ヒペリカムの育て方

ヒペリカムの育て方
ヒペリカムは丈夫なため、やや悪い条件でも育ってくれるため公園などの公共の場でもよく植えられています。品種によっては鉢植えでも育てることが可能ですが、成長が旺盛なため庭植えにして育てた方がいきいきと育ちます。切り花を楽しんだ後挿し木にして増やし、宿根草と一緒に寄せ植えとして楽しんだ後、充分に大きくなったら花壇に移植するという方法をとってもいいでしょう。
たくさんの花を咲かせるためには、日向や半日陰程度の日照が必要です。用土はとくに選びませんが、水はけの良い腐植質が豊富で水持ちのよい酸性の土壌を好む傾向があります。植えつけに適した季節は3月から4月と、暑さが落ち着く9月下旬から10月です。根鉢の二倍の深さと幅のある穴を掘って植えつけます。
掘り出した土に腐葉土やたい肥を混ぜて使用しましょう。水鉢を作って充分な水を注いで、根と土をなじませて植えつけるとよいでしょう。水やりは庭植えの場合はとくに必要ありません。鉢植えの場合は夏などの高温のときには一日に一回、鉢底からあふれ出るくらいにたっぷりと与え、鉢皿にたまった水は必ず捨てます。
冬場は生育の度合いが緩慢になるため三日に一度程度に頻度を減らします。真夏の高温期にあまりにも土壌が乾燥するようであれば、朝か夕方に水を与えるようにしましょう。肥料は生育が盛んになる前の3月あたりと、花後の9月下旬あたりに油かすや緩効性肥料を与えます。
害虫の被害にあうことがほとんどなく、多少ほったらかしでも丈夫に育ってくれますが、切り花として実を楽しむことが多いアンドロサエマムという品種の場合は、たくさんの実をつけさせたいのであれば適度な管理を必要とします。花と同様に実も日照条件がよくないと色が悪くなったり数が減ったりすることがあります。
剪定に適した季節は3月頃です。伸びすぎている枝を切り取ったり、邪魔な枝は取り除きましょう。樹形が整って見栄えがよくなりますし風通しと日当たりがよくなることで病気を発生させずらくなり、より丈夫に育ちます。枝先に花が咲くので、あまり切りすぎると花数が減る原因となるため注意しましょう。
栽培中に注意したいこと
ヒペリカムは乾燥に若干弱い面があります。枯れる原因としては日照不足というよりは水不足に原因があることが多いです。極端な水切れによって、葉がちりちりになってしまうことがあります。注意したい病気にさび病があります。とくに、カリキヌムやエルステッドは病気に弱い面があり注意が必要です。
さび病とは葉に茶色の斑点が出る病気で、落葉した葉に菌がついていることがあるため毎年のように発生してしまう場合もあります。最悪の場合は枯れてしまう原因にもなるため、注意が必要です。発生させてしまった場合は秋頃に専用の薬剤を塗布し、落ちた葉をこまめに取り除き清潔にしておくことで予防となります。
コンパクトにまとまった姿に育てたい場合は、3月頃に地面から30cm程度の高さに刈り込みましょう。反対にヒペリカムをもっと大きくしたいという場合には浅く刈り込むにとどめ、枯れた枝は取り除き花をつけなくなった古い枝を元から切断します。グラウンドカバーとしてカリキナムやトリカラーを育てている場合には剪定はほとんど不要です。
枯れ枝を取り除くくらいで充分でしょう。温かい地域では緑色の葉をつけたまま越冬することもありますが落葉性の植物のため、秋に紅葉した後寒くなるとほぼすべての葉を落とします。春になって温かくなるとまた芽吹き始めます。春は芽吹き、初夏には新しい枝が盛んに伸びて開花し、紅葉し落葉するという季節の移り変わりが楽しめる植物です。冬に枯れてしまったと勘違いして捨てないように注意しましょう。
ヒペリカムの増やし方
ヒペリカムは種付けを行うほかにも挿し木で簡単に増やせます。種を採取する場合には充分に熟してこげ茶色になった実を割って出す必要があります。たねまき用の土か小粒の赤玉土にまいて乾かさないように日陰で管理しましょう。挿し木をする場合は、花が咲き始める5月か6月頃に充分に成熟した枝を10cm程度に切断し、先端の葉を3枚か4枚程度残して取り除きます。
1時間程度コップに入れた水にさしておき、水揚げをするといいでしょう。切り口に植物成長調整剤をまぶすと発根しやすくなりますが、ヒペリカムは他の植物に比べて頑強で発根しやすい傾向があるため使用しなくてもとくに問題ないかもしれません。挿し木用の土や小粒の赤玉土に挿して、水を与え乾かさないように日陰で管理します。
横に這うように伸びるカリキナムなどの種類の場合は株分けで増やすことも可能です。植えつけ時に大きすぎるような場合はハサミで根鉢を切ってわけることができます。様々な増やし方を楽しむことができ、切り花として利用した後の枝を挿し木として使っても発根することがあるほど丈夫な性質を持っているため、比較的簡単に増やすことが可能です。季節の彩りとして、ヒペリカムを育ててみてはいかがでしょう。
ヒペリカムの歴史
ヒペリカムの原産地は中国で、中央アジアや地中海沿岸を主な生息地としています。もともとは中国大陸の草地や山の中に自生している植物です。ヒペリカムの仲間にビヨウヤナギやキンシバイがあり、オトギリソウ科のオトギリソウ属の植物は多岐にわたります。黄金色の花を咲かせるこれらのオトギリソウ科オトギリソウ属の仲間を総称してヒペリカムと呼ぶことが多いです。
ヒペリカムは日本には江戸時代頃に中国から渡来したといわれており、日本原種にオトギリソウやトモエソウがあり、古くから薬草として用いられてきました。オトギリソウは漢字で書くと弟切草と書きます。なにやら物騒な雰囲気の漢字ですが、名前の由来には諸説あります。オトギリソウは切り傷に薬効があるとされており、古来から傷薬として用いられてきました。
平安時代の伝説に、オトギリソウを原料とした秘薬の製法を他人にもらした弟が兄によって切り殺されたというものがあります。このような怖い伝説がある一方で、タカノキズグスリ、チドメグサなどの別名もあります。オトギリソウの葉の葉面には褐色の点が見られることがありますが、これはヒペリシンという物質です。ヒペリシンを摂取した後で日光にあたると皮膚炎を起こす恐れがあります。
ヒペリカムの特徴
ヒペリカムは春から秋の長期間にわたって花と実を楽しむことができ、観賞価値が高い多年生の低木です。庭木にしたり、グラウンドカバーとして利用したり、株がそれほど大きくならないため狭い場所でも栽培できます。どの種類も草丈は1メートル前後とあまり大きくならないことが特徴です。
上向きに黄金色の花が咲き、多くのおしべが突き出したような形が印象的です。ヒペリカムの種類は様々なものがあります。樹高が低く横に広がるように育つヒペリカム・カリキヌムや、キンシバイよりも若干大きく非常に丈夫なヒドコート、カリキヌムとキンシバイの交雑種である小型品種のトリカラ―、たくさんの小さな花を咲かせ赤や黒の果実を実らせるエルステッドなどの園芸品種が栽培されています。
赤い実のついた枝がフラワーアレンジメントや切り花として利用されることが多いです。秋の雰囲気が満点で季節感のあるアレンジが可能なため、もしかしたら花よりも実を見たことがあるという人の方が多いかもしれません。丈夫で育てやすいことが特徴の一つで、切り花として飾っていた枝を土に挿すだけで発根することがあります。
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