ショウガの育て方

ショウガの育て方

現在では日本人の食生活にすっかりと定着しているショウガですが、実は原産地は熱帯性の動植物の生息地である熱帯アジア(インド、東南アジアなど)といわれています。この熱帯アジアに近い中国では紀元前500年には栽培されていたとの記録があり、日本にはその中国から2~3世紀ごろに伝来してきたという説が有力です。

ショウガの育てる環境について

原産地が熱帯アジアということもあり、気温が低い地域では育ちにくいのですが、植え付けする春から収穫する秋まで適度な気温と湿度がある環境ならば栽培するのに支障がなので、インドや東南アジアだけでなく、中国やオーストラリア、中南米など世界各地で栽培されています。

これに対して日本の夏は高温多湿で適度な温度・湿度が保てる気候なので、高知県、千葉県、静岡県、熊本県、長崎県、宮崎県などの地域を中心に広く栽培されています。根ショウガは寒さに弱く暑さに強いので、春~秋に気温15~30℃程度に保たれ、塊根が育つ地下に適度な水分が循環できる環境で育てるのが適しています。

このため、年間の日照時間が長くて急な低温に見舞われることが少なく、土壌に適度な水分が保持される粘土質の土壌のほうが栽培しやすい環境といえます。また、美味しいショウガに育てるにはキレイな水が不可欠なので、清流である四万十川に面していて必要なときにキレイな水を取り入れることができ、

肥沃な土壌が育てられる高知県を始めとした地域で栽培が盛んなのです。逆に、水はけが良すぎる砂地の土壌の畑では栽培にあまり適した環境とはいえないので、こうした土地で栽培したいときには赤土や黒土などの粘土質の土を加えるなどして土地の保水性を高める必要があります。

最近はより手軽に土の保水性を高められる土壌改良材が販売されているので、家庭菜園程度の広さならばこちらを活用したほうが手軽です。なお、日本では中国から伝来してきた頃は中国と同じ品種が育てられていましたが、

その後、次第に日本の気候や土壌に適合するように品種改良が進み、現在では各地域に適した独自の品種が栽培されているので、種を選ぶ際には自分の住む地域に適した品種を選ぶことが正しい育て方といえます。

ショウガの種付けや水やり、肥料について

ショウガは低温に弱いので、最低気温が15℃以上になってから種付け(植え付け)をします。このため、地域によって種付けの時期は異なりますが、日本では一般に4~5月が種付けの時期なので、この時期になったら平年の気温を確認しながら種付け予定日を決め、

その2週間前あたりを目安に土壌づくりを始めるとよいでしょう。種付けを行う土壌はできるだけ保水性の高い粘土質の土壌を選び、そこに石灰(苦土石灰)と堆肥を撒いた後によく耕して畝を作っておきます。石灰と堆肥の量は元々の土壌の成分によって変わってきますが、

苦土石灰は1㎡あたり約100~150g、堆肥は1㎡あたり約2~3kgを目安に調節しましょう。畝は幅30cm、高さ10cm程度を目安につくりますが、1つの畝に2列植える場合には幅を60cmにしたり、降雨量が多い地域では畝を20cmくらいにしたりするなど適宜調節します。

ショウガはまず病気のないものを選定しますが、大きいものはそのまま植えずに50~70g程度の小片に分割して準備しておきます。そして時期が来たらこれを10~20cm間隔で10cm程度の深さに植え付けていき、5~6cmの厚さを目安に覆土します。

植え付け後は土壌が乾かないように土の表面が乾いてきたら水をたっぷり与えて発芽するのを待ちますが、気温が低い地域の場合には目が出るまでマルチシートで生育温度を上げると発芽しやすくなります。発芽後は葉の成長に応じて化成肥料(1㎡あたり50g程度)で追肥するとともに、土寄せを行うのが効率的です。

最初は発芽後1ヶ月後くらいで15cm程度に成長したときに、2回目はさらに約1ヶ月後で30~40cmくらいのとき、そして3回目は1ヶ月後の合計3回追肥と土寄せを繰り返します。なお、梅雨明け後は晴れの日が続き、気温が上昇して乾燥しやすくなるので、敷きワラやマルチシートで地面を覆い乾燥を防ぐのがお勧めです。

ショウガの増やし方や害虫について

ショウガは、地上に出てくる偽茎がぐんぐん成長する7月ごろになると温暖な地域を生息地とする害虫の被害に見舞われることも少なくありません。害虫はほとんどが小さな虫の幼虫ですが、何も対策を行わないと数がどんどん増えて甚大な被害をもたらすので、しっかりと対策を行っておくことが大切です。

たとえば、稲やアワ、ヒエなどのイネ科の植物に甚大な被害をもたらすアワノメイガの幼虫は、黄白色で体長5mm~2cm程度の小さい虫ですが、別名シンクイムシ(芯喰い虫)とも呼ばれており、この害虫は茎の中に侵入して芯の部分をどんどん食べてしまうので、

そのまま放置しておくと寄生された植物は茎を維持することができなくなるため枯死に至ります。アワノメイガの幼虫は春~秋の長い期間活動しており、ショウガが発芽して地上に偽茎が伸びて葉をつけるようになると、偽茎に侵入して芯の部分が食べられるので、心枯れ茎となってしまいます。

光合成で栄養をつくる葉がたくさんついている偽茎が枯れると、当然地下にある根塊の成長が阻害されてしまうので、偽茎が成長してアワノメイガに寄生されやすくなる7月になる前に効果の持続時間が長いオルトラン粒剤などを使用して万全の害虫防除しておきましょう。

また、日本のショウガの生産地に付近に生息するコガネムシやアワヨトウ、ヤガなどの幼虫は、「ネキリムシ」と呼ばれる害虫でもあります。ネキリムシは小さい幼虫ですがその大きなアゴで地上に出ている偽茎の根本を噛み切って切断してショウガの成長を阻害するので、早めに対処することが大切です。

ネキリムシは普段は土中に生息しているので、土壌に混ぜるタイプの薬剤を使用して駆除・防除します。その他にも、ハスモンヨトウやアオムシ、コナガなど様々な種類の害虫が存在するので、それに合わせた薬剤を購入して定期的に駆除や防除を徹底しましょう。

ショウガの歴史

現在では日本人の食生活にすっかりと定着しているショウガですが、実は原産地は熱帯性の動植物の生息地である熱帯アジア(インド、東南アジアなど)といわれています。この熱帯アジアに近い中国では紀元前500年には栽培されていたとの記録があり、

日本にはその中国から2~3世紀ごろに伝来してきたという説が有力です。ショウガは原産地のインドでは古来より香辛料や保存食、医薬品などに幅広く利用されており、現在でもインドではカレーなどの料理に入れるポピュラーな香辛料として定着しています。

中国では古来より漢方薬としても用いられており、ショウガは新陳代謝を高めて身体を温めて冷え性を改善したり、食欲増進、むくみ解消、咳や鼻詰まりといった風邪の症状の緩和など様々な効能が期待できることから、現代でも生姜(ショウキョウ)として多くの漢方薬に配合されています。

気候がショウガの栽培に適していないヨーロッパでは、14世紀以降にインドや中国と貿易するようになると、主に乾燥させたものがスパイスとして盛んに流通されるようになり、料理に欠かせないスパイスとして用いられています。

日本でもショウガは食べ物の保存性を高める調味料として、古くから用いられていますが、ショウガが伝来した2~3世紀ごろはまだショウガは希少なものだったので、この頃には砂糖漬けやはちみつ漬けにした保存食が上流階級の食べる高級食品として扱われていたそうです。

このように世界中で広く愛されるショウガですが、日本では中国から伝来後に徐々に各地で栽培されるようになり、現在では高知県や熊本県、千葉県などの国内の主要な産地を中心に広く栽培されています。

ショウガの特徴

ショウガとは地面の下に伸びた地下茎のが肥大化した根茎(根塊)と呼ばれる部分で、地上には葉のみが顔を出した状態で成長していくのが特徴です。成長過程では茎のような部分が地面と垂直にぐんぐん伸びていき、両側に楕円形をした葉がいくつも互い違いについていきますが、

これは本物の茎ではなく葉柄が折り重なって茎のように巻いた偽茎です。花も同様に地下茎の別のところから伸びた偽茎の上につきますが、普通の育て方では開花することはほとんどありません。このため、栽培するときには基本的にじゃがいもなどと同じように種となる塊根を小さく切って4月~5月頃に植え、

この塊根についた新しい塊根を収穫しますが、収穫方法や収穫時期、育て方の違いよって様々な楽しみ方ができるのも特徴です。一般に、4~5月に植えた場合、新しい塊根ができはじめた6~7月ごろには小さな塊根と葉の部分を一緒に切り取って出荷されるのが葉ショウガで、

彩りがよいので肉料理や魚料理の付け合せとして重宝します。また、一般的にスーパーで一年中流通することの多い根ショウガは、9月~10月ごろまでじっくり育てて収穫されたもので、長期保存できるように温度管理された貯蔵庫で保管され、

需要に応じて随時出荷されることになります。夏頃に流通する白っぽくて水分が多い新ショウガは辛味が少ないので甘酢漬けにすると美味しく食べられますが、これは夏に新しくできた若い塊根部分のみを切り取って収穫される季節限定の味覚です。

健康によい成分が豊富なのも特徴ですが、中でも辛味成分のジンゲロールは殺菌作用を持ち、免疫力を高める作用があり、血行を促進して新陳代謝をアップさせる効果があるので、風邪などの感染症の予防や冷え性の改善に効果的です。

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