ペトレアの育て方

育てる環境について
原産地であるメキシコや中米のように、暖かく日当たりが良い環境を好みます。日当たりの悪い場所で育てると、つるは伸びますがやはり発育は悪く花は咲きません。庭に直接植える場合は日当たりを考え植えましょう。鉢植えやプランターで育てる場合は、つるの状態にもよりますが、動かせるようであれば季節の移ろいと共に日当たりの良い場所へ移動させると良いでしょう。
春夏秋と問題なく外で育てられますが、冬になると注意が必要です。前途の通り寒さには強い方ですが、やはり寒すぎると枯れて越冬できなくなります。冬になり気温が下がってくるとペトレアは葉を落としてしまいます。ですが根は生きており、霜にさえ当てなければ土の下で耐え、暖かい春を迎えるとまた目を出して復活します。
0度程度まで耐えることができますが、葉を落とさず越冬させたい場合は温度を10度前後に保ってやりましょう。それにはやはり冬の間は室内に避難させることがベストです。植え付ける際に鉢植えまたはプランターに植え移動可能な状態にしておきましょう。
庭に直接植えた場合には、霜を防ぐためにペトレアの根本にワラや枯れ葉、園芸用品店などで売られているバークという樹皮を敷きましょう。またマルチシートなども売られているのでそちらを利用しても良いですね。一年草ならば諦めもつきますが、ペトレアは手をかければ毎年楽しめる多年草です。寒さと霜から守って、来年も美しい花を咲かせましょう。
種付けや水やり、肥料について
ペトレアの苗は春になると園芸店で購入することができます。種からの栽培は難しいため、苗を植え付ける方法が一般的です。植え付け、植え替えには4月が適していて、水はけがよく湿り気を保てる用土に植えます。春から秋にかけての成長期にはおよそ2週間に1回を目安に液体肥料を与えます。液体ではなく固形肥料を使う場合は2ヶ月に1回が目安になります。
ぐんぐんつるを伸ばすために適量の肥料を与えて成長の手助けをしましょう。冬場は追い肥は必要ありません。冬になると寒さで休眠状態となるので、肥料は与えずに霜除けをしましょう。ただし、室内に移動させ葉を落とさずに保てている場合や、気温が確保でき新芽が出てきている場合は液体肥料を与えて越冬をサポートしましょう。
過度に肥料を与えすぎてしまうと、大きく育ちすぎてしまいます。つる性の植物なので這わせる場所の許容量を越えないよう、肥料の量にも注意が必要です。もしつるが伸びすぎてしまったり大きくなりすぎてしまった場合には剪定で整えましょう。春から秋にかけては土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
乾燥しているよりも湿度が保たれている状態を好むため、特に日差しが強くなる時期には乾燥に気を付けましょう。冬場は逆に乾燥気味にします。成長が鈍り休眠時期に入るのであまり水を必要としないためです。室内の場合は水やりを控えめにしつつも、土の湿度が保たれた状態をキープするよう心がけましょう。育て方のポイントは、春から秋は乾燥させずに水と肥料を与え、冬場は霜を避け休ませることです。
増やし方や害虫について
ペトレアはさし木で増やすことができます。枝を5㎝から7㎝ほど切り、市販のバーミキュライトや赤玉土の小粒など清潔な用度を用意しさして増やします。春になり暖かくなってきたら植え替えましょう。また、2年に1回は植え替えが必要です。根詰まりしてしまうと生育が衰えて、花のつきが悪くなってしまいます。ペトレアにつく害虫は主にカイガラムシとアブラムシです。
カイガラムシはその名の通り殻を被った虫で、その為薬剤が虫本体に行きづらく駆除が難しい、吸汁性の害虫です。孵化したばかりの幼虫であれば薬剤がもっとも効果的です。およそ5月から7月頃に幼虫が現れることが多いので、時期が来たら成虫になる前に見つけて駆除することが望ましいでしょう。成虫の場合は歯ブラシなどで払って落とすことができます。
ただし茎や枝を傷つけないように優しく扱いましょう。アブラムシも薬剤で駆除できますが、死骸の多くは茎についたまま残ってしまうため同じく歯ブラシで払い落とすのが良いでしょう。もし傷つけるのが心配であれば、紙でできたクラフトテープなどでくっつけて駆除するという方法もあります。
葉の裏に発生するハダニもクラフトテープで簡単に駆除することができるのでおすすめです。つるの形もきれいに伸び見事な花を咲かせているのに、アブラムシやカイガラムシがついていると生育も悪くなり、何よりもペトレアの美観を損ねてしまいます。害虫はできる限り駆除し、美しいペトレアの花を楽しみましょう。
ペトレアの歴史
ペトレア属はクマツヅラ科の植物で、一口にペトレアといっても様々な種類があります。およそ30種類ほどあり、その中でも日本で比較的一般的に園芸種として楽しまれているのはヴォルビリスという紫色の花です。つる性の低木で、細い枝はたくさん枝分かれしており、重みで弓なりにしなった枝の先端に房状の紫色の花を咲かせます。
その姿、花の色からパープルリースとも呼ばれています。一つ一つの花は大きい花と小さい花が二2枚重なっているように見えますが、下の大きい花に見える部分はガクです。花自体は寿命が短くすぐに散ってしまいますが、散ったあとも薄紫色の星形をしたガクが残り、長い期間楽しむことができます。
その独特なガクの形には意味があり、花が散ったあと種を飛散させるときにプロペラのような役割をするといわれています。葉の表面は触るとざらざらとしていてまるで紙ヤスリのようだということから、英名でサンドペーパー・バインと呼ばれています。バインとは英語でつるを意味します。紙ヤスリのつるなんてユニークな名前ですね。
紫の花のヴォルビリス以外にも、白い花を咲かせるアルビフロアなどもあり種類は豊富です。原産地はメキシコ、中米の暖かい地方で、暑さにとても強い植物です。では寒さには弱いのかといいますとそうではなく、極端に寒い、または冬に霜が降りてしまうことを防げれば越冬させることが可能です。ペトレアという名前は、18世紀イギリスの植物学後援者のぺトレという人物が由来となっています。
ペトレアの特徴
ペトレアは花に特徴があります。紫の花と薄紫のガクが重なり咲いている様はとても美しいのですが、残念ながらその美しさを楽しめるのはおよそ3日ほどです。しかし花が散ったあと種を飛散させるまでの長い間、ガクがまるで花のように残ります。園芸やガーデニングでは、むしろそのガクを鑑賞する事が目的の植物ともいえます。
どんな植物でも花が散ってしまったあとの姿はどこか寂しいですが、ペトレアは種が飛ぶまで楽しむことができます。背丈はおよそ10m程になりますが、つる性の植物なので剪定誘導し好きな高さ、方向へ伸ばすことが可能です。ただし伸びたつるの先に房状の花が咲くため、剪定誘導する際は開花時期を避けた方が無難でしょう。
壁に這わせたりアーチ状にしたりと、庭を飾るにはつる性の植物が大活躍です。どういう形で咲かせたいのかあらかじめ決めてから、場所を決め栽培に取りかかると良いでしょう。そして暖かく日当たりが良いことが生息地としての条件ですが、耐寒性もある植物で冬場も0度近くまで下がっても霜にさえ当てなければ枯れずに耐えられます。
理想としては鉢植えなどで育てる場合は、冬の間室内の日が当たる場所へ避難させることが望ましいですが、それができなくても気温と霜に注意してやれば越冬させることが可能です。花だと思ったらガクだったり、暖かい気候と日当たりを好む植物なのに耐寒性がやや強かったりと、ペトレアは美しさの他に意外な一面を持った魅力ある花です。
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