パンクラチウムの育て方

パンクラチウムの育て方

パンクラチウムはヒガンバナ科パンクラチウム属の植物です。原産はスリランカで、地中海沿岸に生息地が分布しています。17世紀のヨーロッパが香辛料を求めてアジアへの航路を開拓していった時代に、発見された植物と言われています。スリランカは紅茶の産地としても知られていますが、パンクラチウムは香りのある白い花を咲かせることから観賞用として親しまれていました。

育てる環境について

パンクラチウムは、耐寒性と耐暑性の、どちらにも配慮が必要です。霜除け対策を施すことで耐寒性を高めることは可能です。秋に黄葉したあと、土の中から球根を掘り出して乾燥させておくと、越冬が容易です。球根は土から掘り出して乾燥させることにより、保存できるようになります。乾燥させた球根は保存が容易であり、保管場所は冷して暗い場所であれば、とくに問題ありません。

夏の高温多湿には弱いのですが、パンクラチウムは日当たりの良い場所を好みます。もともと耐暑性は備わっていますので、過剰な湿度で蒸れないようにすることが、上手な育て方につながります。保水性の高い土壌の場合は、真夏に水やりしたときに土の中が高温で蒸されてしまい、根にダメージとなります。根にダメージを与えないようにするには、排水性を高めると良いでしょう。

排水性が高い土壌であれば、根へのダメージが減りますので、日当たりの良い花壇でも安心して栽培できます。秋に黄葉し、球根を掘り出して保存した場合は、春になって霜が降りにくくなってから土の中に植えましょう。球根そのものは耐寒性を発揮しますので、春に遅めの霜が降りてしまうことがあっても、あまり問題ありません。

天気の良い日が続き、適度な温度と湿度の元で発芽し、葉と茎が成長を始めます。鉢植えやプランターの場合も、土には排水性を持たせるようにしましょう。観葉植物の栽培に用いられることの多いバーミキュライトを混ぜ合わせれば、排水性が高められますので、腐葉土から培養土まで幅広い土に対応できますので、育て方としては容易です。

種付けや水やり、肥料について

パンクラチウムは、原産がスリランカで、地中間沿岸地方に生息地が多く分布していることから、温暖な環境で、やや乾燥気味に栽培したほうが確実に生育させられます。初夏から夏にかけて開花したときは、地中の栄養分を、たっぷり吸収しますので、肥料を与えるのが理想的です。肥料は液体肥料でも、粒状の化成肥料でも、どちらでも適正があります。

注意したいのは、肥料を与えるときは、しっかりと水やりをすることです。特に粒状の化成肥料の場合は、水やりによって効果が得られます。粒状の化成肥料は、緩やかに効き目が浸透していきます。基本的に排水性の良い土で栽培していると、土が吸収しきれない水分は流れていってしまいます。流れてしまう水と一緒に、肥料の栄養分も流れていってしまいます。

ですから乾燥気味の土に液体肥料を、適切な濃度で撒くか、あるいは即効性でなく緩効性で粒状の化成肥料の栄養を浸透させるかにしたほうが、生育には適していると言えます。肥料を与えないまま生育させてしまうと、球根が痩せてしまいがちだという点も覚えておくと良いでしょう。球根を痩せさせないためには、花が咲き終わってから、

適切な濃度の液体肥料や、緩効性の粒状化成肥料を、しっかりと与えるようにしましょう。夏から秋にかけて、具体的には秋に黄葉するまでの期間に、追肥という形で肥料を与えるのが理想的です。追肥をされた球根は、掘り出して保存されている間に、しっかりと冬眠状態となり、春に土の中に植えたときの生育スピードが速くなります。

増やし方や害虫について

パンクラチウムは球根草ですから、株分けで増やすことが可能です。株分けを行うときは、球根を掘り出して作業をすると安全です。何年にもわたり、庭の花壇に植えてある状態の場合は、自然に株が分化して増殖していく場合があります。しかし自分で意図的に株分けを行う場合は、秋以降に行うのが良いでしょう。

秋に黄葉してから球根を掘り出して、保存させるために乾燥させるわけですが、乾燥させると株分けが容易に作業しやすくなります。乾燥させた球根は、容易に手で分けることが可能であり、株分けの作業のことを分球と呼ぶこともあります。パンクラチウムは、病気や害虫の被害は少ないほうです。

夏の高温多湿にさえ気をつけていれば、病気にはかかりにくいです。ただし健康な状態であっても、アブラムシが付いて繁殖してしまうことがあります。病害虫対策というよりも、害虫忌避対策のほうが効果的です。パンクラチウムを狙って虫が来るというよりも、栽培している環境で発生する虫が付いてしまい、繁殖することがあると認識しておくと良いでしょう。

保水性の高い土壌にしていても、梅雨の時期の花壇にはナメクジが寄ってきてしまうことがあります。寄せ植えで栽培しているときは、ナメクジが茎や葉を伝ってしまうことで、白い線が現れてしまい、見栄えが損なわれてしまいます。花壇の脇に、空の容器にビールを入れておくと、ナメクジが寄ってきますので、一網打尽に捕らえることが可能です。無農薬栽培で活用されるニームやヒバオイルなどの精油を希釈して、土と茎と葉に散布しておくと、アブラムシ被害を抑制できます。

パンクラチウムの歴史

パンクラチウムはヒガンバナ科パンクラチウム属の植物です。原産はスリランカで、地中海沿岸に生息地が分布しています。17世紀のヨーロッパが香辛料を求めてアジアへの航路を開拓していった時代に、発見された植物と言われています。スリランカは紅茶の産地としても知られていますが、パンクラチウムは香りのある白い花を咲かせることから観賞用として親しまれていました。

スリランカの亜熱帯性気候が原産であり、ヨーロッパの寒冷気候に適合するか不安要素もありましたが、イギリスで植物の栽培を温室で行うようになっていくのに合わせて、亜熱帯気候や熱帯気候の植物でも栽培することが比較的容易になっていき、やがて広く分布するようになりました。地中海の気候と風土にも適合したとこから、地中海沿岸地域の、比較的に温暖なエリアにも自生するようになっていきました。

ヨーロッパへ持ち帰られたときに、品種改良を必要とせずに、容易に栽培できるようになった希少な亜熱帯性植物のひとつとも言われています。同じヒガンバナ科の植物であるスイセンに似た花であることから、昭和時代初期の日本でも親しまれるようになりました。日本では、当初は切花として贈答用に利用されることの多かったパンクラチウムですが、

球根草であることから庭へ植えて栽培されることが増えていきました。庭の花壇で栽培させることによって、秋に黄色い葉になってから球根を掘り出して乾燥させることで貯蔵が可能であることが分かり、自生では困難とされていた越冬が可能になったことで、さらに世界にも広がっています。最近では、屋外と屋内の両方で生育環境を微調整させられるように鉢植えでの栽培も人気があります。

パンクラチウムの特徴

パンクラチウムはヒガンバナ科パンクラチウム属の植物であり、同じくヒガンバナ科のスイセンに似た花が咲きます。スイセンよりも、ひとまわり大きな花が特徴です。開花の季節は初夏です。葉は6枚から8枚を、茎の根元である球根部分から、放射状に生えさせます。葉の長さは、およそ50センチメートル前後と長めであり、葉よりも高い位置である地上およそ60センチメートルのあたりに花茎が成長します。

鉢植えやプランターで栽培した場合には、土の中に広がる根の長さが茎や葉にも影響してきますので、やや小さめに生育しやすい傾向にあります。スイセンと同様に、花茎の先端部分が散形花序を構成します。散形花序の色は白です。散形花序というのは、およそ同じくらいの長さの花柄が、放射状に生育していく花序のことです。

パンクラチウムは、スイセンよりもひとまわり大きな花を咲かせることから、ヒガンバナ科の散形花序の代表的存在にもなりつつあります。亜熱帯気候のスリランカや、温暖気候の地中海沿岸に生息地があることから、越冬が困難と言われてきましたが、霜除け対策を施しておくことで越冬させることも可能になっています。球根草ですので、地面から掘り出して保存しておくと、越冬対策は万全です。

耐寒性は、やや弱いです。耐暑性は、比較的備わっています。耐暑性そのものは備わっているのですが、日本の高温多湿の夏には、やや不向きな点があります。とくに地中海沿岸に自生してきた品種は乾燥を好む傾向が強く、過剰な湿度は茎や根にダメージとなりやすいからです。鉢植えの場合は、排水性の高い土にすると良いでしょう。

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