カシワバアジサイの育て方
育てる環境について
カシワバアジサイは北米原産のアジサイ類ですが、森の大樹が集まる根元の木陰から日当たりが良い場所まで広く分布しています。日本のアジサイ類がどちらかというと半日陰を好むのに対し、このカシワバアジサイは日当たりの良い場所から明るい日陰、半日陰まで場所を選ばずに良く育ちます。
ただし暑い時期の直射日光が苦手で、あまり長時間日光に当たりすぎると葉が焼けてしまうことがありますので注意が必要です。北向きの明るい日陰でも十分育てることができますし、午前中のみ日が当たる東向きなどの環境などもこのアジサイにとって最適です。
また鉢植えで販売されていることから、そのまま鉢で管理される方がいますが、本来のこのアジサイのボリュームを楽しむのであれば地植えがお勧めです。地植えをすると茎丈が1メートル近くなることもあり、豊かな花の量、ボリュームと迫力を味わうことができます。
鉢植えでももちろん管理できるので、北向きのベランダ、半日陰になるコンテナなどを使って育てることができます。かなり根が張る植物なので、コンテナ植えにする場合には60センチ以上の深めの鉢を用意するのが良いでしょう。屋上のような絶えず直射日光が当たるような場所は、
このカシワバアジサイには不向きです。床からの反射熱で葉焼けを起こしてしまうので注意しましょう。庭植えをする場合には数年間でかなり大きくなってしまうので、周囲に隙間を空けて成長のスペースを確保することが大事です。
種付けや水やり、肥料について
カシワバアジサイは鉢植えで流通していますが、購入後庭植えや一回り大きめの鉢に植え替えるのが良いでしょう。赤玉土の小粒、鹿沼土、腐葉土などを混ぜて水はけと保水力がある用土を作ってから受け付けましょう。庭植えの場合には育成を開始する3月上旬に行うのが、
最適で4月の下旬には葉が出てしまうのでその前に行うようにします。または涼しくなる10月以降も活動を休止するのでその時期に植え付けるのがお勧めです。根鉢を崩して3倍ほどの大きさの植え穴を掘り、腐葉土と牛糞を元肥として植え付けをしましょう。
緩行性の肥料を鋤込むと花付きが良くなります。また鉢植えの場合は2年ほどで根鉢が回ってしまい育成が悪くなるので、一回り大きな鉢に植え替えをします。カシワバアジサイは水切れを嫌う植物ですので、水やりには注意が必要です。土の表面が乾いたら水やりをし、
必ず鉢底から水が染み出るほどたっぷりとやりましょう。水遣りの量が少ないと根が鉢全体に回らずに弱い株になってしまうので注意が必要です。夏の暑い季節には鉢だけでなく鉢の周辺や葉にも水をかけ乾燥と葉焼けを防いでやりましょう。
カシワバアジサイは肥料を与えなくても良く育ちますが、4月に緩行性のつぶ状肥料を株元にばらまくと花つきが良くなります。花が終わる7月にはお礼肥として同じ緩行性肥料をあげる程度で良いでしょう。あまり肥料を上げすぎると株が大きくなりすぎてスペースをとってしまうので注意します。
増やし方や害虫について
カシワバアジサイは挿し木で増やすことができます。花が終わった7がつ頃に新しい茎が伸びますので、その新鮮な茎をカッターで組織をつぶさないように斜めにカットし、湿らせた鹿沼土などに挿しておくと発根します。しっかり発根したところでビニールポットの用土などに植え替えると新しい株を作ることができます。
コツは日光に当てずに乾燥させないように育てることです。カシワバアジサイは強健ですので、このような簡単な挿し木でどんどん増やすことができますので、初心者の方でも気軽に増やすことができます。また育て方のポイントとなるのが剪定です。
花が終わる7月に花をカットして脇から来年の新しい花芽が伸びるのを助けます。この花柄の剪定を行わないと徐々につく花が小さくなってしまうので注意が必要です。8月9月になると来年の花芽が出てきて、こちらを間違えてカットしてしまうと来年の花が咲かないということになってしまうので、
できるだけ早めに花を剪定してしまうことが必要なのです。またカシワバアジサイは強健ですのでほとんど病気にかかりませんが、ハダ二にだけは注意が必要です。葉の裏に付き、色を変色させて黒っぽくさせてしまうハダニはカシワバアジサイの天敵です。
殺虫剤をスプレーするか、緩行性の根元に巻くタイプの殺虫剤を使って退治しましょう。手軽な管理にも関わらず、豪華で見ごたえのある花を房咲きしてくれるカシワバアジサイは和の庭にも洋風の庭にも馴染む人気の植物です。
カシワバアジサイの歴史
カシワバアジサイは古くからアジサイ類の仲間として広く親しまれてきました。日本でも奈良時代後期の万葉集にアジサイのことが詠まれていて、日本人もアジサイに愛着を持っていたことがわかります。また江戸時代に入ると医師であり自然学者でもあったシーボルトが、
日本のアジサイを愛で日本植物誌として10種類ほどのアジサイを紹介しています。アジサイはヨーロッパでも人気でイギリスの王立植物園に植えられたほか、ヨーロッパ各地で栽培されて品種改良がすすめられました。白、青、水色、ピンクなど多くの園芸種が誕生して、
近年はこれらのヨーロッパで品種改良されたアジサイが逆輸入されてさまざまな西洋アジサイとして流通するようになっています。もともとアジサイの名前は藍色が集まったという意味から来ているので、日本におけるアジサイの基本的な色は青系のものが主流でした。
漢字では紫陽花と書きますがこれは中国大陸で呼ばれていた名前で、中国でもアジサイは大変好まれる花です。全体が半休形の装飾花からできている可愛らしい形のものをアジサイと呼び、装飾花が花冠の周囲のみにあるガクアジサイも近年人気を集めています。
一口にアジサイといっても特に近年は品種改良が進み、豪華で華やかなカシワバアジサイのように大型の品種から矮性の茎丈30センチ未満の矮性のものまで幅広くあり、好みやガーデンコンセプトによって選ぶことができるようになっており愛好家も増えています。
カシワバアジサイの特徴
カシワバアジサイは北アメリカ原産のアジサイ属の仲間です。このアジサイ属の野生種にはアジア東部、南アメリカなどに約30種類があり生息地としています。いずれも低木を中心に亜高木、さらには葡萄するつる性のものなどその形状が多種多様になっています。
アジサイは強健で育てやすいことから多くの方が世界中で栽培されていて、特に花の少なくなる初夏の季節に開花するという開花時期のユニークさも相まって人気が高まっています。スイレンやバラなどの春の花が一斉に咲き誇り、落ち着いた頃に咲くのがこうしたアジサイ類なのです。
品種改良をされるにあたって日本のヤマアジサイやガクアジサイが多く使われて現在の流通している品種のベースとなっていますが、これらに加えて大変人気が高まっているのが北米産のカシワバアジサイです。カシワの葉に似た深い切込みが5つある葉や美しく豊かな円錐形の花が華麗で、
秋には葉の紅葉も楽しめるという何通りにも楽しみ方があるのが特徴です。しかも日本の風土にも良くなじみヤマアジサイなどと同様に屋外で地植えで管理することができます。6月から7月にかけて一重の花を円錐形にぎっしりと付けて咲かせますが、
その花のあまりの量に重さでうつむきながら咲くこともあります。八重咲きの品種もあり、一層華やかに庭を演出してくれる他、ピンクなどカラフルなカシワバアジサイも流通するようになりました。秋が深まるにつれて葉の紅葉も楽しめる人気品種です。
花の育て方など色々な植物の育て方に興味がある方は下記の記事も凄く参考になります♪
タイトル:カルセオラリアの育て方
タイトル:カスミソウの育て方
-
-
レプトシフォンの育て方
この花についてはハナシノブ科、リムナンツス属になります。属に関しては少しずつ変化しています。園芸における分類としては草花...
-
-
アメリカノリノキ‘アナベル’の育て方
白いアジサイはアメリカノリノキ、別名セイヨウアジサイの園芸品種であるアナベルという品種です。アジサイの生息地は世界ではア...
-
-
オカヒジキの育て方
オカヒジキの原産地は日本や中国、シベリア、ヨーロッパ南西部です。「ヒジキ」と言いますが海藻ではなく海辺の砂地などを生息地...
-
-
果物から出てきた種を育てる方法
果物には、中に種が入っているものが多いです。果物によっては、食べながら種を取り出して、それを土に植えることで、栽培するこ...
-
-
レンゲツツジの育て方
この花の特徴は、ビワモドキ亜綱、ツツジ目、ツツジ科、ツツジ属になります。見た目を見てもツツジに非常に近い植物であることが...
-
-
レモングラスの育て方
多くのハーブが、原産地や生息地などがはっきりしているのに対して、レモングラスは野生種が見つかっていないために、原産がどこ...
-
-
イタリアンパセリの育て方
パセリはヨーロッパ中南部から北アフリカにかけての地中海沿岸が原産のハーブです。学術名の「ペトロセリウム」は、生息地を砂礫...
-
-
ゲッケイジュの育て方
英語ではローレル、フランス語ではローリエ、日本語では月桂樹と呼ばれています。クスノキ科の常緑高木植物で地中海沿岸の原産と...
-
-
クリアンサスの育て方
クリアンサスの特徴としては鮮やかな赤い色の花でしょう。またその他に白やピンクなどもあります。草丈はそれほど高くなく80セ...
-
-
セイロンベンケイの育て方
セイロンベンケイというのは、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属の植物で別名トウロウソウと呼ばれることがあります。ベンケ...






カシワバアジサイは古くからアジサイ類の仲間として広く親しまれてきました。日本でも奈良時代後期の万葉集にアジサイのことが詠まれていて、日本人もアジサイに愛着を持っていたことがわかります。