セルバチコの育て方

育てる環境について
「野生のルッコラ」といわれるだけあって、生命力が強い事が特徴です。育て方も比較的簡単です。畑はもちろん、プランターやポットでも育てる事ができ、長い期間収穫を楽しめるので、手軽です。日当たりが良い場所を好みますが、半日陰でも育てる事ができます。
風通しが良く、水はけのある場所で育てましょう。また、肥沃な土の方がセルバチコは良く育ちます。乾燥にあまり強くありません。水切れを起こしてしまうと枯れてしまう危険性があります。乾燥しすぎないように適度に水やりをしなければなりません。
ある程度の暑さや寒さに耐える事ができるので、日本の特徴である高温・多湿の夏場や、積雪の伴う冬場でも育てる事ができます。しかし、厳しすぎる環境では植物が弱ってしまう事もあるので、猛暑の時や寒さが厳しい時の環境には気をつけた方が良いでしょう。
夏場は地面の温度が上昇しやすく、セルバチコが弱ってしまう原因となります。また、日光に当たりすぎると葉のとう立ちが早くなり、葉が固くなったり、苦みが増したりする事があります。日陰に移動するか、日陰を作って日光を防ぎましょう。
冬場は、多少雪に触れていてもすぐに枯れるという事はありませんが、夏場とは逆に、なるべく日光を当てて暖かくしましょう。気温が低すぎる場合は、屋内に移動させた方が良いでしょう。宿根の多年草なので、根が生きていれば、土の上の株がなくなっても数年間新しい芽を出す事が可能です。
種付けや水やり、肥料について
ルッコラと育て方はあまり変わりません。しかし、一年草のルッコラに比べて多年草のセルバチコは成長速度がゆっくりです。セルバチコは1年中育てる事ができます。しかし、発芽適温は15~20℃なので、真夏や冬場の種まきでは育たない事があります。春蒔きでは、その年の内に収穫が可能です。
秋蒔きでは、成長速度の遅くなる冬をまたぐので、収穫ができるのは次の年の春になります。種を蒔いてから収穫まで時間が掛かりますが、暖かくなればすぐに葉が成長し、収穫できる大きさになります。種付けと苗の定植のどちらからでも育てる事ができます。
種から育てる場合は、土に直に蒔いても良いし、セルトレイやポット等に植えてから植え替えをしても構いません。種は非常に細かいため、扱いが難しいです。一度に蒔きすぎないように注意する必要があります。株間は20~30cm程にして、大きい株を育てると良いでしょう。
直まきして余分な芽が出ている場合は、間引きをしておきましょう。間引きした芽は食べる事ができます。セルバチコは乾燥に弱い植物です。種が発芽するまでは土が乾燥しないように、水まきしましょう。発芽後は、土の表面が乾いたら、たっぷりと水をまくようにしましょう。
肥沃した土を好むので、元肥が必要です。緩効性の化成肥料がおすすめです。長い期間栽培するので、肥料が切れる事があります。葉の色が悪くなっているのが、肥料のやり時です。液肥等で追肥を施しましょう。
増やし方や害虫について
セルバチコは交配種ではありません。そのため、採れた種から増やす事が可能です。株が成長すると、葉がとう立ち、固くなっていきます。この状態のまま成長させると、黄色い花が咲き、その場所にはには後にさやができます。さやが膨らみ、中の種が大きくなると、
さやがはじけて種が飛び散ります。この種は、条件が整えば、発芽し成長していきます。また、できた種を他の場所に蒔く事も可能です。ただし、種ができたさやは割れやすくなっているので、種を採る場合は丁寧に扱いましょう。葉がとう立ちしてしまうと食用には向かなくなるので、
増やす目的があれば株を切り取らずに、成長させるのも良いでしょう。セルバチコは比較的、害虫に強い植物です。ですが、全くつかない訳ではないので、対策は重要です。よく見られる害虫の一つは、アブラムシです。アブラムシは植物の汁を吸います。
1匹だけでは大きな被害はありません。しかし、数日でどんどん繁殖を繰り返すため、厄介な存在です。数が増えすぎると植物の生長を阻害する可能性があります。また、病原体を運んでくる事もあるので、見つけたら数が少ない内に駆除しましょう。
もう一つは青虫です。青虫は葉を食べる習性があるので、健康な葉を食べてしまう危険性があります。ひどい場合は、ひと株丸ごと食べられてしまう事もあります。茎の周辺に隠れて見つけにくい事があるので、葉に虫食いが見られた場合は、丁寧に探し出すようにしましょう。
セルバチコの歴史
セルバチコはイタリア原産の植物です。イタリア語で「ルケッタ・サルバティカ」といいますが、「サルバティカ」というのは「野生」という意味で、「野生のルッコラ」として親しまれています。ビタミン類やミネラルが豊富に含まれている事から、
古代ローマでは滋養強壮の食品として栽培が始まっており、食されていたといわれています。また、惚れ薬の効果があるともいわれていました。野生のものは、現在でもローマ周辺を生息地として自生しています。独特の辛みと風味があるため、
ハーブの一種としてイタリア料理屋フランス料理に重宝されています。サラダに混ぜる、パスタやピッツァの仕上げ、肉料理の付け合わせ等の用途で使用します。日本で広まったのは比較的最近の事です。セルバチコは洋食料理の材料として使われる事がありましたが、
元々日本にない品種で国内生産もされていなかったため、海外からの輸入が入手手段でした。しかし、1980年代後半から始まったバブル経済の影響でイタリアンやフレンチといった洋食が注目を集めるにしたがって、料理で使用されている西洋原産の野菜の知名度も上昇していきました。
独特の味わいがあるだけでなく、栄養価が高いという事を理由に、セルバチコも国内で知られるようになりました。現在では、愛知や静岡等で国内生産が行われています。大型店だけでなく、スーパー等でも取り扱っている店舗が増えてきており、比較的簡単に手に入るようになりました。
セルバチコの特徴
セルバチコは多年草の植物です。暑さや寒さで地上に出ている葉が枯れてしまったり、地上に出ている株を切り取ったりしても、根の部分が生きていれば再び芽を出します。ハーブの一種であり、食べた時の風味は少しピリッとした辛みがきいていて、ごまの風味と苦みがあります。
ルッコラの味ととても良く似ていて、より強い風味を感じる事ができます。セルバチコは、英語で「ワイルドルッコラ」、イタリア語で「ルケッタ・サルバティカ」と呼ばれています。どちらも「野生のルッコラ」という意味である事からも、似た風味を持つ植物である事が分かります。
ただし、この2つは同じアブラナ科ではありますが、植物学上ではセルバチコがルッコラの野生種であるとはいえません。セルバチコはエダウチナズナ属で、ルッコラはキバナスズシロ属と分類が異なっていて、見た目にも違いが現れています。
セルバチコは葉が細く、深い切れ込みが入っているのが特徴で、花びらが4枚である黄色い花が咲きますが、ルッコラの葉はあまり切れ込みが深くなく、丸みを帯びており、白い花を咲かせます。そのため、見た目で違いがすぐに判ります。
ビタミン類やミネラル、β-カロチンが含まれています。特に、ビタミンC・ビタミンE・ビタミンK・カルシウム・マグネシウム等が豊富です。また、大根や辛子などと同じ辛み成分であるアリルイソチオシアネートが含まれており、抗菌作用や抗がん作用、血栓予防などに効果があります。
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