チャービルの育て方

チャービルの育て方

チャービルはロシア南部から西アジアが原産で、特に、コーカサス地方原産のものがローマによってヨーロッパに広く伝えられたと言われています。現在の生息地はヨーロッパ全土やアメリカ北東部です。

チャービルの種まきについて

チャービルは繁殖力が強く、寒さにも強いため、比較的育てやすいハーブです。初心者でも育て方の注意点さえ押さえておけば、ベランダなどの家庭菜園でも十分に育てることが可能です。チャービルは成長が早いハーブのため、順調に育てば種まきから2ヶ月後くらいから葉の収穫ができます。

種は比較的大きく、まきやすいものですが、発芽率が悪いため多めにまくようにする必要があります。チャービルの種まき時期として適しているのは、3月下旬から4月頃の春と、9月中旬から10月頃の秋があります。

ただ、春まきにすると、早い段階で花が咲いてしまい、収穫できる期間が短くなってしまうので、長く収穫したい場合には秋まきにするか、2月頃に室内で種まきをし、暖かくなってきたら外に移すと良いでしょう。チャービルの発芽適温は15度から20度前後と言われています。

適した時期以外でも、フレームなどを使って適温を保てば栽培することはできます。チャービルには移植を嫌う性質があるので、鉢に直まきするのが適しています。また、乾燥を嫌い、湿り気のある土壌を好むため、保水力があると同時に水はけの良い土を選ぶ必要があります。

種を薄くばらまきして、軽く覆土し、発芽までは、土を乾かさないように注意します。発芽した後は、葉が密になっている部分を間引いて株間をとり、収穫していきます。花が咲いて種ができると枯れてしまうので、花茎が伸びてきたらすぐに摘み取ることが大切です。この摘み取り作業を丁寧に行うことで、長い期間収穫できるようになります。

適した場所や水やりなどの管理の仕方

チャービルを育て方として基本となるのは、風通しが良い日陰でそだてるということです。繊細で上品な香りが持ち味のチャービルは、直射日光の当たる場所で育ててしまうと、葉の色が濃くなったり、堅くなって香りも強くなりすぎてしまうなど、上品さが失われてしまいます。そのため、日陰で育てることが大切です。

日陰で育てることにより、葉や茎の堅さや色味が軟らかく育ちます。鉢を適した場所に置くか、地植えをする場合には樹木の下などが適しています。乾燥を嫌い湿り気のある土壌を好みますが、高温多湿は嫌うため、暑くて湿度の高い夏には、立ち枯れを防ぐため、できるだけ風通しの良い涼しい場所へ移すと良いでしょう。

乾燥を防ぐため、土の表面が乾いたら、十分に水やりをすることが大切です。肥料は種まきをする前の土を作る段階で、粒状肥料を元肥として混ぜ込んでおけば、特に追肥をする必要はありません。

種から栽培するのが基本ですが、苗を購入して育てる場合には、気温が高くなり、霜の心配がなくなってから戸外で育てると良いでしょう。チャービルには移植を嫌う性質があるので、苗の移植を行う際には、根を傷めないように十分に注意する必要があります。柔らかく、保水力と水はけの良い土に元肥を混ぜ込み優しく移植することが大切です。

チャービルの収穫と後の保存

間引きをしながら収穫していくことになりますが、高さが25cmから30cmくらいの大きさになったら、外側の大きな葉から収穫していきます。一度に収穫しすぎると成長が衰えてしまったり、枝分かれをほとんどしないため、頂上の成長点を切るとそれ以上成長しなくなるため、注意が必要です。

チャービルは熱を加えすぎると風味が落ちてしまうので基本的には生に近い状態で使用します。つまり、摘み取ったらすぐに利用するのが一番適しています。まれに乾燥保存する場合もありますが、香りが失われてしまうため、保存に適しているとは言えません。収穫し、どうしても保存しなければならない場合には、刻んでバターに混ぜ合わせる「ハーブバター」などにして、冷凍保存すると良いでしょう。

最後に、種付け(繁殖)について

チャービルを繁殖させる場合には種まきで育てます。花をとらずにそのまま育てると実を結んで種ができるため、それを採取します。しかし、ただでさえ発芽率が低いチャービルの種は、古くなればなるほど発芽率がどんどん下がってしまいます。そのため、チャービルの種を長期間保存することは避けるようにしましょう。

また、種を採集せずにそのまま放っておいたとしても、自然と種が土にこぼれて発芽し、繁殖していきます。繁殖力と耐寒性に優れたハーブのため、冬越しも戸外で問題ありません。このようにチャービルの育て方にはさまざまな注意点があります。

チャービルにはビタミンCやカロチン、マグネシウムなど多くの成分が豊富に含まれており、利尿作用や、消化促進作用、血行促進作用、発汗作用、血液浄化作用などの効果が期待できます。また、料理として食するだけではなく、スキンローションとしても使用できるなど、その用途は幅広いものです。

そのため、種の植え方や土の種類、育てる場所、管理の仕方などに十分に注意を払い、上品で香りのよい繊細なチャービルをたくさん育て、長期間利用できるようにすると良いでしょう。

チャービルの歴史

チャービルはロシア南部から西アジアが原産で、特に、コーカサス地方原産のものがローマによってヨーロッパに広く伝えられたと言われています。現在の生息地はヨーロッパ全土やアメリカ北東部です。

古代ローマ時代にはすでに利用されており、特に、中世ヨーロッパ時代では、チャービルには「体内を浄化し、新らたな命を生み出す力がある」と人々に信じられていたことから、復活祭の前の聖木曜日に「チャービル・スープ」を飲むなど、チャービルを利用した料理を食する習慣がありました。

このようなことから、チャービルは「希望のハーブ」とも呼ばれています。また、「魔女の常備薬」という異名もあり、種子には過去と未来を透視する力があると信じられていました。日本に伝わったのは、明治初期と言われています。

チャービルの特徴

チャービルはセリ科シャク属に属する一年草のハーブで、花言葉は「誠実」です。草の丈は30cmから60cmで、葉はシダのように細かく切れ込んでレースのように分かれており、イタリアンパセリにも似ています。若葉は淡い緑色で、上品な甘い香りと風味があり、さまざまな料理に利用されています。

チャービルは湿り気のある日陰を好んで生息するという特徴があります。そのため、乾燥には弱いため、栽培する際には、夏の強い日差しなどの乾燥に注意が必要です。夏の初めには、小さなかわいい白い花を咲かせますが、花が咲いてしまうと葉の風味が落ちてしまうため、開花前に葉を摘み取って使用します。また、太い根の部分も食べることができ、芋用として育てられているチャービルもあります。

チャービルは、フランスでは、「蝋質の」を意味するラテン語の「ケレフォリウム」に由来して、「セルフィーユ」と呼ばれています。フランス料理には欠かせないハーブと言われ、「美食家のパセリ」や「グルメのパセリ」、「パセリの女王」などと呼ばれるヨーロッパでは一般的なハーブであり、魚料理や肉料理、乳製品などに幅広く使われます。

特に、オムレツやソース、ドレッシングなどの風味づけとしてや、彩りとしてそのまま添えられたりもします。しかし、あまり熱を通すと香りが失われてしまうので、生に近い状態で利用することが多いようです。さらに、他のハーブと組み合わせることでより風味が引き立つなどの相乗効果もあると言われています。フランスのフィーヌ・ゼルブやドイツのフランクフルター・グリーンソースには欠かせないハーブです。

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