パッションフルーツの育て方

パッションフルーツの育て方

パッションフルーツは和名をクダモノトケイソウという、アメリカ大陸の亜熱帯地域を原産とする果物です。かつてはブラジル、パラグアイ、アルゼンチンの北部一帯で産出されていましたが、現在ではオーストラリアやハワイなどが主産地となっています。生息地は南米を中心とした、熱帯、亜熱帯地方に広く分布しています。

パッションフルーツの種付けについて

パッションフルーツの栽培は、春から夏にかけて販売される1~2年生のさし木苗を購入して植え付ける方法が一般的です。購入の際、緑のカーテンに利用する予定があるなら夏に間に合わせなければならないので、その場合はできるだけ大きく育った苗を選びます。

霜の降りる時期に植えつけることはできないので、植え付け適期は4月ごろになります。越冬させた苗があるなら、このタイミングで植え替えが必要です。庭植えにする場合は、日当たりと水はけがよく、強風の吹きつけない場所を選んで植えます。

植穴の大きさは直径50センチメートル、深さ50センチメートルほどのサイズで掘ります。掘りあげた土と腐葉土、赤玉土の小粒を5:3:2の割合でよく混ぜ合わせます。この混合土の1/3に相当する量に、1株あたり300グラム程度の粒状肥料を加えてさらに混ぜ合わせます。

そして次に、ポリポットから苗を取り出し、肥料を加えずにとっておいた残り2/3の混合土を使って、肥料が根鉢に直接触れないよう注意しつつ苗を植えつけます。植え付けは水はけのよい場所が最適ですが、もしも水はけの悪い場所に植えつけるならば、少し盛り土をする必要があります。

パッションフルーツは風で揺れると成長が遅れてしまうため、風の吹きつけにくい場所に植えた場合であっても、植えつけた苗に支柱を立て、ひもでしっかりと固定して誘引します。冬場に霜の降りる地域では越冬させることが格段に難しくなるので、翌年は新しい苗を購入することになります。

このように、パッションフルーツの育て方は苗からの栽培が基本となりますが、種付けする方法も選択可能です。種付けするのであれば、まずはパッションフルーツから種を取り出さなければなりません。発芽制御物質が含まれる半透明のゼリー質をよく水洗いしてきれいに取り除き、種だけを取り出します。

それを肥料分のない用土などにまいて軽く土を被せ、土が乾かないように管理すると、1週間から2ヶ月ほどの間に発芽します。種付けの適期は5月から9月にかけてですが、苗を植える方法に比べると栽培難易度が高くなってしまうでしょう。

パッションフルーツの育て方

パッションフルーツの育て方にはいくつかのポイントがあります。生育初期のパッションフルーツにチッ素肥料を施すと、株が充実するため生育には非常に効果的です。しかし、チッ素過多になって栄養成長が盛んになった場合、花芽がつきにくくなって葉ばかりが茂るようになってしまいます。

そのため、ある程度株が成長したところで、チッ素分を控えてリン酸肥料を施すことがポイントとなるのです。こうした注意点を踏まえたうえで、肥料は、4月から10月ごろにかけての生育適温期であれば月に1回施すようにします。骨粉入り発酵済み油粕などの有機質肥料や、緩効性化成肥料を規定量与えていきます。

水やりは、用土が乾いたタイミングでたっぷりとやるよう心がけます。夏場は特に乾燥しやすいので、水切れに注意しなければなりません。基本的には、朝方と夕方の2回に分けて水やりをすると適性な水分量をキープできます。

冬は夏に比べると乾かし気味に管理することになるので、2週間から3週間に1回程度の水やりをします。そして、パッションフルーツの育て方にはもう一つの注意点があります。つる性植物なので、栽培には枝の誘引が必要不可欠だという点です。

果実を収穫する目的であればあんどん仕立てに、緑のカーテンに仕立てる場合はネットに誘引するようにします。パッションフルーツは5月ごろから開花し始め、2か月ほど開花期が続きます。果実が紫色の品種は自家受粉もできますが、実つきを良くして大きな果実を育てるなら2株以上を植えて受粉させます。

果実の成熟時期はちょうど真夏に当たるため、気温が高く乾燥しやすい環境下で、葉と果実で水分を取り合う状態になります。そのため、成熟期は特に水切れを起こさないよう注意を払わなければなりません。

パッションフルーツの収穫

パッションフルーツは、受粉から約2か月で収穫期を迎えます。皮の色が変わり、自然落下するくらい熟したら収穫できます。収穫の目安は、果実を軽く持ち上げてみると分かります。収穫に適したパッションフルーツは、軽く持ち上げただけでもぎ取ることができるようになっています。

収穫した時点ですでに果実は熟した状態ですが、まだ食べごろではありません。もぎとったばかりの果実は酸味があり、風味や果肉の柔らかさもベストな状態とは言えないのです。パッションフルーツの味と香りが最高になるタイミングを迎えるには、室温で保存して追熟させる必要があります。

果皮にしわが生じるため、食べごろは見た目で判断することができます。果皮にしわができると、果肉は酸味が抜けて甘みが強く引き立つようになっており、もっとも実質がやわらかく風味豊かな状態になっています。

パッションフルーツの歴史

パッションフルーツは和名をクダモノトケイソウという、アメリカ大陸の亜熱帯地域を原産とする果物です。かつてはブラジル、パラグアイ、アルゼンチンの北部一帯で産出されていましたが、現在ではオーストラリアやハワイなどが主産地となっています。生息地は南米を中心とした、熱帯、亜熱帯地方に広く分布しています。

もともと原産地で自生していた果樹ですが、中世のスペイン人宣教師によって注目を浴び、17世紀ごろ世界中に広まっていった歴史を持ちます。日本には明治時代、南米から伝わりました。しかしやはり熱帯、亜熱帯生まれの果樹なので、日本での栽培は場所が限定されていました。

当時、パッションフルーツを栽培できたのは、沖縄や奄美諸島を中心とした、もともとの生息域の気候に近い土地だけだったのです。現在は農業技術の発達にともない、ハウス栽培によって育てることが可能となっています。

パッションフルーツの特徴

スミレ目トケイソウ科トケイソウ属に属する果樹で、パッションフルーツという名前の由来は、英語でトケイソウのことをパッションフラワーと呼ぶところからきています。ここでいうパッションとは情熱を意味する単語ではなく、キリストの受難のことを指しています。

トケイソウの花の形が、イエスキリストが十字架にかけられた姿に似ていることからこのように呼ばれ始めました。パッションフルーツは、さわやかで濃厚な甘酸っぱい香りが特徴的な果実で、すがすがしい酸味があり食味も良好です。

果実は丸い球形をしており、半分に切ると種を包んだ果実と果汁が入っていることが分かります。種は黒色で、果肉は黄色い半透明のゼリー質になっています。皮を除けば、種も含めて実の部分はすべて可食に適しているので、スプーンですくってそのまま食べることができます。

栄養豊富な果実は、健康維持に高い効果を発揮します。多分に含まれるβ-カロテンには血流をよくする効果が期待できますし、動脈硬化の予防効果があるといわれるリノール酸も多く含まれています。健康維持に効果的な栄養素を含むことにプラスして、くせがなく食べやすいことも利点の一つといえるでしょう。

通常、フルーツは表面にしわが生じると熟しすぎた状態で食味が悪いのですが、パッションフルーツは表面にしわが刻まれてからの方が風味豊かでおいしくなります。食用としても人気ですが、つる性植物としての特徴を生かした、夏の緑のカーテンとしての需要も近年高まりつつあります。

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