いちごの育て方

いちごの育て方

いちごの歴史は古く、すでに石器時代から食べられていました。南米や北米が生息地になり、野生の果実は甘味が少なく大きさも小粒で現在の物とは違っていて、当時は果実を食べるだけではなく葉や根っこなども利用していました。

家庭での栽培に適した品種

家庭でいちごを栽培する場合には、病気に強くたくさん収穫できる品種を選ぶと育てやすくなります。プランターで育てるのにおすすめの品種は「とよのか」です。「ひみこ」と「はるのか」の掛け合わせでできた品種で、福岡県を中心に西日本で多く栽培されています。

ほどよい酸味と強い甘味が特徴で、代表的な品種のひとつでもあります。「とよのか」はウドンコ病に弱いのでしっかり対策を行ないましょう。1粒20~30gあり、しっかり食べられるのも特徴です。

初めてでも簡単に育てられて病気にも強く、たくさん収穫できるのが、「宝交早生(ほうこうわせ)」です。炭疽病やウドンコ病などにも強く、病害虫の付着も比較的少ないため育てやすくなっています。

身が柔らかいので販売には向いていなかったのですが、家庭で収穫する分には問題ありません。果実は1粒12~13gと小さめですが甘味と酸味のバランスがよくおいしく食べられます。プランターでも育てられますが、気温が高くなるとイオウ病が発生する場合もあるので注意が必要です。

育てやすく大きめのいちごがなるのが、「カレンベリー」です。1粒は25~30gにもなり枯れにくくて病気にも強いのが特徴で、家庭菜園にぴったりのいちごです。初めていちごを育てる時は病気に強い品種を選ぶと手入れが楽で、育てる地域に合った品種を選ぶのも大切です。

いちごの苗づくり

いちごの栽培に向いている土はアルカリ性寄りにするようにします。庭などに直接植える場合は、肥料や石灰を混ぜて土壌を改良しておきましょう。プランターで育てる場合は赤玉土と腐葉土と鹿沼土を5:3:3の割合で混ぜて土を作ります。

最近ではいちご栽培用の土が袋に入って販売されているので、そのような専用土を使用すると、手間をかけずに栽培に適した土が利用できます。種付けから始める場合は種から育てるのは困難なため、春先の花が咲いている状態の苗を購入してください。

気温が高くなりランナーという細長い茎が伸びてくるので、切らずにそのままの状態にしておくと親株からたくさんの子株が育ちます。種付けを行なう時には、親株のすぐそばにある一番初めにできた子株は使用しません。

これは親株の病気が伝わっている可能性もあるためで、種付けには二番目以降の子株を使用します。8月くらいになったらこの子株を親株から切り離し、別のポットに植えかえます。これは仮の植え替えなので、使用するポットは購入した親株が入っていたものと同じくらいの大きさのものを利用します。

種付けが面倒だという場合は、秋ごろに販売している苗を購入すると、そのままプランターに植えることができます。また、株分けを行なう時は、親株がしっかり根付いてから切り離すようにしましょう。親株が根付く前に切ってしまうと子株が枯れてしまうことがあるので注意してください。

いちごの育て方のポイント

いちごの育て方で大切なのは、水やりです。株分けした後も水を切らさないようにたっぷりと与えて乾燥を防ぐようにします。ただしあまり過度にやりすぎると根腐れをおこすことがあるので、適度な状態を保つようにします。

ポットから庭やプランターに植えかえる時期は10月頃に行ないますが、このとき苗は浅植えするようにして、いちごの株元のクラウンを埋めてしまわないようにします。この部分が埋まってしまうと成長が遅くなるので気をつけましょう。

根がしっかり育っていた時は根をほぐしてから植えるようにします。実を大きくする育て方の大切な点は肥料にあります。植え付けをしてからおよそ3週間~1ヶ月後と、2月の下旬~3月上旬くらいに緩効性の肥料を与えますが、追肥を行なう際には直接いちごの枝に触れないようにして使用します。

冬になり気温が低くなってくると葉が枯れてくるので、黄色くなった葉や伸びてきたランナーは取り除いてください。この時期の育て方で気をつけたいのが寒さ対策です。いちごは寒さには強いのですが、地域によっては厳しい寒さの場合もあります。越冬のために根元にワラを敷いたり風よけを作るなどの対策をすることが大切です。

3月を過ぎて温かくなってくるといちごの花が咲く時期になります。プランターなどで育てている場合には筆などを利用して受粉の手助けを行ないましょう。4月下旬くらいになると徐々に実が付いて赤く色づき始めます。実がなってくると鳥や虫などの被害が増えてくるため、ネットをかぶせるなどしてしっかりガードしておいて、収穫時はヘタの上を切るようにします。

いちごを育てる際に心配なのがウドンコ病です。食べるためのものなのでできれば農薬を使いたくないという場合には、50倍から500倍に薄めたお酢を散布してみましょう。鷹の爪を加えるとアブラムシなどの害虫にも効果的です。始めは薄めの濃度を吹きかけて様子を見ながら使用するようにしてください。収穫後にはランナーを伸ばすようにすると、翌年の子株が作れます。

いちごの歴史

いちごの歴史は古く、すでに石器時代から食べられていました。南米や北米が生息地になり、野生の果実は甘味が少なく大きさも小粒で現在の物とは違っていて、当時は果実を食べるだけではなく葉や根っこなども利用していました。

いちごが栽培されるようになったのは比較的新しく、今からおよそ200年前の1800年代にオランダで始まりました。北アメリカ原産の「バージニアいちご」と南米原産の「チリいちご」の種を持ち帰り、それを交配させて現在のような大粒の果実を作りました。

日本に伝わったのはオランダとの貿易が盛んに行なわれた江戸時代末期のことで、それまで日本で育っていた野生の物と区別してオランダいちごと呼ばれていました。この頃は主に観賞用として利用されていて、食用の栽培が本格的に始まったのは明治時代に入ってからになります。

フランスから取り寄せた種を品種改良して育てた「福羽」は初の日本産果実で、当時は高級フルーツとして扱われていました。その後もさらに品種改良が行われて、「とよのか」「女峰」「とちおとめ」「あまおう」などの適度な酸味と甘味に優れた品種が栽培されています。

いちごの特徴

バラ科オランダイチゴ属になり、季節は冬春にあたります。17℃から20℃が最適な温度で熱さが苦手です。寒さには強く雪や乾燥などの過酷な状況下でも育ちます。旬は12月から5月までになり、国内での主な栽培地は栃木県・福岡県・熊本県になります。

果実に含まれている栄養成分はビタミンC・葉酸・食物繊維があり、特にビタミンCは100g中に50~100mgほど含まれています。おいしい物を見分けるには皮にツヤがあって全体が赤く染まっているもの、タネであるツブツブがしっかりしていてヘタの部分もハリがあるものを選ぶようにしましょう。

あまり日持ちしない果物なので、なるべく早いうちに食べるようにして、水分の蒸発を防ぐためにラップをかけて保存します。食べる時は栄養分を流さないようにヘタつきのままで水洗いをし、ヘタは食べる直前にはずすようにしてください。いちごの甘さは先の部分が最も甘味が強く、ヘタに近付くにしたがって糖度が低くなっていきます。

食べる時はヘタの方から口にするとよりおいしく食べられます。そのまま食べてもおいしいのですが、たくさん収穫できて食べきれなくなった時は、冷凍してスムージーに加えたりジャムを作ってパンやヨーグルトにつけて食べるのもおすすめです。

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