雪割草の育て方
育てる環境について
高山植物と聞くと、育て方が難しいと思われがちですが、きちんとした環境で育てれば、初心者の方でも育てることができます。どの植物にも言えることですが、その植物の育ってきた環境を再現することで、栽培も可能になります。雪割草に適した環境は、季節によって異なります。まず、つぼみの時期は、日当たりのよい場所に置くようにします。
この季節に、日あたりのよくない日陰などに置いておくと、花茎が伸びてしまい、見た目が悪くなります。ですので、移動可能な鉢植えにすることで、綺麗な花を咲かせることができます。また、花が咲いたら雪や雨を避けて日陰に置くと花が長持ちして、長い期間楽しむことができます。次に、花が終わったら、花を切ります。
これは、灰色カビの予防になります。夏場は、日差しが強いので、直接日光が当たる場所に置いておくと、葉焼けを起こしてしまうので、日陰や木の下などの置いておくのがいいようです。秋から冬にかけて注意しなければいけないのが、乾燥です。もともと、雪の多い地域に自生していたので、冬の季節は、雪の下になっています。
雪が乾燥から保護してくれる役割を果たしていますが、雪が少なく風が強く吹くような地域では、冬場は、風から守れる場所に置くことで乾燥するのを防いでくれます。少し春を感じられるような季節になれば、日の当たるところに置くようにしますが、やはり風が当たらないようにすることが大切です。ですので、急に風が強くなってきたら、風よけをするようにします。
種付けや水やり、肥料について
しっかりと育てたい場合、迷うのが水やりや肥料についてです。たくさん必要な植物もありますし、与えすぎると枯れてしまうものもあります。雪割草の場合、自家受粉で種を付けますが、種類によっては、人の手で受粉させなければいけないものもあります。自然に土に落ちた種は、12月から3月ごろに発芽します。雪割草に使用する用土は、鹿沼土の小粒がいいようです。
湿り気のある斜面などに自生するため、水はけがよくそして、水持ちのいい土を好みます。水やりについては、一年を通して極端に水切れして乾燥してしまったり、逆に過湿になってしまうのを避けなければいけません。高山植物のため、高温多湿に弱いので、夏場は水のやりすぎに注意が必要です。
ですので、気温が高すぎる夏は、夜間に水やりするのがいいようです。そして、肥料のやり方にも注意が必要です。肥料は花が咲き終わった後、肥料を1週間に1回与えますが、チッ素分の多い液体肥料を与えます。夏場は、肥料を休み、10月~11月頃にまた、チッ素分の多い液体肥料を与えます。また、秋は、花芽の充実するじきになります。
ですので、花芽を大きく育てたい場合は、液体肥料とは別に固形や粒状の有機肥料を与えるのもいいようです。もし、葉の色が悪くなったりしてきた場合は、病気を疑う前に、肥料のやりすぎなどを考えましょう。植え替えをしなくても、数年耐えられる植物です。ですので、葉の色が悪くなったり根っこが枯れてきたなど見られたら、肥料を減らしてもいいようです。
増やし方や害虫について
雪割草をせっかく育てたら、やはり増やしてみたいと考えます。増やし方は、それほど難しくはありませんが、きちんと時期などを考えて行うことが大切です。鉢が小さくなってきたりすると根腐れなどの原因になってしまいます。そうなった場合は、株分けをすると増えていきます。季節は、9月頃が最適です。雪割草を鉢から出し、優しく用土を落とします。
この時、根が乾かないように注意しましょう。ただし、根が乾かないようにと水につけてしまうと根が絡まってしまうので、鉢から取り出したら根を切らないように素早く作業を行うことがポイントとなります。用土を取り除いたら、根を湿らせます。株を分けたら、鉢に植えます。また、育てていて気になるのが、病気です。
病気の大きな原因は、害虫です。葉の裏側が褐色になって、葉の表面が黄ばんできたらハダニが原因です。そのままにしておくと、やがて葉が枯れてしまいます。ハダニの被害を防ぐには、梅雨明け前から殺ダニ剤を1週間ごとに葉の裏に散布するようにすることで予防できます。また、ハダニは乾燥を好むので、霧吹きなどで葉に水をつけるのも予防になるようです。
また、ネコブセンチュウにも注意が必要です。根がこぶ状にふくらんでしまい、花が咲かなくなることがあります。ハダニのように症状が目に見えないので注意が必要です。オキサミルを年に1回まくことで完全に防ぐことが出来ます。オキサミルは、農薬になるので気をつけて使用するようにしましょう。
雪割草の歴史
ガーデニングをされている方に人気がある高山植物。さまざまな種類がありますが、その中でも小さくて可愛らしいイメージがあるのが雪割草で、キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草の園芸名です。オオミスミソウ、スハマソウ、ミスミソウ、そして変種のケスハマソウが雪割草と呼ばれています。
生息地は、北海道を除いた高山に自生しており、雪割草の鑑賞の歴史は、江戸時代までさかのぼります。見た目にも可憐な姿は、日本人の心を虜にし、品種改良も進められてきました。花弁を八重咲きにしたり、色も鮮明になったりと華麗な変身を遂げています。初心者からマニアにまで人気があり、海外でも注目されています。
実際に、日本に来た植物関係者は、このような素晴らしい植物が日本にあったのかと驚きを隠せなかったと言います。そのような雪割草も、最近では、温暖化などの影響により自生各地で絶滅が危惧されている植物になってきています。自然環境の変化が激しくなってきた現在、自生での繁殖力が弱いのでその変化に対応できなくて、少なくなってしまいました。
また、ハイキングや登山がブームとなり、人が自生地に出入りするようになったため、減ってしまった場所もあります。今では、原種もほとんどなくなったため、保護しようと言う活動も始まっています。園芸店で購入できるものだけでなく、やはり原種をきちんと残すことで、生態系を守ることもできるようになります。そのような実態を少しでも、多くの人に知ってもらうために全国各地で雪割草まつりなどが、開催されています。
雪割草の特徴
雪割草は日本原産で、その特徴は、やはり豊富なカラーバリエーションだと言えます。色は、赤や白、紫などがありますが、現在は交配によって種類が増えています。また、色だけでなく花弁もさまざまな種類があります。一部だけが花弁になった二段咲、おしべとめしべが全て花弁になった千重咲、また、三段咲や日輪咲、唐子咲き、丁子咲きなどがあります。
驚くことに、どの花弁も人工的に作られたわけではなく、昔から自然界に存在していました。それは、魅力のひとつだと言えます。不自然さがない姿なので、自然と人々の心に響くのかもしれません。名前から見てわかるように、雪のまだ残る季節に花を咲かせます。俳句でも春の季語になっており、まだ、ほかの花がつぼみを付ける前に開花する雪割草は、
春を告げる花として雪の多い地域の人に喜びを与えてくれます。また、ひとつの花が終わっても、次々と咲いていくので花が長持ちするイメージがあります。花が終わってしまっても、常緑となるので一年中楽しむことができる花のひとつですので、庭に植えれば、アクセントになります。
また、ほかの高山植物に比べると、育てやすいと言う特徴もあるので、ガーデニング初心者の方でも育てることができるようです。いくつかの種類をプランターに植えて楽しむこともできます。花言葉は、自信・信頼で雪が降っても必ず春を告げてくれると言う姿から、そのような花言葉になったようで、春を待つ人々の心の支えとなっています。
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