プリムラ・シネンシスの育て方

育てる環境について
育てる環境としては、日光がさんさんと降り注ぐようなところ、北風や凍結などの影響を受けやすいところ、湿度が高いところなどを避ける必要があります。基本的に日陰で暑さ寒さが厳しくなく、適度に湿度が低いところのほうがおすすめですので、
自宅の環境によっては鉢植えで季節によって場所を変えてみるというのもよいでしょう。庭植えをするときには、樹木の下や東向き、または北向きで、雨を避けることができて日陰になる軒下などに植えるのがおすすめです。また、北風には弱いですが、
風通しの良いところのほうが病気になりにくいため、あまりにも建物などの陰になる場所は避けましょう。プリムラ・シネンシスは他の植物と一緒に育てることも可能ですが、生命力の強い植物とは共存できないことがありますので、最初のうちは少なめに株を植えてみて、
様子を見ながら株を増やしていきましょう。また、寒さが厳しい真冬にはビニールで覆うなどの防寒をしておいたほうが安心ですが、湿度の高い時期には灰色かび病が発生することがありますので、通常は覆いをせずにこまめに換気をしましょう。
鉢植えの場合には、赤玉土中粒5、腐葉土3、酸度調整済みピートモス2の配合土など、水はけのよい土を用土として使用します。元肥としてリン酸分の多い、緩効性化成肥料を適量混ぜて植えつけるとよいでしょう。置き場所はやはり日陰で湿度の低い場所がおすすめですが、冬場は明るい室内に移動させます。
種付けや水やり、肥料について
種付けは6~7月頃が最適で、発芽に光が必要ですので種をまくだけで、土はかぶせません。ただ、強すぎる光には弱いため、種まき後から9月下旬までは必ず半日陰に置きましょう。9月ごろには本葉が3~4枚みられるようになりますが、このタイミングで2.5号鉢に鉢上げします。
その後、11月ごろに4号程度の鉢に鉢増しして、春に開花させます。なお、この花は2年に1回程度の割合で植え替えをすることで生育が良くなりますが、古株になると枯れやすいため、ある程度植え替えを繰り返したら種まきで新しい株を作るようにしたほうがよいでしょう。
植え替えのときは、根を切らないように注意しましょう。また、おおよそ咲いた後の花をこまめに摘み取ることで株の疲労を和らげます。庭植えの場合には特に水やりをする必要はなく、雨が降った時の水分や土に含まれる水分だけできちんと成長します。
もともと日陰においているので夏場でも水分が完全になくなるということはほとんどありませんが、日照りが続いて土がひび割れるほどになった時には表面が湿る程度に水をかけておくとよいでしょう。鉢植えの場合には、栽培期間を通じて水やりをする必要があります。
土の表面が乾いたら、その都度たっぷり水を与えましょう。肥料は庭植えの場合には、10~11月と3~4月に、緩効性化成肥料(チッ素N-リン酸P-カリK=10-10-10)を施します。鉢植えの場合には、10~11月と2~5月に液体肥料(N-P-K=6-10-5)を施します。
増やし方や害虫について
増やし方は、花から落ちた種が子株になった時に取り分けておく方法と、花から作られた種を取っておいて種まきをする方法があります。基本的には種で増やすほうがおすすめですが、採取できなかった時には零れ落ちた種からできた子株を植え替えましょう。
植え替えは涼しくなってから行うのがよく、地熱が残る時期に行うとダメージが株に影響を与える恐れがあります。一方で、種まきは6~7月頃が最適ですので、採取したものを保管しておきましょう。プリムラ・シネンシスにみられる害虫は、夏越しするときにはハダニなどに注意が必要です。
また、10~7月の間には、低温や多湿が原因で灰色かび病が多発します。この病気は多くの植物で見られ、茎や葉が溶けるように腐り、さらに病気が進行すると灰色のカビに覆われます。花は花弁に水滴がにじんだようになったのち、斑点がみられ、進行すると花が褐色になって腐り、
やがて灰色のカビに覆われます。2~7月の間は枯葉を放置しておくとこの病気にかかりやすくなるため、こまめに取り除き、追肥を行うことで予防になります。また、10~11月、2~5月にはアブラムシが発生します。見つけた時にはすぐに取り除き、
普段は風通しの良いところに花を移動させておくと発生を軽減できます。プリムラ・シネンシスは育て方が難しい花ではありますが、上手に育てると年々立派な花を咲かせるようになりますので、挑戦のし甲斐があります。移動させやすい鉢植えから試してみましょう。
プリムラ・シネンシスの歴史
プリムラ・シネンシスは日本では寒桜と呼ばれていますが、もともとは中国の中南部が原産です。そのため、英語ではChinese primroseと呼ばれています。この花は標高900~1100mの茂みや林の中に生えており、桜の仲間ではあるものの、高さは10~30cm程度しかありません。
原種の花は淡い桃色をしていますが、後に多くの園芸品種が作られたことから、白や桃色、青、赤などの様々な色合いが見られます。ただし、一般的に出回っているのはほとんどが白い花になっています。プリムラ・シネンシスと種が類似している植物として、日本でよく知られている緋寒桜があります。
こちらは中国南部から台湾が生息地となっているため、原種は近いものと考えられます。海抜500~2200mの山地に自生しており、プリムラ・シネンシスよりは広範囲に分布しています。日本では園芸品種とされていますが、沖縄県を中心として野生化しているものが、
多くみられるため、沖縄では桜というと緋寒桜のことを指しています。国内で本州を中心に咲いている通常のソメイヨシノなどの桜と比べると、早い時期に花を咲かせる桜で、2~3月に見ごろを迎えます。これらの桜はいずれも中国から日本にわたってきたと考えられていますが、
近年では交配によって日本で育ちやすくなっているうえ、色合いも種類が増えて見ごたえがあるものとなっています。大型で花の数が多いものも出回っており、鉢植えなどで楽しまれています。
プリムラ・シネンシスの特徴
プリムラ・シネンシスはウンナンサクラソウに近い種類で、冬から春にかけて長い間花を楽しめるのが魅力的です。こちらの花はサクラソウを大きくしたような五弁の花で、さまざまな交配種も多くみられます。葉は縁に薄い切れ込みの入ったぎざぎざの形で、毛の多い楕円形です。
葉の表は濃い緑色ですが、裏は赤紫がかった色合いになっています。ピンクや赤、青紫、オレンジ、白などの様々な色合いで波打つ花弁をもつフィンブリアタ系の品種と、一般的な桜によく似た形で、白い花弁のステラタ系の品種が多く栽培されています。
ステラタ系の品種は暑さや寒さに強いため、自宅で育てるときなどに人気があります。本来は多年草ですが、一部の品種を除いては暑さに弱く、暖かい土地では一年草扱いされることがあります。一方で、冬でも花が楽しめることから新しい株を育てる人も多いです。
日当たりのよい土地よりも日陰になる時間帯が多い場所がお勧めで、強い光がなくても育ちますので、鉢植えにして室内に飾っている人も多いです。ただ、過湿には弱いため、濡れやすい場所や湿度の高い場所は避けて、東や北向きの軒下などで栽培するとよいでしょう。
また、この花は多年草とはいうものの、寿命は2~3年程度しかありません。そのため、長く楽しむためには新しい株を育てるようにする必要があります。種がこぼれて自然と古株ができることが多いので、子株をほかの場所に植え替えておくとよいでしょう。
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