カラーの育て方
カラーの育て方の心構え
アフリカの高地原産なので日本での育て方が難しいことが知られます。暑いのは嫌いでも光はたっぷりなくてはいけません。水分も必要なのに少し気を抜くと腐ってしまうという繊細な植物です。国内では千葉・福島が主要栽培産地ですが新潟・長野など高冷地でも栽培されています。ご家庭で育てる分には手間のかけ次第でどの地域でも可能です。
自生もして育てやすく丈夫なのは湿地性のものですがシンプルで白か緑しか選べません。これは耐寒性があるので春に咲き、冬も気温が18℃以上あれば開花可能です。色の種類の多いのは畑地性の方で、小振りですが花をたくさんつけるミニカラーと、大きくて花の数は少ないハイブリッドカラーに分かれます。ここでは畑地性の育て方について触れています。
カラーの種付けと水やり
球根は早春まだ寒いうちから販売がされますので、濡らさないように保管しておいて朝に霜が降りなくなったら種付けの時期です。土の条件としては水はけのよいこと。鉢植えなら赤玉土(小粒):パーライト:腐葉土=6:1:3の目安で混合します。花壇の場合も土に腐葉土やパーライトを混ぜ、通気性のよいふかふかの土を用意します。
肥料を適量混ぜ込んでから植えましょう。開花まで1か月を見越して8月までには種付けます。寒くなると球根が休眠し始めてしまい、花への余力がなくなります。球根の保管はすずしい場所で。5℃~10℃程度が理想です。根が太いので植える際は互いに30cmは離します。かぶせる土は最低でも10cmは欲しいです。
深めに植えることで温度管理・湿度管理が楽にできるようになります。植えてすぐは根を出すために水がたっぷり必要です。その後も水はたっぷりが基本なのですが、やり過ぎに気を付け、よく様子を見ながら水やりします。深めに植えるので乾いてしまうことはないですし、水が多すぎで腐ることの方が心配です。春は芽が出るまでに多少時間がかかるかもしれません。
お世話の期間ー日光の調節がポイント
芽が出て順調なら葉はまっすぐにすくすくと伸びていきます。もし葉が出てくたっと倒れるようなら球根が腐っているので、周囲に伝染する前に掘り起こして撤去しましょう。肥料は液体肥料を月2回ほど施しますが夏場は不要です。日のよく当たる風通しの良い戸外を好みますが、暑いようなら敷き藁をして土を涼しく保ちます。
梅雨時の雨などにはなるべあてないようにします。直射日光が強い場合も明るめの日陰を利用します。花壇などなら日除けを考慮します。ネットをかぶせたり、よしずをたてかけたりしますので、地植えの際にはそうしたスペースが準備できるかどうかも重要になってきますね。植えて1~2か月で花が咲いてきます。
葉が花に変わるというメカニズムのため、花がいくつ咲いた、というのは葉がどれだけ花に変化したかという話になります。球根が元気だと多くが花に変わり、逆だと葉のままで過ごすということです。例えばミニカラーでは、上手な方では1つの球根から10個ほどに花を増やせる場合もあります。
このように育て方には多少の手間を伴いますが、丁寧に接することで植物は応えてきてくれるものです。何を栽培する場合でもその生態を事前によく知り、始まったらきちんと目で見て要求を読み取ってあげましょう。枯れた花や葉があったらこまめに取り除きましょう。
花のあと~翌年の準備
花が終わったら葉や茎は切らず、球根を太らせるためにしばらく放置します。粒の肥料も適量まいておきます。雨や水やりは必要ですがもちろん腐ることと隣あわせですので、調節のため雨除けの工夫はしたほうがいいですし、涼しめに管理できればビニールハウスもよいでしょう。残り葉が黄色く枯れたら掘り起こしのサインです。
スコップで掘り返しますが誤って当ててしまったりしないよう、慎重に行ってください。寒くなりすぎる前に全て掘り起こし、しっかり乾かします。乾燥が不完全だと冬に気温が下がって凍ったり腐る原因になります。少量なら室内でも大丈夫です。皮がかさかさと剥けてくることもありますが、内部には来年の春の種付けに必要な栄養分が詰まっていますので、運搬や様子を見る時に触れすぎてあまり傷めないようにしましょう。
その後は乾燥しすぎず、湿らせすぎずの状態を保ちながら冬の間管理します。すこし湿らせた水ゴケでくるむという方法がありますがカビに注意するため様子をこまめに見ましょう。鉢植えなら植えっぱなしのまま室内で休息させてもよいです。寒さに弱いため、保管中は0℃以下にならないよう5℃~10℃程度を目安にします。
屋外なら霜にあててはいけません。翌年も同様に植え付けしますが、鉢植えは暖かくなったら掘り起し、屋外に植えるか、一回り大きい鉢に取り換えましょう。栽培にこのように多くの注意を必要とするカラーの仲間ですが、いざ花を咲かせることができ、翌年使える球根を残せることはどんな喜びにも代えがたいですね。多年草であるカラーをできるだけ長く楽しめるよう、ぜひさまざまな工夫をこらしてあげてください。
カラーの歴史
観葉植物カラーは南アフリカが原産で、8種ほどの自生種の確認がされています。生息地はもともと湿地で、中でも「エチオピカ」はエチオピアの国花になっており別名「リリー・オブ・ナイル(ナイル川の百合)」と呼ばれます。他は畑地を好むタイプが多いです。名はギリシア語の「美しい」という意味の語「カロス」から来ていて、修道女の白襟に似ているということもあり「襟=カラー」と呼ばれるようになりました。
和名は「カイウ(海芋)」。その名の通りサトイモ科の多年草植物です。日本には江戸時代にオランダ船により入り、現在カラーと呼ぶ場合は「オランダカイウ」「ヒメカイウ」を含みます。品種はさまざまに改良され、色も白だけではなく黄、オレンジ、紫など多岐に渡ります。
商業用に栽培するには湿地性のものも畑地性のものもありますが、ご家庭で育てる場合は畑地性のものが主流です。姿の美しい丈の高いカラーの花は、オランダから伝わった時は相当目を引いたことでしょう。けれども、日本にもサトイモ科のミズバショウなど系統の似ている花が自生しています。案外馴染みもあって、好意的に迎えられて根付いていったのではないでしょうか。
カラーの特徴
和名「海芋」は俳句の夏の季語にもなっており、その通り夏の盛りの数か月間、一つの球根からいくつもの花をつけて咲き誇ります。立ち姿はすっきりとして美しく、葉も観賞用に耐える造形を持っており人気ですが、切ると持ちが悪いため扱いには細心の注意を払わなければならない難しい素材です。花言葉は美しさ、乙女、清浄、情熱、壮大な美、など、儚げながらもりりしいイメージの広がるものが多いです。
花びらのように思えるロウトの形のあたりを仏炎苞(ぶつえんほう)と呼び、これがサトイモ科の花の特徴です。実はこれは葉が変化したもので、花はその中の中心部にある黄色い部分です。雄蕊と雌蕊が棒状に集合しています。育つと30~70cmになり、花も葉も肉厚です。
水分を多く含んだ葉柄は、腐りやすく管理の難しい球根とともにカラーの扱いの難易度を上げてしまっていますが、そのためにも少しでも扱いやすいカラーの改良が進んできました。地上の環境が整わないと球根は自ら休息に入り、そうした自然の行いからもその芯の強さがしのばれます。栽培が難しいことがより市場での価値を上げ、価格の張るわりにはフラワーアレンジやブーケなどに人とても気の高い花です。
下記の記事も詳しく書いてありますので、凄く参考になります♪
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