ウスベニアオイの育て方

ウスベニアオイの育て方

ウスベニアオイは、アオイ科の多年草で成長すると2mほどの高さにもなる植物で、直立した円柱形の茎に手のひらのような形をした6~8cmの葉がつき、夏から秋にかけてはその名のとおり薄紅色の花を咲かせます。ヨーロッパを生息地としますが、丈夫な植物で日本の寒い地位でも元気に育ちます。

育てる環境について

ウスベニアオイは比較的丈夫な植物で育て方もそれほど難しくありません。耐寒性があるので日本の寒い地域でも栽培できます。日光を好みますので一年を通して日当たりが良く、水はけ、風通しの良い場所に植えて下さい。風通しが悪いと蒸れて元気がなくなったり、病害虫が発生しやすくなります。

また、葉と葉が重なるくらい混み合ってきたら適当に葉を間引き、日光が充分に当たるようにすると花が咲きやすくなりますので生育状況に応じて手を入れてやりましょう。この植物は直根性という太い根一本が伸びるタイプです。このタイプはその太い根が傷つくと生育が止まり、枯れてしまうこともあり、植え替えを嫌います。

1m~2mと大きく成長することを考えると、植える場所、花壇のレイアウトはあらかじめよく考える必要があるでしょう。また多年草で株も大きく育つので、周りの植物との距離も大きめにとる必要があります。花壇であれば後部に植えると全体のバランスもとれ、花の美しさをより楽しめるのではないでしょうか。

鉢植えにしたい場合は、大きめのコンテナなどを用意しましょう。酸性の土を嫌うので、庭植えの場合は植え付けの1~2週間前には土に苦土石灰(酸性の土を中和させる)を混ぜて準備をしておきます。鉢植えの場合は水はけと通気性に富み、適度な保水性のある土が適しています。ハーブですが肥沃な土を好みますので、赤玉土小粒5、腐葉土3、軽石2などの割合で配合したものがよいでしょう。

種付けや水やり、肥料について

種は春(3~4月)か秋(9月中旬~10月上旬)に直まきまたはポットにまきます。しっかりと土でおおい、発芽まで湿り気を保ち、本葉が3~5枚になるのを待ちましょう。丈夫な苗を育てるために間引いてそれぞれ1本に残し、本葉が4~6枚になった頃が植え付けのタイミングです。

上にも書きましたが、直根性で植え替えを嫌いますので植え付けはレイアウトをしっかり考えて行いましょう。苗を植え替えるときは太い根を傷つけないように注意を。植えるときには土を強く押さえつけすぎて根を傷めないようにしましょう。庭植えの場合は80cm程度間隔を空けて植えた方が良いです。鉢植えは1鉢に1本ずつが基本です。

乾燥には比較的強いですが、株が大きく育ち葉も大きいので、生長期の水やりはたっぷりと行います。根付いた後は表面が乾いたら水をやるようにすれば良いですが、夏は乾燥しやすくクタッとなりやすいので、朝、夕1回ずつ水やりをしてください。冬になって葉が枯れてしまったら、庭植えで雨が当たる場所ならば、自然に任せて特に水やりをする必要はありません。

鉢植えや雨がほとんどあたらないような場所にある場合は、乾燥しない程度に時々水をやります。肥料は植え付の際に、ゆっくりと効くタイプの肥料を混ぜ込みます。その後は肥料を与えると成長も旺盛になりますが、多肥にすると倒れやすくなるので注意が必要です。成長がはじまる秋と春に株の周りに堆肥や有機質の肥料を埋め込めば、長期間開花します。鉢植えの場合は液肥や有機配合肥料などを時々与えましょう。

増やし方や害虫について

ウスベニアオイは種と、挿し芽、株分けで増やすことができます。花から種を採り、種まきをして増やすこともできますが、丈夫な植物なのでこぼれ種から自然に育つことが多いです。こぼれ種から芽が出てきたら植え替えができる大きさになるのを待って移動させると良いでしょう。また冬越しした株は、春になると一気に芽吹いて育っていきます。

その時にわき芽を切り取って挿して増やすことも可能です。株分けは増やし方としては簡単で、大株になったら行います。地上部が枯れた10月~11月に株を掘り上げ、それぞれに3~5芽つくようにハサミやナイフで切り込みを入れて2~3株に割ります。分けた株は、それぞれ植え替えをしましょう。

鉢植えでこれ以上大きくしたくない、鉢がつまってきたというときにも株分けを行うとよいでしょう。害虫は、ハマキムシ、アブラムシ、ワタノメイガなどがつきやすく、放置しておくと新芽や葉を食べられて丸坊主になってしまうこともあります。青虫がつくことがあります。ハーブティーなどに使わないならば、薬剤での駆除が有効ですし、

食用にするために薬剤が使えない場合は虫を見つけたらその都度取り除くようにしてください。数が少ないうちに対処できるよう、よく観察しておくことをおすすめします。特に春先の新芽の季節は要注意です。また風通しが悪く長雨が続くと、うどんこ病にかかりやすくなりますので、風通しを良くし必要に応じて剪定するなど適切なケアをしてあげましょう。

ウスベニアオイの歴史

ウスベニアオイはヨーロッパを原産とし、アオイ科の中でも最も古い歴史を有する薬用植物のひとつです。日本には自生種はなく江戸時代に伝わってきたと言われていて、和名のウスベニアオイは、「薄い花びらの紅葵」という意味で五弁の淡紅色の花弁の様子に由来するそうです。古くは紀元前8世紀頃から食用とされていたようです。

ローマ時代には薬草、あるいは野菜として栽培され、紀元800年に西ローマ帝国を築いたカール大帝は、このハーブを「領内の畑や庭に植えよ」というお布令を出したというほど重用され、特に呼吸器系の病気に薬効があるとされていました。古代ギリシャの医者で薬理学と薬草学の父と言われるディオスコリデスが著した『薬物誌』の中には

“MalacheAgria”という植物として登場し、内臓や皮膚に対するさまざまな作用や多くの用途が書かれています。そして16世紀には、万能薬を意味するオムニモルビア(omnimorbia)という名前がつけられましたが、これは、穏やかな瀉下作用によって便通を良くすることが病気を取り除くという考えに基づくものだと言われています。

一般名(英名)ではコモンマロウ、ブルーマロウと呼ばれていますが、このマロウ(mallow)は、「柔らかいもの」または「柔らかにする」を意味するラテン語のmalva(マルバ)からきています。これはウスベニアオイが持つ粘液に、苦しみや痛みを和らげる緩和効果があるということに由来していると考えられています。

ウスベニアオイの特徴

ウスベニアオイは、アオイ科の多年草で成長すると2mほどの高さにもなる植物で、直立した円柱形の茎に手のひらのような形をした6~8cmの葉がつき、夏から秋にかけてはその名のとおり薄紅色の花を咲かせます。ヨーロッパを生息地としますが、丈夫な植物で日本の寒い地位でも元気に育ちます。

花や若葉は摘み取って生のままサラダに入れて野菜のように食べることもありますし、花の部分は乾燥させてハーブティーにして楽しみます。ウスベニアオイに多く含まれる粘液質は、昔から風邪による喉の腫れや痛み、胃炎、泌尿器の炎症など、傷ついた粘膜を刺激から守り、修復を促す目的で使われてきましたし、外傷や皮膚炎などにはローションや湿布などとして使われています。

美容面では粘液質が保湿と肌の保護に役立ってくれるので、シワ・たるみなどの予防にフェイシャルスチームなどで使うのも効果的です。また、花の色は花弁の中に含まれるアントシアニンによるものですが、アントシアニンの有効成分は眼精疲労に良いということが近年わかってきて、

目の疲れや、目の疲れからくる肩こり、頭痛などの緩和にハーブティーの効果が期待されます。アントシアニンに由来するもう一つの特徴として、花弁をハーブティーとして使う時に起こる色の変化があげられます。ウスベニアオイは熱湯を注ぐと、まず鮮やかな濃い青色となり、

時間の経過とともに空気中の酸素と反応して紫色に変化していきます。そこにレモン汁を加え、液を酸性にすると瞬時に色がピンク色に変化、反対に重曹を入れて液をアルカリ性にすると明るい水色に変化します。この色の変化の特徴からウスベニアオイのハーブティーは「サプライズティー」とも呼ばれています。

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