イングリッシュ ラベンダーの育て方

種付けと栽培環境
イングリッシュ ラベンダーはその特性上、日当たりと風通しのよい場所で育てることが大前提となりますが、育て方はシンプルで園芸ビギナーでも失敗しにくい品種といえます。交配種には高温多湿に強いものもありますが、原種に近いイングリッシュ ラベンダーは高温多湿に弱い系統です。
そのため、庭植えする場合には、西日の当たらないところを選ぶ必要があります。さらに、水はけを良くするための土壌改良を欠かすことができません。イングリッシュ ラベンダーの栽培に適した土壌を作るために、パーライト、または日向土小粒などを、1~2割ほど土に混ぜ合わせておきます。
ラベンダーは酸性土壌を苦手としているため、植えつけの2週間くらい前に、1平方メートル当たりにつき100gの苦土石灰を施しておきます。蒸れると枯れ上がってしまうので、種付けには風通しのいい場所を選びます。平地よりも傾斜地での栽培に向いており、鉢植えにする場合は、水はけのよい培養土を使って植えつけます。
庭植えの場合は、土を深く耕し、高植えにすると生育の条件を満たすことができます。鉢植えの場合は、あまりに大きい鉢を使うと過湿になってしまうので、5号鉢、もしくは6号鉢ほどの大きさのものが適しています。
春と秋に種付けができますが、高温多湿を苦手とするイングリッシュ ラベンダーやラバンディンの系統は、秋に種付け行うことで開花時期までにしっかりと根が張るため、夏越しがしやすくなります。
栽培方法、育て方
イングリッシュ ラベンダーの育て方として、多湿状態にならないように注意することは基本中の基本となります。庭植えの場合は、植え付けた直後にたっぷり水やりをしますが、基本的に根を張ってからは定期的な水やりは不要となります。
朝にチェックをして、土が乾いているようなら水やりします。水やりのタイミングは、葉が少し柔らかく垂れ下がってきたころがベストです。葉が水気を失って垂れてきても、すぐさま枯れてしまうようなことはありません。その状態で水をやると、すぐに元通り元気になります。
夏は過湿にしないように注意する必要がありますが、花が咲いている間は水切れさせないように気を使わねばなりません。鉢植えの場合も水やりのタイミングなどは同様ですが、鉢は水をため込みやすいため、雨が降った時などは軒下に移動させるといった配慮が必要です。
他の園芸用作物などの育て方と同じように、イングリッシュ ラベンダーも植えつけ時に元肥を施します。植えつけ時、粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を1平方メートル当たりにつき70gを植え場所の土にばらまきます。鉢植えの場合も、植えつけ時に用土1リットル当たりにつき5gの粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を混ぜて使います。
しかし、もともとあまり多肥を好む品種ではありませんので、夏から秋にかけては施肥が完全に不要となります。鉢植えの場合も、夏と冬を除いた生育旺盛な時期に少量の追肥を行うだけでよく、次の施肥のタイミングは翌年の春先で、3月ごろに植え付け時と同じ肥料を施します。
イングリッシュラベンダーの収穫と利用方法
収穫は主に花の部分を摘み取ります。花の咲き始め、だいたい2分咲きから満開にかけて咲く時期に、4枚から8枚ほどの葉をつけた状態で切り取ります。花を必要としていない場合でも、花が咲きっぱなしになることで株は栄養を取られ消耗してしまうので、早めに花穂を摘み取る必要があります。
また、ラベンダーは草丈が高く、枝も込み合いがちになるので剪定の作業を行わなくてはなりません。収穫をかねて、葉のついた部分を残しながら、草丈を低くする形で半球状に刈り取っていきます。中の部分で枝が込み合っているなら、間引きをして風通しを良くしてあげます。
収穫したものは、乾燥しても強い香りをキープできるので、ハーブティーとして楽しむ以外にもさまざまな用途があります。基本のハーブティーの効果としては、リラックスとイライラの解消が期待できます。就寝前に飲むことで、ゆったりとした気持ちで深く眠ることができるでしょう。
シャープですがすがしい、リラックス効果のある甘い香りを楽しむ他の方法としては、ポプリに加工するのが一番身近なやり方です。乾燥させたものを入浴剤として使用するのもおすすめで、 ヘアリンスとして使えば、フレグランスとしても優秀な存在といえるでしょう。
イングリッシュ ラベンダーは、肉や魚を使った料理の香りづけとしても他のハーブと同じように万能な活躍をしてくれますが、お菓子作りやジャム、あるいはビネガーの香りづけといった、アレンジをきかせやすい種類なのが魅力的です。また、殺菌効果が高いため、スキンケアに利用することも可能です。ハーブティーをフェイシャルスチームで使えば、ニキビや肌荒れを改善してくれます。
イングリッシュラベンダーの歴史
イングリッシュ ラベンダーは、シソ科のラベンダー属、半耐寒性の小低木の植物です。
ハーブの女王としてゆるぎない地位を確立した品種で、古くは古代ギリシャで沐浴のために使われた歴史を持ち、原産地は南フランスのプロバンス地方といわれています。
ラベンダーの語源としてはさまざまな説がありますが、洗うという意味のラテン語からきているとする説が一般的です。古代ローマでは洗濯や、浴用の香料として利用されたのではないかといわれています。
現在、イングリッシュ ラベンダーの生息地はヨーロッパやアジアなど世界中に広がっており、ハーブの代表格といっても過言ではないほどに周知されました。
ラベンダーには交配種で育てやすいラバンディン ラベンダーや、ストエカス種のフレンチ ラベンダー、デンタータ種のフリンジ ラベンダー、ピナータ ラベンダーなど、さまざまな品種が存在します。
そんな中、アングスティフォリア種のイングリッシュ ラベンダーはもっとも広く認知された品種で、通常、ラベンダーといえばこのイングリッシュ ラベンダーのことを指すのです。
イングリッシュラベンダーの特徴
イングリッシュ ラベンダーは、何といってもすっきりとした甘い香りが特徴的なハーブです。この香りにはリラックス効果や殺菌効果があることで知られ、精油や香油に古くから利用されてきました。
不安を取り除き、精神的なストレスを軽減する効果があるため、眠る前にハーブティーにして飲めばぐっすり眠ることができます。ストレスを軽減させるだけにとどまらず、神経性の頭痛や、めまいにも効果を発揮するといわれています。
そのため、インフルエンザや熱をともなう風邪などの症状が出た時に、ラベンダーのお茶を飲むと症状が改善されます。ラベンダーに含まれる成分によって、まずは発汗が促進されます。その発汗作用によって熱が下がるとともに、体外に毒素を排出することで症状が快復するのです。
ラベンダーの精油は数ある精油の中でも比較的安価に手に入るものの一つですが、この精油と精製水と合わせることによってラベンダー水という化粧水を作ることができます。ラベンダーそのものに殺菌作用があり、スキンケアに利用すると肌の調子を整える効果が期待できます。
また、イングリッシュ ラベンダーは、丸みのある小さな紫色の花を咲かせます。一般的にラベンダーという名前から連想する、スタンダードな色と形をしており、現在のラベンダーというイメージはこの品種によって形作られているのです。
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