アガベ(観葉植物)の育て方
育てる環境について
アガベの育て方はそれほど難しいことはなく、園芸の初心者であっても、気軽に栽培ができ、また、それほど手間をかける必要もないことから、鉢植えで観葉植物にするのにも適していると言えます。また、リュウゼツラン属の植物は、総じて日なたを大変好みます。
これは、元々の生息地が、メキシコや中南米などの熱帯地域であることに由来することによると考えられますが、いずれにしろ、耐陰性は高くはないので、出来る限り、日光に当ててあげるようにした方が良いでしょう。なお、春から秋にかけては、戸外に置かれても大丈夫なことが多いのですが、
好きな陽の光も、真夏の直射日光を浴びすぎると弱ってしまうこともあるので、もしも、葉焼けなどが確認されたら、半日陰や日陰に置いて、しばらく様子を見るようにして下さい。冬は、よほどの温暖地域でもない限り、基本的には屋内に置いて管理することとなります。
また、耐寒性は高いものの、本来、暖かいところに生えている植物ですので、少なくとも、零下にならない環境、0度以上のところにおくようにした方が、元気良く育ちます。それから、寒さに強い植物とは言え、万が一、冬場に霜に当たるようなことがあれば、
すぐにも枯れてしまいますので、そのあたりは注意するようにして下さい。なお、下の方から段々と枯れてきますので、枯れた部分は、順に切るようにして下さい。またその際、虫がついていないか、葉の裏までよく調べるようにしましょう。
種付けや水やり、肥料について
リュウゼツラン属の植物の種付けというのは、自己受粉さえうまくいけば結構うまくいくものですが、そもそも種を得る目的が、アガベを増やすことということでしたら、株分けで育てる方が簡単確実ではあります。ただ、それでも種から育ててみたい、ということでしたら、
それはそれでやりがいがあって楽しいかと思いますので、挑戦してみるのも面白いでしょう。また、水やりについてですが、基本は、水が完全に乾くまで待ち、それからたっぷりと与えるようにします。大事なことは、水をやりすぎないことで、
過剰な水やりは根腐れを引き起こすことになるということを忘れず、肝に銘じておく必要があります。アガベが水をあまり必要としないのは、本来の生息地の環境がそうした乾燥した大地であったということに起因しますが、特に冬は注意が必要で、そもそもこの植物は、
冬はほとんど生育しませんし、葉などからの蒸発量もだいぶ減ることから、夏などに比べてさらに水がなくても大丈夫な状態となっています。そのため、冬場の水やりは、せいぜい1ヶ月か2ヶ月に一度程度与えれば充分で、鉢を持ち上げてみて、既に水を多く含んでるような重さを感じたら、水やりは控えましょう。
また、鉢の受け皿に溜まった水は、そのまま放っておくと、土や根にカビが生えたり、或いは虫が湧いたり衛生面で問題があったりするので、放置せずに捨てるようにして下さい。肥料については、春から秋にかけての生育期に、薄い液体肥料を2~3週間に一度程やれば良いでしょう。その際、肥料が濃すぎると、肥料焼けをおこしてしまうので注意して下さい。
増やし方や害虫について
アガベの増やし方は、子株が出来たら株分けをするというものです。アガベは、根詰まりをすると生育が止まり、葉っぱが黄色に変色して徐々に枯れていってしまうため、およそ二年に一度くらいの頻度で植え替えをするのが望ましいとされています。
植え替えは、全ての植物にとって大きなストレスとなりますので、株分けも、この植え替えに乗じて行うのがよろしいでしょう。なお、植え替えの際は、鉢から抜いたら土を半分ほど落とした上で古い根を切り、それから新しい土に植え替えを行うようにします。
植え替えからしばらくの間は生育が止まるので、あまり刺激は与えないように気を付け、一ヶ月程度は日陰で管理するようにしましょう。この時、いきなり日の当たる場所に置いてしまうと、葉などが傷む可能性が高くなりますので気を付けて下さい。
また、アガベの害虫対策ですが、特に虫がつきやすいということはないものの、葉にカイガラムシがつくことがあります。もし、カイガラムシが発生してしまったら、濡らしたティッシュや使わなくなったハブラシなどを使って、カイガラムシとベタベタした排泄物をきれいに取り除き、
葉にスミチオン乳剤を散布するなどして対応して下さい。或いは、もっと簡単なやり方としては、水を強く当てて、そのまま水圧で流してしまうという退治法もあります。その際、水圧で流しきれなかったカイガラムシには、マシン油のボルンが有効ですので試してみて下さい。また、病気にかかることは比較的少なく、それほど心配する必要はないでしょう。
アガベ(観葉植物)の歴史
アガベとは、別名・リュウゼツラン(竜舌蘭)とも呼ばれ、リュウゼツラン科リュウゼツラン属の単子葉植物の総称のことで、100種以上が知られています。なお、アガベの名の由来は、リュウゼツランの学名・Agaveをカナ読みにしたものです。原産地はメキシコで、
北アメリカ南部から中央アメリカ、南アメリカ北部、西インド諸島に、221種が自生していることが確認されています。アガベの歴史は、テキーラの歴史でもあります。これは、リュウゼツランの一種、テキラリュウゼツランがテキーラの原料となるためです。
テキラリュウゼツランは、メキシコ・ハリスコ州テキーラ市のあたりに、少なくとも、3500年前には既に自生していたと見なされており、テウチトラン文化期にこの地に移り住んでいた先住民たちは、リュウゼツランを利用して、建材をはじめ、織物や縄などとして、
利用・活用するようになっていました。そして何より大事なのは、その絞り汁を、発酵させた飲料(プルケ)を製造するために使っていたということです。16世紀になるとスペイン人がこの地に入植し、アガベの生息地に、サンティアゴ・デ・テキーラが建造されました。
彼等は、持ち込んだブランデーが尽きると、テキーラに自生していたテキラリュウゼツランを用いて蒸留酒を製造するようになりました。これがテキーラのはじまりで、18世紀まで時代が下ると、テキーラの生産量・需要量は増大し、
19世紀の後半になる頃にはテキラリュウゼツランを原料としたテキーラは、メキシコを代表する製品となり、国際的にも認知されるようになりました。またアガベは、19世紀以降ヨーロッパで観葉植物としての人気も高まり、今日に至ります。
アガベ(観葉植物)の特徴
アガベの特徴は、一見するとアロエのようにも見えますが、アロエは別科、ツルボラン科の植物です。葉の先が鋭くとがり、縁に棘をもった厚い多肉の葉からなる、大きなロゼットを形成しています。茎は、一部の種を除き、太く短いため、一見すると、根から直接、葉が生えているかのようにも見えます。
生育環境にもよりますが、アガベは一般的に成長が遅いとされ、花が咲くようになるまでに数十年かかるものも珍しくありません。そのあまりの成長の遅さから、欧米では古来より、100年(1世紀)に一度しか開花しないと誤認され、「センチュリー・プラント」と呼ばれていたほどです。
花は、ロゼットの中央から、マストという背の高い花茎が伸びており、その先には、短い筒状のものがいくつも付いています。ごく一部の例外を除き、基本的には、花が咲き、実がついた後にはそのまま枯れる、いわゆる、一回結実性の植物でもあります。
また、ある種のアガベは、その汁に触れると皮膚がかぶれてしまうことがあり、その症状は1週間から2週間ほども続くといいます。さらにその後、外見上は治癒したように見えても、1年間ほどはかゆみが再発することがあると言われますが、ただ不思議なことに、
乾燥したアガベの葉であれば、たとえ素手で触ってしまったとしても、これらの症状が現れることは、ほとんどないといいます。またアガベは、大きく育つと非常に立派な姿となることから、昔から観葉植物としての人気も非常に高いです。そして、耐寒性に優れた種も多く、温暖な地域では、庭に直植えをすることも可能で、存在感のある大きな株へと育ってくれます。
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