人参の育て方

人参の種付けのしかた
春まきと夏まきと種付けの時期が年に2回ありますが、夏以降に育つほうが害虫による被害も少なくなるので、初心者には夏に種付けをする方がおすすめです。春まきなら3月から5月中旬、夏まきなら7月中旬から9月中旬でそれぞれ、寒冷地、中間地、暖地によって異なります。寒冷地は遅い目、暖地は早めに行います。
人参は畑などに直接種付けをしていくのですが、根の部分を成長させていくので、プランターなら60cmくらいの深型にします。プランター以外でも土嚢袋や米福利などで栽培することができます。
酸性土を嫌うため苦土石灰をやや多めに混ぜて深く耕します。耕した後元肥を全体に施し、土をよく砕いて幅60センチくらいの畝を作り表面をよくならしておきます。畝の中心に深さ1センチほどの溝を30cm間隔に作って、すじ状、または一か所に数粒づつ種をまき、5センチくらいの土をかぶせます。
人参の種は吸水力が弱いので、乾燥をしないように水をたっぷりとかけます。発芽するまでは頻繁に水やりをするようしますがあまり激しく水をかけると種が土の表面に流れ出てきてしまうのでそっと水を上げるようにします。
畝に不織布やもみ殻を敷いておくと乾燥を防ぐことができるでしょう。発芽したら土が乾いたときに水やりをする程度でいいでしょう。
三回間引きをする
本葉が2枚くらいになってきたら、一回目の間引きを行います。生育のよさそうな株を残して株と株の間が2センチ程度になるように間引きをしていきます。次に本葉が4、5枚になってきたら二回目の間引きを行います。
二回目には株と株の間を3、4センチくらいになるように間引いていきます。この時に一回目の追肥をし、苗がぐらつかないように土寄せをしておきます。そして本葉が5,6枚になったら三回目の間引きを行います。
この時は株と株の間を10センチくらいにし、残った株は一本立ちするように不要な株を根元からそっと抜いていきます。この時も追肥と土寄せをしておきます。二回の追肥は一株当たり3gから5gの化成肥料をまいて土と混ぜ合わせ、その土をを株の周囲に寄せておくようにします。
人参の収穫
種付けから収穫までの日数は品種によって様々ですが、ミニ種なら70日から90日、五寸ニンジンなら100日から120日が収穫時期となります。収穫のタイミングは土の上から人参の根の部分が4,5センチ出たころになります。
せっかく上手に栽培された人参も収穫のタイミングが遅れると大きくなりすぎて根の部分が割れてしまうので注意が必要です。収穫の仕方は根元をつかんで一気に引き抜きます。
人参の上手な育て方
人参の栽培に適した温度は発芽には15度から25度、生育には18度から22度です。生育の適温は20度で12度以下になると根の色が悪くなってしまいます。さらに2度以下になると成長が止まり、苗の時に10度以下になると花芽ができてしまい、逆に高温になると花を咲かせる茎が伸びて行ってしまう、とう立ちの状態になってしまいます。
だから栽培に適した温度が大切になってくるので、春まきだからとまだ寒い時期に早くまいてしまったり、夏まきで秋が近づくことに種付けをしたりすると上手に育たなくなるので、種付けの時期は上手な育て方をするための重要なポイントになります。
また人参の上手な育て方のポイントは、発芽するまでは水をたっぷりやって土を乾燥させないようにすること、発芽したら水やりは土が乾いてきたころに行えばよいのですが、二回目と三回目の間引きのときに肥料を継ぎ足してあげることも必要なことです。
間引きは三回に分けて丁寧に行い、一度にたくさん間引くのではなく徐々に間引いていくことで少しずつ人参の根を太らせていくようにします。人参を栽培する際には雑草がたくさん生えてきます。人参の成長よりも雑草が成長する方が早いからです。
そこで雑草に栄養を取られないようにこまめに雑草を引くことも上手な育て方のポイントとなります。人参の栽培において種付けの段階で穴あきマルチを利用するのも雑草が生えてこないための対策となります。
穴あきマルチを利用するときには種をまく一か月くらい前には土をよく耕し肥料も混ぜておきます。畝の幅はマルチの幅よりも15センチくらい短くしておきます。そして一つの穴に3粒から5粒の種をまきます。
その後はマルチがない状態と同じで発芽後は三回に分けて間引きをしていき、最後は一本立ちにするように間引きます。このようにマルチを利用すると雑草を抜く手間が省けて栄養の行き届いた美味しい人参が出来上がります。
初めて栽培をするときや、家庭菜園でプランターなどで作るときには、ミニニンジンから始めてみるとよいでしょう。収穫までの期間が短く、根の長さも12センチ程度なので、水やりと間引き、追肥、雑草引きをきちんとすればベランダなどでのプランターでも十分に育ちます。
人参の歴史
原産地はアフガニスタンで、ヒンズークシーという山のふもとで栽培されたのが始まりだといわれています。古代ギリシャでは薬用として栽培されていて、根が分かれた刺激の強いものだったのです。
12世紀から15世紀ごろにはヨーロッパに広がり、オランダで、現在のようなオレンジ色の人参が栽培されるようになりました。それが西洋系の人参の歴史です。
東洋系のものは12世紀ごろに中国に伝わり、日本には安土桃山時代に伝わってきたといわれています。現在の日本でもよく食される西洋人参は江戸時代の後期に伝わり、明治時代になってから一般に普及しました。
人参の特徴
セリ科の野菜で、大きく西洋系と東洋系に分類されます。三寸や五寸などが西洋系で、金時ニンジンや島ニンジンが東洋系のものとなります。一般的に流通しているのは西洋系のもので、東洋系はあまり見かけることがありません。
関西でお正月の雑煮に用いられることはあります。かつては独特のにおいがきつく感じられるものが多かったのですが、戦後改良を重ねられて、においがきつくなく栄養価のあるものをということで、現在のようににおいは少なくカロチンが豊富なものを栽培されるようになってきたのです。
ただ原産地のアフガニスタン周辺の生息地で育っている野生種のものはオレンジではなく白色や黄色、赤紫色、黒紫色などもあり、形も丸いものや長いものなど様々なものが生息しています。
栄養価が高く、料理での利用が多いので、多くの需要がある野菜です。大根やゴボウなどのように根菜の野菜ですが、多くの根菜野菜が淡色野菜であるのに、人参は鮮やかなオレンジ色をしている緑黄色野菜で体内でビタミンAに変わるカロチンが豊富に含まれています。
その含有量は緑黄色野菜の中でもトップクラスで約50グラム食べると成人が1日に必要とするビタミンAの摂取量を摂ることができます。カロチンは油との相性も良く、バターや油でいためものや揚げ物をすることによりカロチンがさらに吸収しやすくなります。
人参はいろいろな料理に利用され、カレーやシチュー、肉じゃが等の煮物のほか野菜炒め、かき揚げなど、彩りと栄養を摂取するために多く用いられます。最近になってカロチンが抗がん作用があるといわれ、果物などと混ぜて美味しいジュースにし、嫌いな子供でも飲めるように工夫されています。
そして葉の部分には根の部分の2倍以上のビタミンAが含まれているので、油炒めやおひたしなどで食べるとよいでしょう。
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