ユッカ(Yucca)の育て方

ユッカ(Yucca)の育て方

ユッカは丈夫で、育て方もそれほど難しくありません。日当たりを非常に好むため、できるだけ日の当たる場所で栽培します。特にユッカ・ロストラタは光が弱い場所だと育ちが悪くなるため注意が必要です。関東以西であれば、霜に当てなければ屋外でも越冬させることが可能です。

ユッカの栽培方法

それ以外の地域では、鉢植えにして冬は室内に入れましょう。乾燥には非常に強いため、庭植えの場合は特に水やりをする必要はありませんが、鉢植えの場合は水の管理が必要になります。土壌は特に配合にこだわらなくても、水はけが良ければ十分に育ちます。

赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜた土が適していますが、市販の観葉植物用の土をそのまま使用しても大丈夫です。肥料は、生育期の5月~9月に与えます。1か月に1回、ゆっくりと効くタイプの固形肥料を株元に置いておきます。量は、使用する肥料の説明書きに記載されている標準の分量を与えてください。

肥料を与えすぎると生長の勢いが良くなりすぎ、姿が乱れてしまいます。幹の先に葉が茂る種類の場合、生長してくると下の方の葉が枯れて落ち、茎が間延びした印象になることがあります。バランスの悪い姿になってしまいますので、気になる場合は仕立て直しましょう。

仕立て直すには、枝分かれしている部分から5cm位を残して切りつめます。そうすると、切り口の近くから新たな芽が出てきます。わき芽が多く出過ぎてしまうこともあるので、その場合は付け根から掻き取ってもかまいません。かかりやすい病気には炭そ病があります。

炭そ病は葉に発生し、黒褐色の小さな斑点が次第に拡大し、斑点の内側が淡褐色~灰白色の大きな病斑になっていきます。病斑が大きくなってくると、葉に穴が開いたり、葉先から枯れてしまったりします。高温多湿を好み風雨などによって伝染するため、屋外で栽培しているものに発生することが多いです。

枯れた葉を取り除くなどできるだけ風通しを良くして、高温多湿を避けるようにしましょう。発病初期の場合は薬剤散布で対処できるため、早期発見が大切です。害虫は、ハダニやカイガラムシがつくことがあります。

ハダニは主に葉の裏で汁を吸い、被害が大きくなると葉の色がかすれたように抜けてきて、生育も衰えてしまうため、見つけ次第薬剤を散布して駆除します。カイガラムシは成虫になると薬が効きにくくなるため、見つけたら歯ブラシなどでこすり落とします。

ユッカのふやし方

さし木と幹ざしでふやすことができます。種付けでふやすことはできません。さし木は、わきから出た芽を幹をえぐるようにして樹皮を付けてそぎ取り、用土を入れた鉢に挿します。2か月ほどで根が出てきます。

幹ざしは、のこぎりなどよく切れるもので幹を15cm~1.5mくらいに切って、用土を入れた鉢にしっかりと挿します。切る幹の長さは、株立ちした時の大きさを想定して、好みで決めてください。

切り口は傷みやすいため、草木灰や根腐れ防止剤などを塗っておき、腐敗するのを防ぎます。幹が長くてぐらつく場合は、根が出るまで鉢と幹をひもで固定しておくとよいでしょう。さし木・幹ざしともに、気温の高い5月~9月頃が適期です。

鉢植えで育てる場合

市販されている鉢植えは、小さな鉢から特大鉢まであり、置き場所やインテリアに合わせて選べます。ユッカはそれほど生長が早くありませんが、ある程度大きくなることを想定して選びましょう。購入時は、葉の様子に注意して見ます。

葉が十分に展開している鉢は、根もしっかりと張っているので失敗がありません。葉が芽吹いているけれど勢いがなかったり、葉の色が薄かったりするものは、幹が腐りやすいため避けましょう。観葉植物として室内で育てる場合は、日光不足に注意しましょう。

室内に置く場合はガラス越しの日光によく当てるようにします。ユッカ・エレファンティペスは寒さに弱い方ですが、5℃以上あれば問題なく育ちます。11月以降は室内に入れ、窓際の日当たりのよい場所に置きます。ユッカ・グロリオサなどは鉢植えの場合も、屋外でも越冬可能です。

鉢植えの場合は、水をやりすぎて幹を腐らせないように特に気をつけましょう。春から秋にかけては、土の表面が乾いてからたっぷりと与えます。冬は気温が低く生長も緩慢になるため、土の表面が乾いて1週間ほど経ってから与えるくらいが適当です。

植え替えは、生長の度合いをみながら2年に1回を目安に行います。鉢の底から根が伸びてきているようなら、それが植え替えのタイミングとなります。小さな鉢では1年で植え替えが必要になることもあるため、鉢底は時々確認するようにしましょう。

植え替えの適期は、気温の高い5月~9月です。鉢から土ごと出して土を1/4ほど落とし、ひと回り~ふた回り大きな鉢に植え替えます。室内で育てていると、葉にホコリが溜まることがあります。ホコリが気になる場合は、水で濡らしたティッシュなどで表面を軽く拭いてあげましょう。

ユッカの歴史

ユッカはリュウゼツラン科ユッカ属の植物の総称です。北アメリカ~中央アメリカが生息地で、約50種の樹木や多年草がこのユッカ属に含まれます。ユッカという名前は、発見された初期の頃、カリブ諸島でユカ(Yuca)と呼ばれるキャッサバと混同されたために付けられたと言われています。

17~18世紀に原産地の北アメリカから各地へ移植され、姿が好まれて観賞用に多くの品種が開発されました。暑さ、寒さに強く手入れに手がかからないことで庭園植物としても広まり、アメリカ西部では広く栽培されており、アメリカのニューメキシコ州では州の花となっています。

原産地の北アメリカでは、多くの種の花、果実、種、花茎、時には根と、先住民により多くの部位が食用や薬用として利用されていました。また、葉や茎から取れる繊維は衣料や日用品に加工され、サポニンを含む樹液は洗剤として使われるなど、人々の生活に欠かせない植物として大いに活用されていました。

アメリカでは一部の種は安全な食品添加物として認可もされています。高血圧や高脂血症の改善や、関節症の痛みやこわばりなどを改善するという報告もあるようですが、有効性は科学的に証明されていません。日本では、ユッカ・エレファンティペスが観葉植物として広く親しまれてきました。

「青年の木」の流通名でもよく知られています。エレファンティペスはメキシコからグアテマラにかけて分布しており、自生しているものは樹高10m以上にもなります。日本で流通しているものは、中米などから輸入した丸太状の幹を短く切り、そこから新芽を出させたものです。

また、日本で庭園樹・庭木として親しまれているユッカも数種類あります。育つと大きく広がり場所を取るものが多いですが、手入れが簡単で病気にも強い点が人気を呼んでいます。

ユッカの特徴

ユッカは固く尖った葉を放射状に伸ばし、シャープな見た目のものが多いですが、約50種があるため、種によって見た目は異なります。エレファンティペスのように樹高10mほどになるものもあれば、1m程度にしか生長しないものもあります。葉は厚みのある細い剣状や線状で先端が尖り、上にピンと向きます。

花は、長い花茎をまっすぐに伸ばし、丸く大きな花がたくさんぶらさがって咲きます。花の色は白が多いですが、クリーム色や緑白色、紅紫色っぽくなるものもあり、夜に開き、芳香を持つものが多いです。主な種類には、以下のようなものがあります。

ユッカ・エレファンティペスは日本で「青年の木」として知られており、象の足のような幹が特徴的です。葉は濃緑色で他のユッカに比べて葉先が軟らかく、スピンレス・ユッカとも呼ばれています。ユッカ・ロストラタはアメリカ南部からメキシコ北部に分布し、樹高4~5mになります。

直立した幹の先に灰色がかった緑色の線状の葉が茂り、姿の良さから人気があります。 ユッカ・アロイフォリアは和名をセンジュラン(千寿蘭)といい、樹高6mほどになり、葉の長さが40cmほどで放射状にびっしりとつきます。

園芸品種には葉の縁に黄色が入るマルギナータ(和名:キンポウラン)などがあります。ユッカ・グロリオサは和名をアツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)といい、高さ0.5~2.5mほどになります。日本には明治時代に渡来し、庭園樹や庭木としてよく見かける種類です。

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