ウメモドキの育て方

ウメモドキの育て方

ウメモドキは、日本の本州、四国、九州、そして中国原産の落葉低木です。モチノキ科モチノキ属に分類され、生息地は暖帯の山間部の落葉樹林内、特に湿地に分布しています。樹高は2~3m程度で、5月~7月頃に淡紫色のウメに似た花を咲かせます。果期は9~10月頃で、冬は落葉します。

ウメモドキについて

種付けは、2月下旬~3月上旬頃を目処に行いましょう。苗の植え付けや植え替えは、落葉時期の11月中旬~3月までに行います。ただし、厳寒期は避けましょう。予め、堆肥や腐葉土を沢山混ぜ込んでおき、湿り気のある土壌に植え付けます。その後は、極端な乾燥に気を付け、一定の湿り気が保つことで、根付きが良くなります。

暑さ寒さに強く、栽培は比較的容易です。多少の日陰で、水はけの良い土壌で育てれば、殆ど病虫害もなく、毎年美しい果実を楽しむことが出来ます。樹高が3m程にもなるので、鉢植えより庭植えに適しています。花は雄株、雌株共に咲かせますが、雌雄異株(しゆういしゅ)の為、果実は雌株にしか成りません。

ウメモドキの美しい紅色の実を楽しむ為にも、雌株を選んで植える必要があります。しかし、一般に販売されているものは大抵雌株ですから、探すのには苦労しないでしょう。逆に、雌木の実付きを良くする為などに、雄木を植えたいと思った時の方が苦労するでしょう。

■雌株と雄株の区別
雌株と雄株の区別方法は、花の雄しべの有無で判断出来ます。雄株の花には雄しべがあり、花粉がビッシリ付きますが、雌株の花には雄しべがありません。しかし、基本的には花が咲くまで、雌株と雄株の判断が付かない為、既に実を付けている苗を買うことで、確実に雌株を手に入れられます。

また、ウメモドキの花粉は、非常に広範囲に飛ぶことから、周辺に雄株が無くても大抵受粉出来ます。ただ、稀に近くに雄株が無いこともあり得ます。この場合、結実しても大きくなれません。

ウメモドキの栽培方法

■土、水やり、日当たり
日当たりが良く、やや湿り気のある土壌が適していますが、さほど土質は選ばずとも良く育つでしょう。完全な日陰は、実付きが悪くなるので避けた方が良いでしょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える必要があります。

しかし、庭植えや地植えの場合は、特に水を与える必要はありません。ただし、夏期の日差しの強い時期には、根が乾き易くなるので、乾燥防止の為のワラなどを敷くと良いでしょう。

■肥料
肥沃な土壌であれば、肥料は殆ど必要ありませんが、痩せ地では実付きが悪くなるので肥料を与えます。油かすと骨粉を半々に混ぜたものなどを、2月頃と8月下旬に施します。窒素分の多い肥料は実付きが悪くなりますので、気を付けましょう。

■剪定
剪定は、落葉時期の1月下旬~3月上旬までに行います。ウメモドキは、株元から数本の幹を出す「株立ち」の為、枝が乱れバランスを崩すことも少なく、剪定の必要は殆どないでしょう。特に若い木は、自由に伸ばしてあげることで、大きく強く育ちます。

果実を低い樹高のまま成らせる場合や、鉢植えの栽培では、剪定を行う必要があります。しかし、いじり過ぎるとウメモドキ本来の野趣な姿を損ないますので、最小限に抑えたい所です。剪定は、枝をばっさりと切ることは避け、伸びた枝の先端を5mm程度切る、軽い剪定にしましょう。

一度にばっさりと枝を切ると、徒長枝が出易くなり、実付きが遅れます。長枝を6芽ほどを残して切るようにすれば、新しい短枝が生え易く、夏頃までに花芽が育つでしょう。基本的には芽吹く力が強いので、好みの場所で切って構いません。また、株元から出る幹の数が多くなり過ぎた場合は、株元から古い株を切り落とし、数の調整を行いましょう。

ウメモドキの栽培の注意点

■実止まりについて
ウメモドキは、春に新しい枝を伸ばし、花を付けた後、枝の生長が止まることで、秋に果実が成ります。しかし、中には花を付けた後も、枝の生長が止まらずに伸び続けることがあります。そのような枝は、実が出来ても落ちやすい傾向にあります。花を付けた後に、伸びた枝の先端を切り、生長を止める方法もあります。

しかし、脇から新たな芽が伸びてくることも多く、落果防止にはあまり効果的ではありません。樹木が大きく育てば、枝数も増えるので、自然と実付きが良くなります。育て方のポイントとしては、完全に根付くまで辛抱強く待ち、生育サイクルを良く見極めることです。

■増やし方
挿し木、または種蒔きで増やすことが出来ます。挿し木は、新芽が堅くなる前の6月頃に、枝先5cm程度を切り、植物成長調整剤などを入れた水に1時間程度浸しておきます。その後、赤玉土などの挿し木用の細かい土に挿し入れ、乾かさないように日陰で管理します。秋頃には鉢上げしましょう。

種蒔きで増やす場合は、10?11月頃に熟した果実を採り、果肉を完全に取り除いた後、水で洗い流し、種だけにします。乾燥すると発芽能力がなくなってしまうので、すぐに蒔いてしまうか、種を乾かさないように保存して、2月下旬~3月上旬頃に蒔きましょう。3年ほど生長させた苗木は、接ぎ木の台木としても良く利用されます。

■害虫
ウメモドキには、病気や害虫の被害はあまり見られませんが、アメリカシロヒトリという蛾の幼虫が付くことがあります。食欲旺盛の蛾で、葉を食い荒らすので、見つけ次第駆除しましょう。アメリカシロヒトリの成虫は、初夏と真夏に卵を産み付けにやってくるので、その時期に予め薬剤を散布しておくのも良いでしょう。他にも、テッポウムシやカイガラムシなど、見つけ次第駆除しましょう。

ウメモドキの歴史

ウメモドキは、日本の本州、四国、九州、そして中国原産の落葉低木です。モチノキ科モチノキ属に分類され、生息地は暖帯の山間部の落葉樹林内、特に湿地に分布しています。樹高は2~3m程度で、5月~7月頃に淡紫色のウメに似た花を咲かせます。果期は9~10月頃で、冬は落葉します。

雌雄異株(しゆういしゅ)であることから、雄株には雄花が多数咲き、一方、雌株には2~4個程度の雌花が咲き、秋頃には鮮やかな紅色の実を付けます。その美しい実から、庭木、鉢植え、盆栽、生け花によく用いられ、重宝されています。また、俳句では秋の季語としてよく用いられます。

ウメモドキ」という名は、葉の形や枝振りがウメに似ていることから命名された説が有力ですが、元々はモチノキの仲間です。 葉の長さは3~8cm程度、幅は1.5~3cm程度の楕円形をしており、互生します。葉の先端が尖り、縁は細かい鋸歯の形状をしており、葉全体には短い毛が生えています。

花弁は4枚で、小形で目立たない花が集散花序を作ります。果実は、中に数個の核を含む「核果」で、赤いく熟すものが多いが、イヌツゲなどの黒く熟すものも存在する。9月頃から熟し始め、12月頃に落葉しても枝に残り続けることから、その鮮やかな赤い果実が非常に目を引きます。果実が白色や黄色の変種も存在します。

また、樹皮には、モチノキ科特有の粘着質の物質が含まれており、昔は鳥や虫を捕まえる為の鳥黐(とりもち)の原材料でした。

ウメモドキの特徴

ウメモドキの学名「llex serrata」のIlex は、セイヨウヒイラギ(holly)の古代ラテン名からきています。serrata は「鋸歯のある」という意味で、ウメモドキの葉の縁にある、小さく尖った鋸歯のことを意味しています。葉の形は楕円形で、表面に短い毛が生えており、互い違いに生える互生です。

花弁は4枚で、雄花には4本の雄しべがあり、雌花にも雌しべと共に、小さな雄しべが4本あります。雌雄異株(しゆういしゅ)であることから、雄株には雄花が多数咲き、一方、雌株には2~4個程度の雌花が咲きます。雌株と雄株が完全に別れていることから、自家受粉はありませんが、近くに異株がない場合は一切子孫が残せません。

また、雌株にのみ、秋頃に鮮やかな紅色の実を付けます。果実は、直径5mm程度の球形をしており、水分を多く含み、中に1つの種がある核果です。9月頃から鮮やかな紅色に熟し始め、冬の落葉後も実を付けたままでいることから、長期に渡り鑑賞することが出来ます。

一部、黄色い果実を付ける「キミノウメモドキ」や、白い果実を付ける「シロウメモドキ」などの変異種も存在します。また、小鳥が好んで啄む果実であることから、庭木としても非常に人気があります。モチノキ科 (Aquifoliaceae) は、世界では4属、約450種類ほど分布しており、そのうち日本には1属、23種類が分布しています。

クリスマスの時に玄関扉に掲げる、クリスマスリースに使われるセイヨウヒイラギ(Ilex aquifolium L.)も、モチノキ属です。葉の形こそ異なりますが、冬に赤い果実をつける点からも近親種だと分かります。

他にも、果実が風鈴のように垂れ下がる「フウリンウメモドキ」(Ilex geniculata)や、「オクノフウリンウメモドキ」(Ilex geniculata var. glabra)。樹高が少し大きく、6m程度になる「ミヤマウメモドキ」(Ilex nipponica)や、葉に毛が生えない「イヌウメモドキ」(Ilex serrata f. argutidens)なども存在します。

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