シモツケの育て方
育てる環境について
育て方・栽培する上で推奨する環境に関しては、日当たりがよく、乾燥しすぎない場所であれば、旺盛に生育してよく咲きます。やや日陰でも育ちますが、日当たりのよい場所の方が、日陰に比べて樹形や花の形も整い、花付きもよくなるため、できるだけ日当りの良い場所を確保してやりましょう。
じめじめした多湿土壌では育ちにくく、暑い時期の湿気にもやや弱い性質があるため6月の梅雨どきから7・8月の気温が高くなる真夏は特に注意しましょう。地植えにする場合は、腐植質に富んで、水はけのよい土壌が適しています。反対に寒さには強いので、北海道以外の全ての地域で露地植えが可能です。
鉢植えの場合は、春から秋までは日当たりのよい場所で管理しましょう。冬場は落葉するので、日陰でも問題ありません。鉢植えに使用する土に関しては、赤玉土小粒4・赤玉土中粒3・腐葉土3の配合土など、腐植質に富んだ、水はけと水もちのよい用土で育てましょう。
シモツケは、基本的に庭植えが適しています。植える場合は、出来れば風通しの良い場所で管理してください。背が1mと、それほど高くならないため管理も楽な植物です。同じシモツケ属の仲間にコデマリやユキヤナギがあります。
日本人になじみの深い植物が多い属でもあります。庭植えをすれば水やりの手間もなく、剪定も簡単なため、おすすめです。花も咲きやすく、またこんもりとした樹形は愛らしく、色合いも涼しげで、とても人気があります。
種付けや水やり、肥料について
種付けに関して、シモツケは肥沃な土を好むため、赤玉土7・腐葉土3を混ぜた土で植え付けをしましょう。適期は厳寒期を除く落葉期(11月から12月と、2月下旬から4月)です。成長が早いので、特に鉢植えの場合は毎年、植え替えと株分けが必要になるので注意しましょう。
庭植えする場合は腐葉土を混ぜ、水はけが悪い場合は赤玉土か川砂を混ぜて水はけをよくしてから植え付けします。また、元肥として腐葉土や完熟堆肥などを十分混ぜこみましょう。植え付け時期は落葉時期です。新芽が出る前に植えてください。
暖かくなってくると新芽が出てきますので、霜が降りなくなる前に植えましょう。特に大株は落葉期に植え付け・移植しないと枯れることがあります。水やりに関しては、鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら水をやりましょう。
シモツケは湿気の多いジメジメした土を嫌うため、乾燥しすぎもNGですが、水をやりすぎないようにも気を付けてください。 庭植えの場合は、植え付け直後の二週間ほどしっかりと水をやって根付いたら、あとは真夏の高温乾燥や日照りや極端な乾燥のときは水をやりますが、
基本は降雨だけで十分です。地植えが向く植物ですので、場所に余裕があれば地植えをしましょう。肥料に関しては、鉢植えの場合は、新芽が伸び出す4月に緩効性化成肥料(チッ素N-リン酸P-カリK=10-10-10など)や固形の油かすを施します。庭植えの場合は必要ありません。
増やし方や害虫について
シモツケの増やし方に関しては、主な方法としてさし木があります。さし木は、梅雨どきの6月下旬から7月中旬が適期となっています。枝の先端を10cmほどの長さに切り、赤玉土小粒単用(市販のさし木用土でも可)にさします。芽がついていれば、
枝の先端以外でもさし木ができるので行うようにしてください。枝に花がついている場合は、花を切り除いておかないと成長しません。他に管理する上で必要な作業として、花がら切りと剪定があります。まずは花がら切りについてですが、枝を伸ばしながら花芽をつくるので、
花後に枝先の花がらを切ると、わきから花芽を伸ばして二番花を咲かせます。これを繰り返し行うと、7月下旬まで花を咲かせることができ、花の時期を伸ばすことができます。剪定に関しては、樹形を整えるために行います。同属のユキヤナギは花芽が9月ごろからできるため、
花後すぐに剪定を行いますが、シモツケはその年の春に伸びた枝に花芽をつくるので、花後から3月ごろまで剪定することができます。期間が長いため、じっくりと日にちをかけて行いましょう。かかりやすい病気は特になく、とても強い植物です。
害虫に関しては主にアブラムシと、カイガラムシがあります。アブラムシは特に、枝が伸びている時期に発生します。風通しが悪いとカイガラムシが発生します。ふたつとも、早めに見つけて駆除するようにしてください。薬剤や溶剤による殺処分をこまめに行うようにしましょう。
シモツケの歴史
シモツケ/学名:Spiraea japonica/和名:シモツケ、下野/バラ科・シモツケ属、シモツケ属は約70種が北半球の温帯を生息地としており、シジミバナ(Spiraea prunifolia)、ユキヤナギ(S. thunbergii)、コデマリ(S. cantoniensis)など、多くの種が栽培されています。
シモツケは日本、朝鮮半島、中国に分布する落葉低木です。原産は日本とされ、その和名は下野(しもつけ)の国(現在の栃木県)にちなんでいます。古くから下野の地で栽培されていた説や、花の咲く様子を霜が降りた状態に見立てた説など、複数の由来の説があります。
また、清少納言の「枕草子」には、「草の花は、しもつけ(下野)の花、あし(葦)の花」とあり、この時代には既に認識されていたと考えられています。また、シモツケは中国名「繍線菊(シュクセンギク)」と呼ばれ、中国での悲しい伝説が残る花です。
繍線という少女と父・元琦の物語で、元琦が従軍し勇敢に戦う最中、敵に捕えられて獄に投ぜられました。繍線はこれを知って悲嘆にたえず、ついに意を決して男装し、単身敵地に踏み入り、辛酸の末2年目に獄吏になることができました。
男装の少女は父を救うため獄舎を捜しましたが、この時すでに元琦は病没していました。繍線は父の墓に詣でて悲しんでおり、これを見ていた人々が少女を可哀想に思い、扶け起こして故郷に帰るよう慰めました。少女は父の墓標を去るとき、
記念として墓の傍らに咲いていた一輪の花を持ち帰りました。その花を父への手向けにと、庭に植えていたところ、数年経つとと見なれぬ美しい花が咲き出たので、人々はその花に孝心深い少女の名をとって、繍線菊(シュクセンギク:シモツケ)と名づけました。
シモツケの特徴
バラ科シモツケ属の落葉低木で、学名は「Spiraea japonica」であり、属名の「Spiraea(スピラエ)は、ギリシャ語の「speira:スピラ(螺旋、輪)」が語源にちなみ、種名の「japonica(ジャポニカ)」は「 日本の」を意味しています。
英名は「Japanese spiraea」と呼ばれています。ちなみに、バラ科は南極を除いて、ほぼ全ての大陸に約107属3,100種が分布しており、シモツケ属は北半球の温帯と亜寒帯に、約120種が分布し日本には10種が自生している。日本、中国、朝鮮が原産で、国内では北海道から九州に広く分布し日当たりのよい山野に生え、
庭木や鉢植えにもされています。茎は枝の端にまとまってつく束生し、枝は分枝しています。樹高は通常100cmほどで、放任すれば150cmまでになります。若い枝は赤褐色、古くなると暗褐色になり、直径は1cm前後となります。葉は互い違いに生える互生で、
長楕円状をした披針形で長さは3~8cm、幅2〜3cmです。不揃いな重なり合ったギザギザの鋸歯か鋸歯があり、葉先は鋭尖頭または鋭頭で尖っています。歯裏は白っぽい淡緑色で、葉柄は長さ1〜3mmです。開花時期は6月上旬~8月上旬頃です。枝先に3~5cmの複散房花序を半球状に付け、
径4~6mmくらいの小さい花を多数密生させます。花弁は広卵形から円形の5枚で、平らに開きます。花色は紅色から淡紅色で濃淡の変異があり、稀に白色があります。同じシモツケ属の仲間にはコデマリ、ユキヤナギがあります。強い耐寒性を持ち、非常に育てやすいです。
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