ボダイジュの育て方

ボダイジュの育て方

ボダイジュは、シナノキの木科シナノキ属中国原産の落葉高木です。学名は、TiliamiquelianaTiliaで、Tiliaが科の木、miquelianaが分類学者の名前である「ミケル」を表しています。高さは10メートル前後になり、6-7月頃になると淡黄色の花を咲かせます。

育てる環境について

菩提樹の生息地は北半球の温帯で約30種が分布しています。ヨーロッパ東南部を中心に植栽される、日本においては北海道中部以南に分布しています。環境に対する適応性が強いため、欧州においては街路樹や公園樹、庭木として人気があります。日本は基本的に高温多湿の気候であることから、国内においては北海道などの一部の寒冷地以外での栽培は難しいかもしれません。

耐暑性はやや乏しいものの、逆に耐寒性には優れています。樹高が高くなって大きな樹冠になるため、基本的には地植えで育てます。この菩提樹はフランツ・シューベルトの歌曲集『冬の旅』第5曲「菩提樹(”DerLindenbaum”)」に歌われていることでも有名です。ドイツではリンデン、フランスではティユルとよばれ、さらに、ライムという映名もあります。

ただし果実のライムとはとくに関係ありません。菩提樹の花のハーブティーは、神経をリラックスさせ、消化を助けることでも知られています。とてもデリケートなやわらかい味と香りを持っているため、他のハーブとの相性がよく、いろいろなブレンドによっておいしいティーが楽しめることから人気があります。

また、その成分の中には美白効果があるため、化粧水や洗顔に利用される他、発汗を促したり、利尿用、去痰、鎮静、血圧効果、鎮攣、消化促進等の作用を持っています。菩提樹のバスハーブは肌をつややかにしリラックスさせるため、欧州では赤ちゃんの産湯にも使われました。

種付けや水やり、肥料について

育て方としては、春に箱撒きしますが、非常に時間がかかるため、苗木を購入して育てるようにした方が良いでしょう。実生で殖やす場合には、10月頃に熟した果実から種子を採種して、すぐに取り撒きするか、種子を湿らせた清潔な砂等に混ぜこみ、これを密閉して低温で保管するようにします。翌春頃になったら温室内で撒き床を作ってこれを撒きましょう。

基本的に種子は休眠性が強いため、発芽するまでにはだいたい2~3年かかります。高さ30センチ程度の苗木になるまで成長したら、これを戸外に数株をまとめて密植します。そこから4~5年の間育て、その後に定植するようにします。適期は2~3月頃となります。風通しのよい場所に腐葉土や堆肥を施して植え付けてください。

日当たりがあるところか、半日陰でやや涼しい場所が好みです。夏の暑さに弱いので注意してください。苗木を植えつけてから数年間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行います。いったん根づいてしまえば、その後の栽培は容易です。成木してからは、特に水やりの必要はありません。

夏の乾燥期には極端に水切れすると、落葉が早まるので、この時期だけは注意するようにします。肥料については元肥として、堆肥と鶏ふんなどの有機質肥料を2~3握りほど庭土に混ぜて、植え穴に埋め戻すようにします。特に追肥の必要ありません。花盛りの時期になれば、木の下に立つと甘い香りが漂っています。ミツバチがこの花蜜を大変好んで集まってきます。

増やし方や害虫について

基本的には挿し木で増やすことができます。枝の挿し木をするときは、節の直下を斜めにカットします。葉っぱが生えてくる節の部分から根がでてきます。カットする際には、なるべく鋭利な刃物でスパッと切って、切り口に傷がつかないように注意しましょう。先に挿し木床に割り箸などで穴を掘ってから枝を埋めます。

害虫としてはアブラムシに注意するようにしてください。葉や幹について養分を吸い取り、株を弱らせたり枯らせたりします。また虫の排泄物にカビが繁殖して、葉が真っ黒に変色するスス病を引き起こすこともあります。このような場合には、なるべく早期にオルトランなどの殺虫剤を散布して駆除するようにしましょう。

6~7月の花期に花が開花したら、開花直後の若い花房と苞葉を摘み取って収穫します。乾燥させて保存するとハーブとして色々と利用することができます。しかし、一般の野草と違って何といっても木ですから、栽培スペースには注意するようにしてください。プロペラのような苞葉が付いたユニークな形の花で入れるハーブティーは、神経を静める働きがあるため、不眠症、片頭痛によいとされています。

白木質の木部は浄化作用があり、体内の老廃物の排出を助ける働きがあります。その成分には、抗がん物質として知られているファルネソールや、強力な抗酸化力を持っているフラボノイド、サポニン等が含まれています。サポニンは、コレステロールを除去したり、体内で血栓をつくり動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制する効果が知られています。

ボダイジュの歴史

ボダイジュは、シナノキの木科シナノキ属中国原産の落葉高木です。学名は、TiliamiquelianaTiliaで、Tiliaが科の木、miquelianaが分類学者の名前である「ミケル」を表しています。高さは10メートル前後になり、6-7月頃になると淡黄色の花を咲かせます。お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開いたというお話が有名です。

「菩提」はサンスクリット語のボーディ”bodhi”の音を漢字にしたもので、真理に対する目覚め、すなわち悟りを意味しています。お釈迦様が悟りを開いたのはインド、ブッダガヤと呼ばれる場所にある「印度菩提樹」の下であったといわれていて、その木を「悟りの木」の意味で菩提樹と呼ぶようになりました。

「印度菩提樹」は仏教の三霊樹のひとつとなっています。このお釈迦の菩提樹はクワ科の印度菩提樹で、日本で一般的に言われているボダイジュとは別種です。実は、中国では熱帯産の印度菩提樹の生育には適さない気候であったため、葉の形が似ているシナノキ科のボダイジュを代用品にしたと言われています。

仏教が朝鮮を経由して日本に伝えられたのは6世紀頃ですが、代用品としてのボダイジュの方は、それよりずっと遅れて、1168年に臨済宗の開祖である栄西が中国から持ち帰ったとされています。さらに熱帯植物である「印度菩提樹」が伝えられたのは後のことでした。すでに代用品のボダイジュの名前が広まっており、本家としての名を名乗ることができずに「印度」が頭についたのだと言われています。

ボダイジュの特徴

葉は互生。これは裏から見るとよくわかります。また裏葉の色が白っぽく毛羽立ってみえるのは星状毛の密生によるもの。花にはシナノキ科の特徴である「ヘラ型」の総苞が付いています。夏に黄味を帯びた花が咲きます。樹皮は灰褐色でところどころに灰色の帯状斑があります。お釈迦様と何かと縁の深いボダイジュですが、印度菩提樹とは別の種類です。

印度菩提樹はクワ科で、シナノキ科のボダイジュとは別種です。ちなみに、お釈迦が亡くなったのは沙羅双樹と呼ばれる木の下でしたが、こちらも昔、気候的な理由から代用品として夏椿が植えられることが多く、今でもよく両者が混同されています。また他にもアジアや欧州においても菩提樹には特別な意味があるようで、様々なボダイジュの名所が存在しています。

ドイツの大通りであるウンター・デン・リンデンはそうした名所のひとつです。ウンター・デン・リンデンとは「菩提樹の下」の意味で、その名の通り菩提樹の並木道を満喫することができます。タイのピマーイ歴史公園には、ピマイ遺跡で菩提樹の迷路が楽しむことができます。

広島県の平和公園の国旗掲揚台そばには「菩提樹の碑」あり、そばに菩提樹が植えられています。福岡県飯塚市にある平寿山妙覚院と号する明星寺には、天然記念物のボダイジュがあって、観光名所となっています。明星寺のボダイジュは、海抜100mの傾斜地にあり、明星寺を復興した聖光上人が立てた杖が成長してこのボダイジュになったという伝説があります。

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