ナルキッスス・バルボコディウムの育て方
育てる環境について
ナルキッスス・バルボコディウムは生育期と休眠期がはっきりしていますので、植える時期は気を付けましょう。生育期には日当たりの良いところで栽培したほうがすくすくと成長しますが、寒さにはそれほど強くありませんので、北風が強い時期や厳しい凍結、
大雪などが見られるときには対策をする必要があります。これらの被害にあうと、花芽が傷んで開花しないこともあります。また、休眠期は夏場になりますが、この時期には強い日差しに当たりすぎると球根が傷むこともありますので、逆に涼しい環境を用意する必要があります。
鉢植えで育てる場合には、生育期は日当たりのよい庭先や窓際の棚上などに置いておくとよいでしょう。また、冬場にはできれば室内の明るい窓辺などに移動させるのがよいですが、置き場所がなければせめて雪や風を防ぐことができる玄関先などに移動させましょう。
庭植えの場合には、午前中に日が当たる、花壇や落葉樹の根元などがおすすめです。ただ、他の植物と競合した場合、負けてしまうことがあります。できるだけ単独で植えるようにしましょう。ただ、ほかの植物と共存しているケースも多くみられますので、
寄せ植えをしたいときには少量の球根から試してみるとよいでしょう。この花は、ある程度水を必要としているものの、水はけのよい土と日当たりのよい場所が必要になりますので、土が固すぎるところは専用の土を入れるなど、対策をとることをおすすめします。
種付けや水やり、肥料について
ナルキッスス・バルボコディウムの種まき時期は6~8月、植え付けや植え替えは8~9月上旬がおすすめです。開花期に入手した球根は、休眠を待ってから植えこんだほうがよいでしょう。植えるときには、重みのある用土で深い場所に植え込むことが水仙に共通するコツです。
用土は球根の上部か、鉢の高さの中ほどになるように入れるとよいでしょう。また、この花が自生しているところでは、生育期は雨季、休眠期は乾季になりますので、水やりもそのタイミングで調整します。生育期に該当する秋の彼岸ごろからは毎日水やりをして成長を促すことにより、芽が出てきます。
冬の間は用土の乾き具合を見ながら、屋外であれば1~2日に1回、屋内であれば2~3日に1回程度に減らす程度で十分です。また、冬場は凍結を防ぐような対策も行いましょう。夏場の休眠中はさらに回数が減り、週1回程度のペースで軽く水やりをすればよく、地面をやや乾かし気味にしておきましょう。
庭植えの場合には、日照りが続かない限りは雨が降ったときだけで十分です。肥料は植え込みの際に、元肥として緩効性化成肥料を1株当たり数粒入れておきます。鉢植えの場合には、生育期に2週間に1回、
リン酸とカリが多めの液体肥料を追加することで球根も成長し、多くの花が咲きます。また、芽が出てからはリン酸の多いものを置き肥するのも効果的です。特に庭植えの場合には、真冬以外の生育期に行うと効果が高くなります。
増やし方や害虫について
この花の増やし方は、植え替えの際の分球です。球根を自然に分かれる部分で分けるようにして、球根が結合しているものの場合には、芽が分かれていても無理に分けないほうがよいでしょう。植え替えは毎年行うのが理想的ですが、数年に一度でも問題ありません。
球根が湿っていたら傷みやすいため、乾かした後で植え込みましょう。また、花が咲いた後にできたタネがはじけたら、親株と同じ用土にとりまきします。こちらの発芽は翌年の秋から冬になり、花が咲くまでには3年かかります。
害虫はアブラムシやナメクジ、ネズミなどに注意が必要で、特に暖かい置き場では、開花期にアブラムシの発生が見られます。また、ナメクジも開花期に現れると、花を食べるので注意が必要です。休眠中や冬にはネズミが球根を食べることがありますので、時々様子を確認しましょう。
これらの被害を避けるため、鉢植えにするときには通気性と水はけがよく、口が広く深めなものを選びましょう。また、水仙はウイルス病に注意が必要です。これにかかると葉に不規則な色むらが出てきますので、気が付いたら他の株に感染しないように、株ごと抜いて処分しましょう。
また、根や茎が柔らかく腐っていく白絹病の症状が見られたら、拡大防止のため球根ごと掘り起こして処分しましょう。当然、病気が発生した個所の土壌も汚染されてしまいますので、しばらくその場には植物を植えずに休ませるか、消毒することをおすすめします。
ナルキッスス・バルボコディウムの歴史
ナルキッスス・バルボコディウムのナルキッススとは、ギリシャ神話に出てくる青年の名前からつけられています。ナルシストという言葉の語源にもなっており、神話では自分の美しさを高く評価するあまり、自分に恋心を抱く相手に対して冷たい態度をとってきたことから、
復讐の目がもの怒りに触れて自分しか愛せなくなってしまいます。ある日、泉に移った自分の姿に恋をして、その場から動けなくなってやがて死んだ後、この花が咲きだしたといわれています。原産地は地中海沿岸地方西部で、バルボコディウムというのは釣鐘形の鱗茎という意味です。
交配などによる変種や園芸品種なども多くみられますが、ナルキッスス・バルボコディウム自体は小型原種水仙の代表的な種類であり、かなり以前からみられる品種の一つです。比較的自生しやすい花であることから、変種や亜種を含めると、生息地はヨーロッパ南西部や北アフリカにわたってかなり広く分布しています。
ちなみに、記録に残されている水仙の中で最も古いものは、およそ2000年前のエジプトで発見されたフサザキスイセンと、古代ギリシア時代の詩に見られるクチベニスイセンです。ナルキッスス・バルボコディウムはこれよりはのちに発見されているものの、
ラッパズイセンやナルキッスス・キクラミネウスと並び、代表的な野生種として知られています。園芸種は1850年頃から改良が盛んになっており、およそ100年程度の間にかなりの品種が英国王立園芸協会に登録されています。
ナルキッスス・バルボコディウムの特徴
ナルキッスス・バルボコディウムは小型原種水仙であるため自制力も強いですが、自生する土地の気候は雨季と乾季がはっきりしており、日当たりのよい草原や岩場などに生えることが多いです。一方で、中には雨季に水没するような場所に自生することもあり、
水が多すぎるからと言って根腐れなどで枯れてしまうような弱さは持ち合わせていません。日本でも水仙の仲間は多数咲いていますが、こちらのナルキッスス・バルボコディウムも国内での栽培が可能です。花の特徴は漏斗状の副花冠と、細い披針形の花弁です。
ペチコートに似ていることから、ペチコートスイセンとも呼ばれています。花の色は白や黄色で、秋の中ごろから葉を伸ばしはじめ、冬が終わるころから花芽が見え始めます。早春のころに花が咲きますが、1茎に1花のみ、茎に対して横向き、あるいは斜め上向きに開きます。
副花冠と花弁の長さはおよそ2㎝程度、葉は長さ10~20㎝程度で、円柱に近い形をしています。茎ははより長くなっており、ラッパスイセンなどのような葉の存在感は見られません。大きさもそれほどではありませんので鉢植えにしても可憐なイメージがあり、
室内のインテリアとしてもぴったりです。日本でよく見るような水仙とはイメージが異なりますが、育て方は基本的に同じです。交配も比較的簡単で、自分だけの花を咲かせる楽しさもありますし、原種が持っている本来のかわいらしい花を愛でるのもおすすめです。
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