センノウの育て方

センノウの育て方

センノウは鎌倉時代の末か室町時代の初めごろ、中国から渡来したと言われている多年草です。中国名は「剪紅紗花」と書き、センコウシャカと読みます。炎のように赤い、ナデシコに似た花が印象的な植物です。

センノウの育てる環境について

センノウは野性的な性質で育て方はそれほど難しくなく、種のできる品種ではこぼれ種からでも芽が出、育つくらい丈夫ですが、都会などでは花壇より鉢植えの方が育てやすい植物です。風通しが良い場所を好み、じめじめした環境は苦手なので、鉢植えでも水やりはあまりしない方がいいでしょう。

多湿で枯れることもありますが乾燥に耐性があるからといって極端な乾燥状態のままにしてしまうと生育に影響を及ぼしますので注意が必要です。また日当たりを好みますが、真夏の直射日光や暑さに弱いので7月以降は半日陰で育て、庭植えの場合は最初から半日陰に植えると良いです。

半日程度の日差しでも花は咲きますが、茎が細くひょろひょろしている時は日照不足が原因ですので、鉢植えの場合は少し日光が当たる場所に移動させましょう。日照不足になると花が咲きにくくなります。5月~6月頃には先端の芽を切り落とす、摘心を行います。

摘心することで、茎の数が増えて花がたくさん咲くようになります。肥沃な土壌では枯れることもあるため肥料は少なめで良いです。寒さには強くマイナス30度までは耐えられますので冬の防寒対策は特に必要ありませんが、霜に当てると茎や葉が傷んでしまいますので、霜には注意しましょう。

花が咲き終わった後、そのままにしていると枯れてしまいますが、多年草なので根元と数枚の葉だけ残しておけば翌年暖かくなると成長し、再び花を咲かせるようになります。根詰まりを起こすと花が咲かなくなるので、株の間は20~25センチメートルほどあけるようにしておきます。土質は特にこだわりがなく、市販されている土を使用して大丈夫です。

センノウの種付けや水やり、肥料について

スイセンノウなど種で増やせる品種の場合、種蒔きは春か秋に行います。 10月までに種まきすると、うまく育てられれば翌年には花を咲かせます。春に蒔く時は直蒔きでも大丈夫です。蒔き床に種蒔きした時覆土は不要で、底面給水、発芽まで1週間ほど日陰で管理します。

本葉が5、6枚程度になったら植え付けをします。植え替えは新芽が出る前の2月~4月が適期とされていますが、夏が過ぎて寒くなる前に植え替えしても大丈夫です。 植え替えてすぐに雨が当たっても問題ありません。 最低でも鉢植えでは2年に1回、

地植えでは数年に1回は植え替えるようにしましょう。できれば鉢植えは毎年、地植えは3年に1回植え替えるのが望ましいです。その時芽の出る部分がしっかりと地中に埋まるようにするのがポイントです。水やりについては、鉢植えの場合土が乾いた時に鉢底から水が流れ出すくらいが目安になります。

庭植えの場合は、いったん根付いたら特に水やりは必要ありませんが日照りが続くようであれば、水やりをします。肥料は春に芽が出てきた頃、暑さが過ぎた9月以降にゆっくりと効く固形肥料を適量与えます。3月から6月の間は月に1回、親指大の油かすや配合肥料、

暑い時期は液体肥料を2000倍に薄めたもの、涼しくなったら骨粉などの固形肥料を施します。ただやせ地でも育つ植物なので、与える肥料の量がわからない場合は量を少なめにするか元肥だけでも大丈夫です。植え替える時に腐葉土を3割ほど混ぜた用土に、

緩効性の粒状肥料を混ぜて元肥としても良いです。リン酸、カリウムが多めの肥料が良いでしょう。4~5号鉢で二つまみほどの量が適量です。肥料をあげすぎると花がきれいに咲かなかったり、数が少なかったりしますので、肥料のあげすぎには注意しましょう。

センノウの増やし方や害虫について

センノウはさし木と株分けで増やすことができます。さし木の適期は4月から6月、7月終わりごろまでは大丈夫です。若い芽先を1~2節の成葉をつけて切りとり、バーミキュライトや赤玉土の苗床にしっかりと挿します。先端5センチメートルを目安に挿しても良いです。

比較的根付きやすく、根付いたら鉢に植え付けます。上手くいくとその年から花を見ることができます。株分けは植え替えと同時に行うことも、2年目からは秋に株分けすることもできるようになりますが、3月末から4月上旬の発芽してくる頃が良いと言われています。

根茎を2~3芽つけて切り分けるのがポイントですが、あまり株を小さく分けてしまうと、根がかけてしまうことがあります。切り分けるハサミやカッターは火であぶって消毒すると病気の予防になります。鉢植えにする時は15センチメートル以上の鉢や6号鉢で2~3株くらいを目安に植えます。

芽の基部が土面より3センチメートルほど低くなるように植えつけるのがポイントです。害虫があまり発生しない品種もありますが、発生した場合は殺虫剤などで除虫を行います。アブラムシにはパイベニカ乳剤やオレート液剤などの殺虫剤が有効です。

葉を食べるヨトウムシは主に5月から6月に発生しますので、夜間に見つけ次第捕殺します。ハモグリバエは葉に曲線を描くように葉の内部を食べているので、線の先端を探すと幼虫がいます。それを爪の先で押しつぶします。アオムシは初夏に現れるので見つけ次第駆除します。

センノウの歴史

センノウは鎌倉時代の末か室町時代の初めごろ、中国から渡来したと言われている多年草です。中国名は「剪紅紗花」と書き、センコウシャカと読みます。炎のように赤い、ナデシコに似た花が印象的な植物で、室町時代には天皇家や将軍家へ七夕の花として献上され、

茶花や生け花、庭園などで観賞されていた記録が文献や「浜松図屏風」などの美術品にも残っています。真夏に元気に咲き誇ることから「長生不老の花」と、縁起の良い花として喜ばれ、七夕には欠かせない花であったことから七夕を仙翁花の節という意味から仙節とも呼ばれていました。

名前の由来は、禅寺の嵯峨の仙翁寺で、茶花として育てられていたことから来ています。仙翁寺が廃寺になってから絶滅したと考えられており、江戸時代の文献「和漢三才図会」「大和本草」などに記録があるだけで幻の花と言われていました。品種改良はあったようですが、

株分けや挿し木などでしか増やすことができなかったため、いつからか途絶えてしまったようです。しかし1995年テレビで島根県の盆市に仙翁が並べられている場面が映し出されたことがきっかけで研究施設や研究家が株の一部を譲り受けて栽培、増殖させたことから再び市場に流通するようになりました。

ただ室町時代のセンノウは文献に「草丈四~五尺」と書かれており、花丈は150センチメートル前後あったと思われます。今流通しているセンノウはこれほど背丈のあるものはないのですが、岡山県の大聖寺のセンノウは花丈150センチメートル前後あり、室町時代に栽培されていた純潔種秘花と言われています。

センノウの特徴

センノウはナデシコ科の多年草で、主に夏に咲く花です。主な仲間としてヨーロッパ南東部原産のスイセンノウ、本州の中北緯部を生息地とし栃木県日光の千手が浜で最初に発見されたセンジュガンピ、湿原を生息地とするオグラセンノウ、本州から九州にかけて生息する

オレンジ色の花が印象的なフシグロセンノウ、長野県の廃屋の石垣に自生しているものから栽培されたマツモトセンノウなどがあります。全体的に短い毛が生えていて、直立する円柱形の茎に、平たく卵状披針形で先端が尖った、長さ4~6センチメートルの葉が対になってつきます。

花は直径約4センチメートル、茎の先端に咲き、花弁の先端は細かに切れ込みが入っているのが特徴です。花の基本色は遠くからでも目立つような朱色を帯びた明るい赤ですが、白など他の色もあります。栽培できる園芸用の品種は強健で育てやすいのが特徴です。

マツモトセンノウは、花色は赤か白がメインで、草丈は30から60センチメートルほど、5月から6月、場所によっては7月に開花するのが特徴です。マツモトセンノウとエゾセンノウの交配種のオトメセンノウもあります。フシグロセンノウは草丈40から80センチメートルほど、

7月から10月にかけて咲く、直径約5センチメートルのオレンジ色の5弁花が特徴です。ただ日本で栽培されている品種は種ができず株分けなどでしか増やすことができませんが、6月から7月にかけて白い花を咲かせるスイセンノウは種蒔きで増やすことができます。

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