ミニゴボウの育て方
ミニゴボウの育て方、栽培の用土と場所
ミニゴボウは丈が短いとはいえ、地中に根をおろしていくため、深く、よく耕されていなければなりません。できれば種付け2週間前から用土の準備を始めます。まず、石や土の塊を取り除きます。生育中に根がそれらの異物にあたると、根が分かれてしまう原因になるからです。
ミニゴボウは酸性土壌に弱いため、1平方メートルあたり200gほどの苦土石灰を施し、よく混ぜ込みます。1週間前になったら、肥料を施します。目安は1平方メートルあたり堆肥2kg、化成肥料100gで、よく混ぜ込みます。育て方としては、地植え栽培ができればよいですが、プランターやコンテナ栽培もできます。その場合は容器の深さが45cm以上あることが重要です。
できるだけ大きい(深い)ほうが好ましいです。なお、袋栽培にすれば、収穫時に袋を破ることができるので、簡単です。袋の下の部分に穴をあけて、水はけを良くすることを忘れないようにしましょう。いずれの場合も、上記の用土の準備(土を耕し、苦土石灰と肥料をよく混ぜ込む)をしておきます。場所は、日光を好むので、日当たりの良い場所で育てます。発芽してからは、水やりは土が乾いてから十分にするようにし、過湿をさけます。
ミニゴボウの育て方、種付け・間引き・追肥
種付けの適切な時期の目安は、暖地(四国、九州、沖縄県)は3月中旬から9月、中間地(新潟を除く関東甲信越、中部、東海、近畿、中国地方、石川県と富山県を除く北陸地方)は3月下旬から9月上旬、寒冷地(北海道、東北地方、新潟県、富山県、石川県と高冷地)は4月下旬から7月です。
種付け前に、種を1晩水に浸しておきます。そのままでは発芽しにくいためです。そして、種付けの際は土を薄くかぶせるようにします。発芽に光を必要とする「好光性種子」だからです。発芽するまでは、乾燥しないように水やりの管理をします。
間引きをしないと、根が良く太らない原因になります。発芽して、双葉が出揃った頃に1回目の間引きを行います。株間3cmになるように間引き、指でまわりの土をつまむようにして株元に軽く土寄せします。横に広がっているような苗は、根が変形していることが多いので、そのような苗を選んで間引くとよいでしょう。
なお、間引く際は、隣の株を傷めないようにそっと引き抜きます。また残した株がぐらつかないように、株元に軽く土寄せをします。2回目の間引きは、本葉が3、4枚の頃に行います。株間5cmから6cmになるよう間引きます。そして3回目は本葉が5、6枚の頃に行います。最終的に10cmから15cm間隔になるように間引きます。
袋栽培ではスペースが狭いので、株間を5cmから8cmにすると、1袋で15本ほど収穫できます。また、あえて太くしたくないのであれば、株間を3cmから5cmの密植にします。2回目の間引きのあとから、追肥を始めます。2週間に1度のペースで、1平方メートルあたり30gの化成肥料を株の周囲にまき、軽く土寄せします。雑草があったらとりのぞき、株の周りを少し耕してやわらかくしておくことで、根の太りがよくなります。
ミニゴボウの育て方、収穫
収穫が遅れると繊維がかたくなり、「す」が入ります。自分がまいた種の袋に書いてある日数を参考にして、採り遅れないようにしましょう。根の直径が1cmから2cmになっているのが収穫の目安ですが、多少ちいさくても、かたくなってしまうよりはよいと思われます。やわらかいほうが好みの方は、あえて早目に収穫してもよいでしょう。
収穫の際は、むやみに引き抜こうとすると途中で根が切れてしまうことがあります。スコップなどで株の少し離れた場所から深く掘っていき、土をやわらかくして引き抜くようにします。ちなみに「エンピ」というゴボウ収穫専用のスコップもあります。袋栽培の場合は、袋を破れば簡単に収穫できます。
ミニゴボウの育て方、病害虫
風通しが悪いと黒斑病やうどんこ病などが発生しやすいので、とくに密植している場合は気を付けます。殺菌剤を散布し、防除します。また、アブラムシも発生しやすいです。葉に群生して生育を阻害し、モザイク病を媒介します。早期発見、早期防除に努めます。こちらも殺虫殺菌剤を散布しますが、葉の裏側に特に気を付けます。薬剤を使用したくない方は、牛乳と石灰の上澄み液を混ぜたものを散布する方法もあります。
そのほか、ネキリムシにも注意が必要です。株が地際から折れたように倒れていたら、ネキリムシの食害があることを意味します。放っておくと次々と被害が拡大してしまうので、早めに見つけて捕殺します。見つけるには手で土を浅く掘ってみるとよいでしょう。なお、ゴボウは連作を嫌います。センチュウという土壌中に住む害虫の被害を防ぐためにも、1度ゴボウを作った場所では、3年から5年は別のものを栽培するようにしましょう。
ミニゴボウの歴史
ミニゴボウにかぎらず、野菜の中で形の小さい種類のものは昔からあったのですが、あまり受け入れられてきませんでした。育ちが悪いからではないかとか、葉物であれば、周りの古くなった葉を落として古いものを売ろうとしているのではないか、などと思われてしまうため、大きいものが好まれたようです。現在ではミニゴボウのような、小さいものが受け入れられています。
それは核家族化が進み、大きなものだと新鮮なうちに使いきれないためとか、農家の側も大きいものより扱いやすいからといった理由もあるようです。ゴボウの原産はユーラシア大陸北部といわれています。キク科の植物で、生息地はヨーロッパからシベリア、中国東北部にかけて野生種が分布しています。中国では古くから野生のゴボウを薬用に使用していたようです。
日本に伝わったのは、縄文時代という説があり、初めは中国と同じく薬用で使われ、平安時代には食用となり、江戸時代には全国に普及したといわれます。一般的に食用としてゴボウを使うのは日本および朝鮮半島だけともいわれます。そのため、太平洋戦争中、英国人捕虜がゴボウを木の根と勘違いし、木の根を食べることを強要する虐待を受けたと訴えたため、日本人将兵が戦犯として裁かれたというエピソードもあります。
ミニゴボウの特徴
普通のゴボウであれば長さが70cmから1mくらいありますが、ミニゴボウは30cmから45cm程度と短めです。普通のゴボウと比べてアクが少なく、やわらかくて香りも良いので、サラダにして食べるのに適しています。(ちなみに、ゴボウは食物繊維が多く、クロロゲン酸というポリフェノールも豊富に含まれているためヘルシーです。)またその大きさから、家庭菜園やコンテナ栽培で作りやすいというメリットがあります。
主な品種に「ダイエット」「サラダむすめ」などがあります。「ダイエット」は播種後75日くらい、「サラダむすめ」は100日くらいで収穫可能です。発芽適温、育成適温とも20から25℃くらいで、日当たりの良い場所で育てます。乾燥に強いですが、過湿に弱い点に注意が必要です。適正な土壌pHは6.5から7.5です。連作障害があるので、3年から5年くらい空けるようにします。
ところで、丈の短いゴボウの中に「西洋ゴボウ」ともいわれる「サルフィシ」がありますが、これは日本のものとは別種になります。長さは20 cmから30cmくらい。皮をむくと中は白く、やわらかめです。ドイツやフランスなどでは煮込料理、スープ、グラタン、付け合わせなどに使われています。
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