常に難しく、一般の素人にはほぼ見分けることはできません。六月頃になると、枝先に柄のある花が沢山ついてきます。花は直径1センチ程度の小さな白い花です。花弁と萼片はそれぞれ5枚ついています。花が終わると、その後に球形の、
子房以外の箇所が加わってできている果実が出来ます。これを偽果と言います。これが段々と日を越える毎に熟していくようになり、十月から十二月の寒くなる季節に合わせて、鮮やかな紅色に変かしていくようになります。学名の種小名である、coccineaはギリシャ語で「紅い」という意味なのですが、この熟した実を見れば納得できることでしょう。
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