エビネの育て方

エビネの育て方

エビネは古くから日本に自生するランの仲間です。北海道、東北から本州、四国、九州と幅広く自生しているため日本人にも古くから親しまれてきました。そんなこのランが注目を集め始めたのは今から40年ほど前です。

エビネの育てる環境について

エビネが生息しているのは杉林などの森林の柔らかい日差しが差し込む樹林の下に自生しています。そのため直射日光を嫌い、強い日光に当たると葉焼けを起こして黄色っぽくなってしまうことがあったり株が弱ってかれてしまうことさえあります。

一年を通して直射日光の当たらない明るい半日陰で育てますが、あまりに暗い日陰ですと花つきが悪くなったり花の色がしっかりでなくなってしまうので注意が必要です。一日の中で午前中の光が3時間ほど当たる箇所であればしっかりと成長して葉焼けも起こさずに育てることができます。

南側の明るい庭よりも、むしろ北側の直射日光が当たらず間接光で明るさがある庭等はエビネの育て方に最適な環境と言えるでしょう。寒冷紗を使うのであれば、冬は30%夏は70%を目安に遮光を行うのが良いでしょう。エビネは夏の蒸し暑さを嫌い、根の働きが弱まって全体の育成も弱ってしまいます。

そのため夏の暑い時期には風通しがよく涼しい場所を選んで置き、夕方には葉や周りに打ち水をしてやるとよいでしょう。逆に寒さにはかなり耐性がありますが霜が降りるような土地ではしもやけが出来てしまい葉が黒く焼けてしまうので注意が必要です。

特に暖地に自生する品種の場合には冬場は室内に取り込んで栽培するのがよいでしょう。冬場5度以下になるエリアでは越冬に注意しましょう。このように夏の暑さ、直射日光に気をつけることで、庭でも栽培できる比較的初心者でも育てやすい品種です。

エビネの種付けや水やり、肥料について

エビネは水を欲しがる植物で、大変乾燥に弱いので水切れには注意します。土の表面が乾燥してきたらたっぷりと水を与え、必ず鉢底から水が出るまで与えましょう。鉢の表面しか濡れない状態だと、根が表面に集まってしまい、弱い個体になってしまいます。

ただし常に用土が濡れている状態だと根が呼吸できずに根腐れを起こしてしまうのでこれも注意が必要です。肥料不足よりも根腐れに注意するのが育て方の上手なコツと言えるでしょう。また冬場は生育がストップしているので水遣りの回数を控えめにして管理するのがよいでしょう。

肥料に関しては春の花後から秋まで液体肥料を月二回程度与えるのが良いでしょう。真夏に肥料をやると根が弱ってしまうことがあるので夏の暑い時期は施肥を中止するようにしましょう。鉢植えをする場合の用土は水はけに注目して作ります。

日向土、赤玉土、腐葉土を混ぜて水はけの良い用土を作り植え付けましょう。植え替えをすることで株を健康に保つことができます。植え替えの時期は花後の5月から9月中旬が最適です。育成のスピードが遅くなってきた、元気がなくなってきたと感じることがあれば、

鉢に根が回っていっぱいになっている可能性があり、植え替えに最適な時期と言えるでしょう。そのままにしておくと根腐れを起こしたり土に栄養がなくなってしまうので、2年に一回は植え替えをして新しい用土、新しい鉢で育てるようにしましょう。植え替えの際には根を崩さないように注意して行います。

エビネの増やし方や害虫について

エビネを増やすのは株分けで行います。株分けは植え替えの時に行うのが最適で、新芽に古いバルブを2個から3個つけて切り離すことで株分けができます。この状態で切り分けて一株としますが、切る際は位置をしっかりと確認して行うようにしましょう。

元気な根まで切り落としてしまうと元気のない株になってしまいます。その後、日向土、赤玉土、腐葉土を混ぜた水はけの良い用土に植え替えて管理します。葉のついていないバックバルブを切り分けてラン専用の湿ったミズゴケに受けておくことでも発芽します。

これはバックバルブふかしという方法で、エビネは株分けとバックバルブふかしで増やしていくことができます。かかりやすい病気の筆頭がウイルス関連の病気です。エビネはかなりウイルス性の病気の発生率が高く、この病気にかかると葉や芽にまだら模様の斑点が出てきてしまい、

株の育成のスピードが弱まるばかりでなく、花つきが悪くなったり枯れてしまうこともある困ったトラブルです。一旦かかってしまうと治る見込みがないので株を処分するのが良いでしょう。隔離しないと他の株にまでウイルスが感染して弱ってしまうことがあり、庭中ウイルスが蔓延してしまうこともあります。

こうしたウイルスの感染はアブラムシを通して感染したり、ハサミ等の園芸用品を通しての感染も考えられますので、園芸用品は株に使用するごとにきちんと消毒して使うのが良いでしょう。またナメクジの食害もあるので誘引剤などを使って退治します。

エビネの歴史

エビネは古くから日本に自生するランの仲間です。北海道、東北から本州、四国、九州と幅広く自生しているため日本人にも古くから親しまれてきました。そんなこのランが注目を集め始めたのは今から40年ほど前です。山野草の大ブームが巻き起こり一般の方もこの植物を知って栽培する機会が増えました。

はじめは山などから採取してきて山野草の一種として庭に植えたり鉢に植えるなどして楽しまれていましたが、そのうち珍しい個体や品種を集める方も出てきて、特別な鉢に植えて鑑賞を楽しむなどユニークな方法も出来きました。

それに伴って熱烈な収集家が出てきたり、欧米の室内栽培するラン、オーキッドに対して庭植えで外でも管理できるガーデンオーキッドとしての栽培しやすさや、和を表現する独特の美しさに価値観を見出し東洋蘭としての位置づけがされ、ますます人気を博すようになりました。

こうしてエビネは研究者らにより山野草としてではなく、園芸種として育成する品種改良も行われるようになりました。人工的に交配され品種改良されたこのランが流通すると、研究者やナーサリーだけでなく自分で交配、種まきをして新しい品種を作る方の数も増えて、

ますますこの植物に対する人気が加熱しました。現在流通しているこの植物は品種改良されたものが大半でより改良の進んだ花弁、育てやすさなどに注目されて選ばれています。ヨーロッパではこの植物が庭植えできるガーデンオーキッドとして人気を集めています。

エビネの特徴

エビネは地表近くにできる根茎がまるでエビのように見えるというところから名付けられました。ラン科カランセ属で原産は日本や中国、台湾、東南アジア、マレーシア、ヒマラヤなど秘録を生息地としており150種以上が分布しているのが特徴です。

アジアのランとして広く知られている植物です。開花時期は4月から5月で葉が出てくると花茎も伸びてきてその茎に沿って両端に10数輪もの小さな花をつけます。花の花径は2センチメートル程度で花色や形は品種によって様々な違いがありますが、

同じ品種でも個体間に差があるため、二つと同じものがないのが特徴で、収集家を熱狂させる理由のひとつとなっています。代表的な原種にはジエビネ、キエビネ、サルメン、ニオイ、キリシマなど5種類があり、それらの品種が自然に交雑してタカネ、ヒゼン、サツマ、コオズなどの自然交雑種があります。

2種間だけでなく3種間でも交雑が見られその多様性はこの植物の楽しみの一つでもあります。この植物の楽しみ方としては主に山野草や野生のランとして、茶花として日本的情緒を楽しんだり、珍しい個体を収集してオモト鉢などを使って東洋蘭としての和風の趣を楽しむという、

和の面を強調した楽しみ方もあれば、プランターや洋風の鉢などを使ってカラフルな品種を集め、ガーデンオーキッドや切花として自由に楽しみたいという希望まで幅広く叶えることができます。欧米でもカラフルなエビネはガーデンオーキッドとしての人気が高まりつつあります。

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