アイビーゼラニウムの育て方
アイビーゼラニウムの育てる環境について
アイビーゼラニウムの育て方は比較的に容易です。鉢植えやプランターで育てられます。住まいの開口部である窓辺に設置すると、害虫に対する忌避効果を発揮してくれます。吊るすタイプの鉢植えやプランターを使用して栽培すれば、茎の下垂性を効果的に得られますので、美しい装飾効果が得られます。
吊るすタイプの鉢植えやプランターは、ハンギングとも呼称されています。耐寒性と耐暑性には、やや難点があるものの、対処方法があります。積雪や霜が発生する季節は室内に移動すると良いでしょう。鉢植えやプランターなら移動が容易です。
地面に直接植えて栽培する場合は、しっかりと茎が太くなるように育て、下垂性のある茎を効果的に横へと広がるように導き、広い面積を覆うように育てると良いでしょう。夏の高温多湿な環境への対策として、夏に剪定して風通しを良くしておく方法が効果的です。
刈り込むように剪定しても大丈夫です。真夏になる直前に刈り込み剪定をしておくと、真夏の高温多湿でダメージを受けにくく、夏の間に新しい芽が育ち、秋になってからの開花を楽しむことができます。葉は常緑性ですから、葉の状態を見ながら、屋外が良いか、
室内に移動したほうが良いかを見極めるのが上手な育て方です。湿度の多い環境であれば、一階よりも二階のほうが育てるのに好条件になっていきます。風通しにさえ気をつければ、日当たりの良い窓辺でも、半日陰の窓辺でも、しっかりと育っていきます。
種付けや水やり、肥料について
アイビーゼラニウムは高温多湿が苦手ですから、土の表面が乾燥してきたら水やりをするようにしましょう。水やりのポイントは、たっぷりと与えることです。鉢植えやプランターであれば、たっぷりと水を与えて、余分な水は下へ排水されていくのがベストです。
排水性を良くするためには、鉢植えやプランターで栽培するときには鉢底石を敷き詰めておくと効果的です。鉢底石には、鉢やプランターの外から虫が土に入り込もうとするのを阻止する効果もあります。鉢やプランターに植えるとき、あらかじめ土に肥料を混ぜておくのも効果的です。
カルシウムを含む緩効性化成肥料が効果的です。用土に混ぜておくタイプの肥料が、いわゆる元肥と呼称されるものです。あらかじめ用土に混ぜておく元肥に対して、栽培しながら追加していく肥料のことを追肥と呼称しています。追肥は液体肥料が効果的です。
開花が盛んな夏には、適度に液体肥料を与えると、花が長持ちし、たくさん開花します。カルシウムを含む緩効性化成肥料を、土の上に置いておくのも良い方法です。水やりのたびに養分が溶け出して、ゆっくりと土に染みていき、吸収されます。花からは種子が採取できます。
冬の間は保存しておき、春になってから蒔くと発芽します。種子からの発芽は、耐寒性が弱いので、茎が太くなるまでは室内で管理したほうが良いでしょう。アイビーゼラニウムは、ややアルカリ性の土壌を好みます。苦土石灰を混ぜることで、アルカリ性に整えることが可能です。
増やし方や害虫について
アイビーゼラニウムは、茎を剪定して水に挿しておくことで容易に発根しますので、簡単に増やせます。茎を切るときは、脇芽として新芽が出ている真上の辺りが狙い目です。すると剪定されて残った茎からは、脇芽が大きく成長しますので、切り口が目立たなくなり、花も増えるからです。
挿し木も容易です。挿し木で増やしたいときは、アイビーゼラニウムを栽培している鉢植えやプランターとは別の土にしたほうが失敗しにくくなります。挿し木は、無菌の土壌が好まれるからです。赤玉土や鹿沼土などを利用して挿し木をすると、発根しやすいです。
茎を長めに切った場合は、下のほうの葉を取っておきましょう。葉を取ることで水分を蓄えやすく蒸発量を減らすことができますし、残した葉は光合成を行い栄養分を作ってくれます。アイビーゼラニウムは害虫に対する忌避効果が高く、ハエや蚊が寄り付きにくいのが特徴です。
しかし害虫かどうか微妙な虫が、付着して葉を食べることもあります。屋外からの大きなハエには忌避効果が高いのですが、キッチンなどで小バエが湧いてしまうと、鉢やプランターの土の表面の水分を求めて繁殖してしまうことがあります。苗を購入してきたときは、茎にカイガラムシが付着していることがあり、
購入時には気づけずに家で育て始めてからカイガラムシが繁殖してしまうこともあります。カイガラムシは、古い歯ブラシを利用して擦り落とすのが効果的です。天然ヒバやヒノキなどの精油を利用して、水で希釈して茎や葉に噴霧しておくと、カイガラムシ予防と、小バエ予防に効果的です。
アイビーゼラニウムの歴史
アイビーゼラニウムは南アフリカのケープ地方原産の植物です。科名はフウロソウ科で、テンジクアオイ属です。テンジクアオイ属はペラルゴニウム属とも呼称されています。和名はツタバゼラニウムです。もともとは南アフリカのケープ地方に生息しているペルタツムを、園芸用に品種改良されました。
園芸用としての品種改良により、観賞用植物として広まりました。観賞用植物として栽培されているものを、とくにゼラニウムと呼称されています。ゼラニウムは品種改良が盛んに行われてきましたので、種類が豊富です。中でも、アイビーゼラニウムはアイビーの葉に似ていることで知られています。
アイビーの葉に形状や色合いが似ていて、アイビーよりもしっかりとした厚みのある葉です。成長するにしたがって茎が下垂することから、鉢植えやプランターを吊るして栽培されることも多いです。アイビーゼラニウムに含まれている香りの成分には、害虫に対する忌避効果が高いため、
害虫対策として窓辺などの住まいの開口部で栽培されるのに最適との評判になり、ヨーロッパで広く親しまれるようになりました。ヨーロッパの窓辺に、花が色とりどりに咲く景色が写真などで紹介されることが多いため、世界的にも広まりました。
近年では日本でも、明治時代の洋館のようにヨーロッパ風の建築が増え、ヨーロッパの窓辺の代名詞的存在の花として脚光を浴びるようになりました。さらには、農薬を使用せずに人体に安全な害虫対策が喜ばれるようになったことから、アイビーゼラニウムが注目されるようになりました。
アイビーゼラニウムの特徴
アイビーゼラニウムは、原産地である南アフリカや、品種改良されて広まった代表的な生息地であるヨーロッパのように、緯度が高くて涼しい地域でも栽培が盛んなのですが、耐寒性は決して強いとは言えないのが特徴です。そのため積雪や霜が降りる季節には、室内に移動して越冬させながら栽培させたほうが、失敗しにくいと言えます。
耐寒性だけでなく耐暑性も、決して強いとは言えません。特に高温多湿を嫌う傾向にあります。日本の梅雨や真夏のように、高温多湿になりがちな場合は注意が必要となります。アイビーゼラニウムは、寒さと暑さに対して、やや弱い傾向があるものの、香り成分が濃く、しっかりと根が育てば育つほど丈夫になります。
茎が太くしっかりしてくると、越冬も容易になっていきます。茎が下垂することも特徴なので、窓辺で栽培することで、窓から下へ下へと伸びていき、たくさんの花を咲かせるとともに、花から発せられる香りによって害虫に対する忌避効果も一段と高まっていきます。
見た目の彩り豊かな色と美しさは観賞用に最適であり、害虫に対する忌避効果が高いことは実用的であると言えます。住まいを彩る美しさと、害虫避けの効果によって、住まいを衛生的に暮らせる環境に整えられるというのも重要な特徴です。特に害虫が媒介する病原菌に対する強さから、感染病の流行を予防させる効果も期待されています。
アイビーゼラニウムの葉は厚く、緑色が濃くなりますので、鮮やかな花の色を引き立たせてくれる効果もあります。花は白と赤が多く、品種改良によりピンクや紫もあります。いくつかの色が混ざり合って、複色と呼称されるものもあります。開花は春、夏、秋と比較的長く、初夏から夏にかけてが盛んです。
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