ディルの育て方

ディルの育て方

ディルは古代メソポタミアやエジプト時代から栽培されていたといわれて、薬用として古代から使われてきました。現在では薬味などの香料としても世界中で幅広く使われて親しまれているハーブで、原産地は地中海沿岸、インドとなっています。

ディルの育てる環境について

独特な香りが苦手な人が多いディルですが、セリ科の一年草で栽培しやすく家庭菜園でも育て方にこまらない、容易に栽培することができるハーブです。草丈は60~100cmまでに生長、葉は羽状で細く裂けて花は黄色の小さい可憐な花を密集して咲かせます。

細かく枝分かれした青っぽい緑色の葉と茎の先に花を傘のような形に咲かせていきます。直根性で移植を嫌い苗が流通していないので、種から育てることがほとんどとなります。種の直まきをできない場合は、ポット鉢などで苗に育ててから植えつけていくと良いでしょう。

植える時も、根を傷つけないように土を崩さずに植えてください。 日陰だとあまりよく育ちません。非常に日光を好み、強い日差しにも負けません。少々でも日陰になるようだと収穫量が減るほどですので、庭にあいている部分があるなら植えてみることもおすすめします。

ただし同じセリ科のフェンネルと交雑しやすく、お互いの性質が混じった種ができると香りなどの質が劣る可能性が高いです。ディルは一年草で毎年種子を作って辺りに落とし来年も芽を出しますので、両方育てている場合はできるだけ離した場所で育てましょう。

時期としては4月、または9月頃に小さなポットか鉢、あるいは直接プランターなどに点まきをすることになります。発芽して2~3cmに伸びたら、隣あった株が触れ合わないように、弱々しい株などは間引いていきます。株が10cmほどになるまでには、

間隔を取りぶつかり合わないようにしていきましょう。20cmくらいまで生長してきたら、倒れないように支柱を立てます。鉢で育てる場合は6~8号鉢で1株を目安に植えつけます。西日や暑さに弱いので、日除けをするのもよいでしょう。

ディルの種付けや水やり、肥料について

春は毎日、夏は朝と夕方の2回水をやります。やや湿り気味の土壌を好むので、土の表面が乾きかけたらたっぷりと水を与えます。特に真夏の高温期には乾きやすく、乾くとすぐに葉がしおれるのでこまめに水を与えましょう。鉢植えの場合は土の表面が乾いてから、

鉢底から水がしみ出すくらいにやります。適度の湿り気を保ちながら管理すれば問題ない育てやすい薬草です。肥料はバランスの取れたものを与え、中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

庭植えの場合、水はけが悪いならば川砂や赤玉土を混ぜて水はけをよくしてから植えつけます。強い酸性土壌に弱いので、植えつける2週間くらい前までに石灰を施します。また、元肥として堆肥や油かす、化成肥料をすき混んだ後によく耕しておきましょう。

鉢植えやプランターなどの用土の場合には、赤玉土小粒7と腐葉土3を混ぜ合わせたものに化成肥料を加えます。植えつけは、本葉が4~5枚くらいに育った頃がよいでしょう。 生長してきたら2週間に1回程度、液体肥料を与えてあげます。温暖な気候を好み耐暑性がないディルですが、

耐寒性はあるのでそのまま越冬できます。ただし霜に当たっても枯れないからと、何度も強い霜に当てているとさすがに枯れてしまいますので気をつけましょう。 生育の遅れた小さな苗で霜柱で根が浮いてしまうようなものは、ワラなどで霜除けを施します。

ディルの増やし方や害虫について

ディルの葉はアゲハチョウが好んで卵を産み付けますので、卵を見つけ次第つみとっていくように気をつけてください。種を殖やす際は、結実させた実をまいて殖やしていくことになりますが、種を撒く時期と肥料について注意があります。種の収穫を目的にする場合の肥料は、

窒素分を少なめにした肥料の配合が適しています。また撒き時期についても、花が咲いて種子が出来ると葉は堅くなって枯れ始めますので、春に種蒔きをすると収穫できるまでの期間が短くなります。収穫期間を長引かせたいなら秋に種を撒くのがおすすめです。

種子は、実が熟し黄褐色に変化する頃収穫していきます。熟し過ぎてしまうと飛び散ってしまうために、早朝から夕方に刈り入れることで損失を抑えることができます。20cm以上に伸びて種実が結実したら、根元から1~2cmの部分を茎ごと刈り取りっていきます。

外側の大きな葉から順に収穫しますが、いっぺんにたくさん収穫してしまうとその後の生長が悪くなってしまうので気をつけてください。収穫したディルシードは天日で乾燥させた後、容器に入れて保存しておきます。ディルの未熟な緑色の種実は、

ホワイトワインビネガーにいれたりオリーブオイルに入れて楽しむ方法もあります。種をピクルスの香りづけに利用する場合は、未熟なものを利用します。 ハーブ類にはあまり連作障害はでませんが、それでも長期間同じ場所で栽培すると障害がでます。できるだけ連作は避けることが賢明でしょう。

ディルの歴史

ディルは古代メソポタミアやエジプト時代から栽培されていたといわれて、薬用として古代から使われてきました。現在では薬味などの香料としても世界中で幅広く使われて親しまれているハーブで、原産地は地中海沿岸、インドとなっています。

ディル(Dill)の名は、北欧の古い言語である古代ノルド語で「なだめる・和らげる」を意味するDilla(ジーラ)からついたものです。ディルの種子の煎じ汁に鎮静作用があり、胃腸の痛みを和らげるためなどに用いられていたためです。

古代から薬草として知られていたことは、現代のイラン・イラク地方で栄えた古代メソポタミア文明の粘土板に、当時使用していた薬用香料200種の一つとして刻まれていたことから判明しました。旧約聖書にもその名が見つかっており、紀元前740年頃にはパレスチナ地方でも栽培されていたことが記載されています。

その後、古代ギリシャやローマへと栽培が広がり、中世ヨーロッパでは媚薬や魔術師や魔女のまじないの材料として知られたり、医薬用としてなど多用されました。中世には戦いで傷ついた騎士たちの治療のため、傷口に焼いたディルシードを貼りつけて用いていたそうです。

ディルが一般人にも普及したのは14世紀に入ってから、日本では江戸時代から時蘿"じら"という名前で生薬として利用されはじめました。現在の主な生息地は、インド、アメリカ、スペイン、イタリアなどが主で、日本では僅かに国内のハーブ園などで栽培される程度です。

ディルの特徴

ディルの種は大きさ約3mmほど、形は2個の種子が向かい合った楕円形をして皮に淡黄色の縦筋があります。葉はほうきのように細く裂けて、全体にキャラウェイに似た特有の香りがあります。姿はフェンネルに似ていますが、茎の内部が空洞となっている点が違います。

実が黄褐色になり始めたところで収穫して乾燥させたものはディルシードといわれ、葉と茎を乾燥させたものはディルウィードと呼ばれています。葉と茎のほうが香りは弱く、 種はかむと葉より刺激の強い香味があります。成分にはカルボン、リモネン、ピネン、フェランドレンなどが含まれています。

種子油は、健胃効果や腸管のガスを排出させる駆風効果、気管の痰を除去する去痰効果があるとされ、その部分が薬用として用いられることが多いです。穏やかな鎮静作用があることから、ディルのハーブティーはイライラを鎮めるとされています。

ハーブティーとして用いる際は、小さじ1杯程度にカップ1杯の熱湯を注いでください。そのままフタをして10分程度置いてから漉したものを飲むことができます。日本ではなじみ薄いスパイスですが、食用ハーブの中で用途広く使えるものであり、

欧米、東南アジア、中近東では、葉茎、種子ともにピクルス、パン、サラダ、各種ソースや魚・肉料理など広く用いられています。インドではカレー粉の原料になるほか一般的調味料として使用されており、葉は細かく刻んでスープやサラダにもおすすめです。

ディルは北欧で好まれているハーブでもあり、鮭やニシンと相性が良いためヨーグルトやサワークリームに加えてゆでたジャガイモや魚料理などに添えられることが多いようです。キュウリを漬けるディルピクルスという付け合せ料理もあります。酢に加えて風味をつけたディルビネガーは、日本のご家庭でも手軽に試すことができるものです。

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