エランギスの育て方

エランギスの育て方

エランギスとは、アフリカ東部原産で、ラン科に所属するエランギス属の植物の総称です。品種的にアングレカム属に近いとされ、長い距のある白い花を咲かせます。ラン科の植物は、現在確認されているだけでも、880属22075種もの種があり、日本においても約63属170種ほどが知られていて、この数は、今後もさらに増え続けるものと推定されます。

育てる環境について

エランギスですが、その栽培難易度は、やや高めと言え、園芸初心者の場合、温度管理など、本来の生息地であるアフリカの生育環境を踏まえた上で慎重に当たる必要があると言えるでしょう。とは言え、植物の育て方の基本というのは、愛情を持って日々世話をするということであり、

たとえば、この花の場合、アフリカ原産だけあって、寒さがやや苦手な傾向がありますので、寒い冬場は暖かな部屋に置いて管理するとか、極端な乾燥は嫌うので、乾燥する季節には適度な湿度を保つように注意するといった、ごくごく当たり前のことを守っていれば、

そうすぐに枯らしたりということはしなくてすむはずです。この花の生息地の環境というのは、普通の大地の根ざすというより、岩の上や樹木に根を張るといった、ちょっと特殊な性質があり、また、高い湿度を好み、森林内の水辺・沼沢といったところに多く自生しています。

また、普通、植物というのは、基本的に日光に当たるのが好きなものが多いのですが、このエランギスの場合は少し違い、原産地などでは、薄暗い樹の上に生育するなど、日陰を好み、強い日差しにはむしろ弱い、といった性質があります。その為、日本国内にて生育する場合でも、

春から秋にかけては、戸外の風通しの良い木陰などに鉢ごと吊り下げて育てるというやり方が一般的であり、実際、それが一番良いでしょう。なお、日差しの強い場所しかないというケースでは、寒冷紗などを用い、春と秋は30から40%程度、

また、夏は60から70%程度の遮光をする様に調整して下さい。特に葉の幅の広い種は日焼けをすぐに起こしますので注意が必要となります。冬場は当然室内に置き、温度は15度程度を目安に低くなり過ぎないように気をつけて下さい。なお、冬場は、窓越しに軽く日光を当てる様にしてあげて下さい。

種付けや水やり、肥料について

エランギスの場合、種付けを待って、それを採集し、翌年以降、種まきをして新たに増やすというやり方ももちろん出来ますが、この花の場合、株分けで増やすのが普通ですので、種から育てるというのはそれほど一般的ではないかもしれません。ただ、種からそれこそ一から始めたい、

育てたいという気持ちで大事に育てるのも園芸の楽しみでもありますので、挑戦してみるだけの価値はあるかと思います。種の植え付けは、一般的な他の植物同様、春先、4月から5月にかけてといった頃が良いでしょう。また、エランギスの水やりについてですが、

この花は、空気中の湿度が高い環境を非常に好みますので、乾燥しやすい時期などは特に気をつけて、霧吹きなどでこまめに葉に水をかけて湿らせてあげたり、株のまわりに打ち水をするなどしてあげて下さい。なお、空気の乾燥した状態が長く続くとこの花は元気を失い、

最悪の場合、そのまま枯れてしまうことともなりますが、ただ、だからと言って、鉢に極端に水をやり過ぎてしまうと根腐れを起こしてしまいますので、通常の水やりについては、植え込みの表面辺りが、やや乾いてきたかな、というくらいになってから与えるくらいで丁度良いでしょう。

特に冬場の場合ですが、温度が低い時期に湿度が高すぎる状態が続くと株そのものに与えるダメージが大きくなりますので、冬期間については、気持ち、乾燥気味に管理するようにして下さい。水切れをさせないようにすることはもちろん大切ですが、

それと同じくらいに、空気中の湿度を適度に高く保つことも大変重要ですので、その点を留意された上で世話をするようにしましょう。なお、肥料については、春から秋にかけての生育期に月2、3度の頻度で薄めの洋ラン用・液体肥料を与えて下さい。

増やし方や害虫について

エランギスを増やすには、株分けをすることで増やすというやり方が一般的でしょう。株分けを行うのに適しているのは、4月から5月にかけてで、わき芽が育って根を伸ばし始めたら株分けをすることは可能ですが、ただ、他の種類の植物と比べて、増殖はしにくいので、

その辺りはあまり難しく考えすぎず、わき芽が育って株分けが出来そうになるまでは気長にのんびり構えて、株分けできたら御の字、くらいの気持ちでいるのが良いでしょう。なお、鉢植えをしている場合、エランギスは2年に1度程度は植え返して、傷んだ水苔をを取り除き、

新しい水苔で植え付けをする必要がありますので、可能であれば株分けは、この植え替えのタイミングに併せて行うのが、植物自体に与えるダメージを最小限に抑える理想的な株分けとなりますので、心に留めておかれると宜しいかと思います。なお、エランギスにつく害虫については、それほど心配はありません。

ただし、万が一、葉や茎にアブラムシなどが取り付いているのを見かけることがあれば、ただちに捕りのぞき、一匹たりとも放置することがあってはなりません。この花に限らず、動くことの出来ない植物にとって害虫というのは天敵ですので、もし見かけることがあったなら、必ず全て退治するようにして下さい。

また、元々この植物は、弱い日差しを好み、葉自体が弱々しい性質であることから、葉が柔らかく、その為、かびが生えやすく、一旦かびが生えてしまうと、意外と簡単に葉が腐ってしまうことがあります。それを防ぐためには、月に1回から2回程度、殺菌剤を散布するようにして、かびなどの発生を予防するようにするのがよいでしょう。

エランギスの歴史

エランギスとは、アフリカ東部原産で、ラン科に所属するエランギス属の植物の総称です。品種的にアングレカム属に近いとされ、長い距のある白い花を咲かせます。ラン科の植物は、現在確認されているだけでも、880属22075種もの種があり、日本においても約63属170種ほどが知られていて、

この数は、今後もさらに増え続けるものと推定されます。ランは、単子葉植物の中で最も進化していると言える植物であり、全世界に広く分布しており、寒暖の厳しいローカル環境にもそれぞれ適応した種が数多く根ざし、大変繁栄している植物種であると言えます。

さらにラン科はその数の多さから、アツモリソウ亜科とラン亜科とに分かれています。ランは、その見た目の美しさから古くから珍重され、世界各地で栽培されてきた古い歴史を持ちます。また、鑑賞用のみならず、薬用としても用いられ、東洋ランは、日本においても、

古く奈良時代頃には唐から栽培されたランが渡来・移入されたとする記録が残っており、当然のことながら中国では、それ以前からランの栽培がなされていたものと思われます。日本国内においても、鎌倉時代には栽培がされる様になり、江戸時代中期には、

文人・数寄者らによってその全盛期を迎えることとなります。ただ、洋ランの歴史については、さらに時代が下った18世紀以降に、英国がアジアのランを採集したのがはじまりとされ、その後、中南米からも各種ランが導入されるなどして交配がすすみ、時代が経つと共に、新たな品種がさらに生み出されてきました。

洋ランの中でもエランギス自体は、アフリカ大陸からマダガスカルにかけて広く分布する着生ランであり、欧米でも鑑賞用の洋ランの一種として栽培されてきましたが、アングレカム属のものほどには普及しておらず、日本に導入が確認されているエランギスの種も20種ほどにとどまります。

エランギスの特徴

アフリカ原産のエランギスは、常緑性の多年生着生植物であり、乳白色の中に少し茶色がかったオレンジ色の花が咲いて、夕方頃、良い香りを放つものが多いとされる、人気の洋ランです。その茎は通常短いものが多く、葉が密生して茂っており、その下部から根を出して着生しています。

着生ランには、距(きょ)と呼ばれる細長く伸びる器官があり、この距こそが、この種のランの最大の特徴と言えるでしょう。エランギスはバルブを持っていない、比較的小さめな洋ランであり、中心から葉を左右に広げるように伸ばし、上に向かって元気に育ちます。

葉の形は、全体としては卵に似た倒披針形や倒卵形といったもので、先端がやや幅広ながら小さく割れており、その割れた両者が不均等な大きさになるというのが一つの特徴でもあります。また、花茎は葉の脇から出でて、総状、或いは、単独に白い花をつけ、その花茎はジグザグななりとなることが多いです。

その花の特徴は、きれいな白い色で、その中心である距はピンクや透明に彩られ、またものによっては、黄色がかったものも見られます。髄柱は白であることが多いのですが、中には赤い色をしたものも散見されます。

側花弁や萼片は、ほぼ同じ形状で、楕円形に近い形をしています。唇弁はや側花弁、萼片などより幅広いものが多いものの、有意な差はなく、ほぼ同形で、長い距を持っています。また、花粉塊は2個あり、そのうちの1つが花粉塊柄につながっています。

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