サツキの育て方

サツキの育て方

日本が原産のサツキの歴史は古く5世紀から8世紀頃の万葉集にも登場します。江戸時代に多くの品種がつくられました。盆栽に仕立てやすいことから、武士から庶民まで多くの人に愛され、流行となりました。

サツキの育て方

日照時間が不足すると花つきが悪くなりますので、少なくとも午前中は日が当たる場所を選びます。鉢植えの場合は、基本的に通年戸外で管理しますが、花が咲いている期間は室内でも構いません。通常は日当たりのよい場所に置き、夏は半日蔭、冬は寒風に当たらない場所が適しています。

植え付け時期は開花期を除く3月下旬から6月中旬、または9月下旬から10月です。鉢植えは、2,3年ごとに植え替え、または鉢増しを行います。根を3分の1程度崩し、深植えにならないように気をつけて植えます。そして、以下のような手順で植えるとよいでしょう。

赤玉土小粒5、鹿沼土小粒3、ピートモス(酸度未調整)2の割合で配合し、水はけと水もちのよい酸性土壌を作ります。植える前に穴を堀り、よく耕しておきます。混ぜ終わった土で地面より5~10cm高く小山を作ります。

ポットから抜いた木は根の土を2分の1程度落とし、根をほぐし、小山の中心に深植えにならないように植えます。株元と周辺をバーク堆肥や腐葉土などでマルチングをすると乾燥や地温の上昇を防ぐことができるのでおすすめです。

木の転倒を防ぎたい時には支柱を立てます。最後に、たっぷりと水やりをします。購入してきたサツキの鉢植えは、水はけをよくするために鹿沼土の割合が多く、夏季の高温乾燥時に水切れを起こして枯れてしまうおそれもあります。様子を観察して水切れしそうな場合は、赤玉土細粒5、鹿沼土細粒3、ピートモス(酸度未調整)2を配合した土にしてみると良いでしょう。

サツキの栽培時の注意点

鉢植えは夏季、乾燥しやすいので、朝と夕方の二回、鉢底から水が出るまで水やりをします。庭植えは基本的には水やりの必要はありません。しかし、夏など極端に乾いた時は、気温の上がる日中を避けてたっぷりと水やりをします。

また季節を問わず、花や枝がだらんとした場合は水切れをしていますので、水やりをしましょう。鉢植え、庭植えのどちらも開花後にお礼肥として肥料を施します。7月まで月1回、庭木に適した肥料「マイガーデン植物全般用」や「マイガーデン花・野菜用」などを施しましょう。

植え替え直後は施肥せず、様子をみて、3週間後位から施しましょう。また、株が充実してくる9月下旬から10月に1回、施肥します。庭植えの場合は、枝が茂ってる部分とほぼ同じ範囲に根が張っているので、その外側に浅く埋め込むようにして施します。

気温が高くなる5月から6月、梅雨明け、9月上旬など乾燥する季節にはハダニ類やツツジグンバイが発生します。葉の汁液を吸い取るので、葉が白くなったり、落ちてしまったりするので気をつけましょう。

ハダニ類の予防・殺虫には「バロックフロアブル」、ツツジグンバイの予防・殺虫には「ベニカⅩファインスプレー」、「ベニカ水溶剤」、「ベニカスプレー」などが適しています。定期的に散布するのも効果的です。

4月から6月に多く発生するベニモンアオリンガの幼虫の被害にあうと、新芽に触れるとぽろっと折れたり、蕾が開かずに途中で枯れてしまうこともあります。9月から10月頃には、来春に開花する蕾に侵入します。

ベニモンアオリンガの発生期に合わせて「GFオルトラン液剤」を散布することが予防になります。ルリチュウレンジハバチには、「GFオルトランC」、ハマキムシ類には、「家庭園芸用スミチオ」が効果的です。

サツキの病気としては、葉に褐色の斑点ができる褐斑病、葉が黒くなって枯れ落ちる病気なども発生することがあります。本来的には栽培が容易な木ですので、日当たりや風通しに気をつけ、病気になった葉は早めに摘み取りましょう。

サツキの栽培、剪定・種付け

剪定はお花が終わってから、なるべく早く行いましょう。時期が遅くなってしまうと、翌年咲く新しい花芽を切ることになり、翌年の花数が減少してしまいます。そして、伸びすぎた枝などは好みの形に刈り込むとよいでしょう。

この時も短く切り過ぎると翌年の花数に影響してしてしまうので3cm程度が目安になります。同時に枯れたり、重なったり、内側に伸びている枝も基部から剪定し、風通しをよくします。サツキには絞り花や一株にさまざまな模様の花が咲く珍しい品種もあります。

このような品種では本来の色や形が本来の姿ではなかった枝を切っておきましょう。そして、剪定後の初秋には伸びすぎた枝を切り揃えておくと、見た目も綺麗です。切りすぎると翌年の花数に影響しますので、気をつけましょう。

サツキはさし木で増やすことができます。6月下旬から7月頃の開化後、伸びてきた枝は硬くなります。この枝がさし穂に適していますので、15cmほどに切ります。その際、絞りなど特徴のある花では綺麗に咲いていた枝を選びましょう。よく切れる刃物で、さし穂を10cmほど斜めに切ります。

先端の葉を2,3枚残して下葉を取り除き、30分位水に浸します。その後、さし穂に「ノートン」などの発根促進剤をつけるのも効果的です。葉が触れる程度の間隔で、さし木用土、鹿沼土などを入れた土に深くさします。水やりを充分にした後、ビニール袋に入れて口を閉じ、日陰に置きます。秋頃にはビニールポットなどに鉢上げし、管理します。

サツキの歴史

日本が原産のサツキの歴史は古く5世紀から8世紀頃の万葉集にも登場します。江戸時代に多くの品種がつくられました。盆栽に仕立てやすいことから、武士から庶民まで多くの人に愛され、流行となりました。

1692年には世界初のツツジの専門書「錦繍枕」が出版され、163品種も掲載されています。震災や戦火により栽培が衰退する時期もありましたが、明治、昭和を経て、現在も盆栽や庭のお花として愛されています。

サツキの特徴

サツキはツツジ科に属します。江戸時代中期にツツジの栽培が流行し、多くの園芸品種が出回りました。そのため4月から5月中旬に開花するものを「ツツジ」、5月下旬から6月に開花するものを「サツキ」と区別することになりました。

また一般的な見分け方として、葉や花が比較的大きくて早く咲き終わるのがツツジ、ツツジが咲き終わる頃に咲き始め小枝の多いものをサツキとする方法もあります。ほとんどの「サツキ」は野生の遅咲きサツキ(ロードデンドロン・インディカム)の改良品種です。

野生のサツキは常緑の低木です。生息地は関東以西の本州と屋久島ですが、四国では自生していないといわれています。渓流沿いの岩の上など水の多いところで見られ、増水時に水をかぶるようなところ、根が水につくようなところでも生息しています。

河川工事やダム建設などによってに生育地がどんどん減り、今日では野生のサツキは絶滅が懸念される植物のひとつになっています。園芸品種は改良が行われて数が多いのが特徴です。アザレアの交配親でもあります。

花の大きさは巨大輪、大輪、中輪、小輪といろいろなサイズが揃っていて、花の形は一重、二重、八重、千重、采咲き、丁子、牡丹、旗咲き、腰蓑咲き、桔梗、車咲き、筒咲きなど、本当に多様です。

葉の形も卵葉、剣葉、丸葉、巻葉とあり、さらに青葉の品種、斑入り品種など、好みに応じて選ぶことができます。銘花として挙げられるのが、貴公子、八咫の鏡、華宝、松波、栄冠、晃山、博多白、金采、大盃、十六夜などです。

また作出が近年で人気があるのは好月、愛の月、舞扇、旭の泉、寿泉、山の光などです。盆栽などで植えられている品種はサツキとマルバサツキとの交配で作出されたものや自然に交雑したものがほとんです。

近年のサツキの大輪にはアザレアとの交配によるものも多いそうです。サツキは栽培がそれほど難しくないので、盆栽で楽しむ他、生垣にしたり、お庭に植えて楽しんだりするのもよいでしょう。

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