センブリの育て方

センブリの育て方

センブリはリンドウ科センブリ属の二年草です。漢字で「千振」と書き、その学名は、Swertiajaponicaとなっています。薬草として利用されることでも有名で、生薬名「当薬」と呼ばれています。ドクダミやゲンノショウコと共に有名な薬草で、日本固有の生薬であり、漢方薬においては用いられていません。

育てる環境について

原産は中国、朝鮮半島、日本です。国内においては、北海道西南部、本州、四国、九州にかけて広く分布しています。基本的には、日当たりの良く、やや湿り気のある山野の草地に自生しています。『花の百名山』では、高鈴山を代表する花として、『新・花の百名山』では、熊野路を代表する花であるとされています。

また日本の多くの都道府県で、レッドリストの指定も受けています。これは、草地の開発、森林開発、生育地の自然環境の変化、園芸目的の採集、薬草の採集といった要因により、多くの都道府県で減少傾向にあるためです。阿蘇くじゅう国立公園、瀬戸内海国立公園、耶馬日田英彦山国定公園、祖母傾国定公園等においては指定植物となっており、その採集が禁止されている状況です。

東京都区部の殆どにおいては絶滅指定され、埼玉県においては、絶滅危惧II類、石川県、山梨県、香川県、大分県、宮崎県においては、準絶滅危惧種に指定されています。育て方については、本格的な栽培方法について具体的な内容は、企業秘密的な部分が多いためか、インターネット上においてはあまり詳しい情報はありません。

しかし個人が、自分なりに栽培にチャレンジする場合には、基本的に一般的な山野草に対する管理方法でも問題はないと思われます。置き場所としては、他の多くの山野草と同じく、半日蔭の場所が良く、また土はやや湿り気味にしておくのが良いとされています。土は、鹿沼5・赤玉3・腐葉土2を混合させてもので良いでしょう。

種付けや水やり、肥料について

育てる場合には種子を用いるか、あるいは一般に流通している苗を購入するようにします。種まき時としては、3月上旬~4月上旬ごろが適期となっており、自然条件下での発芽適温は12から15度であると言われています。センブリの栽培が難しい理由の一つは発芽の間題とされています。種子の発芽が難しい理由としては、種子の乾燥によるものではなく、

土壌の水分状況や温度あるいは光条件によるものと言われています。センブリの種子は非常に小さく、わずか1グラム中に13,000~18,000粒も存在しています。土壌表面の乾燥が発芽に大きく影響することから、表面の乾燥を防止する工夫が必要になってきます。家庭で行う場合には、細粒の鹿沼土を洗い、水を切って小さなガラス瓶に入れて、

その中に種を入れて振って、窓越しなどの明るいところに置くようにすると良いでしょう。発芽が確認できたら、そこから播き床に播くようにし1年目の管理としては除草と病害への警戒、そして凍結の防止などに注意を払うようにしてください。植替えを嫌うため、あらかじめポットに撒いて苗が育ってきた後に根を崩さないようにして、

育てるための鉢に移すか、最初から育てるための鉢に直接種まきし、混み合ってきたらまびいて育てる方が良いかもしれません。センブリは、気難しい植物で栽培するのは苦労すると言われています。中々育てることができた場合でも、根気よく付き合っていくようにしてあげてください。

増やし方や害虫について

増やすためには、種まきの時期を工夫することが大切です。発芽促進のため寒さにあわせてあげる方が良いでしょう。秋から冬にかけて種をまき、翌春に芽が出ます。そこから小さな苗のままで越冬し、2年目の夏にセンブリらしくなって、秋口にかけてに花を咲かせるようになります。病害虫対策としては、

病害としては、リゾクトニア菌や、アルタナリア菌による葉枯れ病、立ち枯れ病等に注意する必要があります。対策としては、チオファネートメチル,キャプタン、マネブ剤といった薬剤を、月に1回の割合で秋まで散布すると良いでしょう。害虫としては、シクラメンホコリダニによって、芯止まり症状を呈することがあります。

手間掛かる植物ではありますが、その薬効成分は素晴らしく、十分に苦労に報いてくれることでしょう。乾燥した全草を粉末にすることで、健胃薬として消化不良、食欲不振、胃痛、腹痛、下痢などに利用できます。また毛根を刺激することで、発毛効果を促進する作用があります。

50パーセントのアルコールに約5パーセントの割合でセンブリの粉を溶かしたものを冷暗所に一ヶ月程寝かせておくことで、ちょっとした発毛促進ローションを作ることができます。これを頭皮に縫ってをマッサージすると良いでしょう。また中国では1日量10から15グラムを煎剤として用いることで急性黄疸性肝炎や胆のう炎等、胆汁や膵液の分泌促進効果があるとされ、他にも鎮痛作用、抗炎症作用があることでも知られています。

センブリの歴史

センブリはリンドウ科センブリ属の二年草です。漢字で「千振」と書き、その学名は、Swertiajaponicaとなっています。薬草として利用されることでも有名で、生薬名「当薬」と呼ばれています。ドクダミやゲンノショウコと共に有名な薬草で、日本固有の生薬であり、漢方薬においては用いられていません。

センブリを使ったセンブリ茶は非常に苦いのですが、健康に良いということで、観光地のおみやげ店などで乾燥したものが売られていることがよくあります。ただし、この乾燥品は医薬品と見なされているため、医薬品医療機器等法の許可なく販売すると同法違反になってしまいます。

1856年に書かれた『草木図説』という書の中では、センブリについて、「邦人採テ腹痛ヲ治シ、又ヨク虫ヲ殺ス」と書かれています。また同じ江戸時代の書物の「和漢三才図会」には「和方の丸、散薬諸虫積聚の薬に入れて用いる」、「今の人はもっぱら当薬で肌着を黄色に染めてノミ、虱から守るのに使っている」と書かれており、当時からその薬効が知られていたことがわかります。

また貝原益軒の「大和本草」によると「糊に当薬の煮汁を入れて裏打ちし、屏風に張れば虫がわかない」とも書かれています。薬には開花期の全草が用いられ、乾燥させたものを、煎じるかあるいは粉末にして飲みます。その薬効は、胃腸虚弱、下痢、腹痛、発毛等であるとされています。またマスカラなどの化粧品に配合されていることも多いようです。

センブリの特徴

センブリは北海道から本州・四国・九州、朝鮮・中国に分布しており、粘土質の痩せ地草原、路傍などを生息地としています。センブリの草丈は一般的に5から30センチ程度です。茎の色は薄紫色で、太さは1から2ミリ程度で、その断面は四角くなっています。茎は直立し根元から数本に分かれて生えています。

1から3センチ程度の細長い線形の葉が対生し、発芽した芽はロゼット状の根生葉となります。夏から秋にかけて多数の花を咲かせますが、その白い花冠は深く5裂し、縦に紫色の線があります。花の基部には蜜腺溝があり、その周囲には細い毛が生えています。種子はやや円形です。花、葉、茎、根はすべて苦いのが特徴です。

この苦味が、胃の働きを活発にするので、健胃薬として利用されてきました。このセンブリの苦さは、人間相手ではなく、虫に食べられないためのもののようで、古い時代にはノミやシラミを殺す殺虫剤として使用されていました。医薬品などに利用されているセンブリは全量日本国内で生産されています。

以前は野生の採集が中心でしたが、昭和50年台に入ってから、長野県において本格的な生産が始まりました。その当時の価格は1kgあたり3万円程度となっていました。昭和48年になると発芽技術等、センブリの栽培技術研究が開始され、以降、長野県と高知県の農家で契約栽培されるようになっています。2007年には、長野県ではさび病が発生し生産量が大幅に減少することもありました。

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