桃の育て方

果樹の育て方
①桃の栽培で注意する点は、品種選びにあります。白鳳系の品種は花粉が多く、自家受粉により単体で果実を実らせますが、白桃系の品種は花粉が少なく、花粉が多い異品種と混植して種付けをしないと果実が実りませんので、慎重に吟味してください。
②桃は湿気を嫌い寒さに強い植物ですので、日当たりが良く水はけの良い場所であれば、庭でも穴あき鉢でも栽培することができます。購入した苗を植える時期は、暖地では晩秋、寒冷地では春先を目安にしてください。
③苗を植える2週間前には、土作りを終えておきましょう。庭植えの場合、直径50cm、深さ50cmの穴を掘り、掘り出した土5、腐葉土3、赤玉土中粒2の割合で、適量の苦土石灰も混ぜ、1株あたり200gの粒状肥料を加えます。鉢植えの場合は、掘り出した土の代わりに培養土を使用しましょう。
④購入した苗は余分な土を落とし、半日程度、根を水に浸して吸水させます。太すぎる根を切ってから、穴や鉢の中に混合した土を半分入れ、苗の根を広げるようにして置きます。残りの土を入れてから、苗を60cm程度の高さで切って支柱を立て、苗が根付くまでは水をたっぷり与えます。
⑤桃は湿気を嫌いますので、育て方には注意が必要です。苗が根付いて成長し始めたら、水やりを控えめに栽培してください。やや乾き気味かな?と思うくらいで十分です。
育て方のポイント
①良い果実をつけるために、苗が成長して枝が伸びてきたら、剪定を行います。植えつけた年は、主枝2~3本を残してYの字になるように剪定してください。主枝の先端は、3分の1程度を切り詰めます。
②つぼみが膨らんで赤くなってきたら、摘蕾を行います。下向きのつぼみは大きな果実に育ちますので、上向きのつぼみを中心に取り除いてください。
③花が咲いたら、すぐに種付けを行います。自家受粉の品種でも、虫が少ない場所や都市部で栽培する場合は、人工授粉をしてあげましょう。やわらかい筆や綿棒に花粉をつけて、白鳳系の場合は、花から花へこすりつけるように種付けします。白桃系の場合は、混植した白鳳系の花粉を白桃系の花へこすりつけるように種付けします。
④種付けを終えたら、4週間後を目安にして、1回目の摘果を行います。2回目の摘果は、5月下旬頃を目安に行ってください。最終的には、葉の枚数20~25枚に1果が残るように、バランス良く取り除いてください。
⑤摘果を終えて、果実が大梅くらいの大きさに成長したら、虫がつかないように袋がけを行います。桃用の果実袋で果実を覆い、風に飛ばされないよう枝に固定してください。紙袋などでも代用できますが、雨に濡れたらかけ直す必要があります。
⑥5月下旬~8月上旬頃は、桃の成熟期です。甘い果実を実らせるには、この時期に水を与えすぎないよう注意することが大切です。成熟期を迎えたら、袋の中を覗いて果実の状態を確認してください。桃色に色付き始めていたら、袋を取り外します。
⑦袋を外して5日~1週間程度経過したら、いよいよ果実の収穫です。早摘みに注意し、果実が全体的に桃色になっているか、甘い香りが漂い始めているか、耳たぶくらいの弾力があるか、ひとつひとつ確認して収穫しましょう。
病害虫の対策
果樹の育て方のうち、最も手がかかるのが病害虫対策です。特に、桃には病害虫がつきやすいため苦労することもありますが、甘くて美味しい果実を収穫するためにも、しっかりと対策を立てておきましょう。
①縮葉病・・・春先に雨が多く降ると、発生しやすい病気です。葉がデコボコに縮れて変色し、他の葉にどんどん広がって、果樹自体が枯れてしまうこともあります。新芽が発芽する直前に、石灰硫黄合剤や有機銅水和剤を散布して予防してください。
②灰星病・・・果実の表面に斑点ができて、腐ってしまう病気です。放置すると翌年の果実に影響しますので、見つけたら直ちに処分してください。
③アメリカシロヒトリ・・・枝に巣網を絡ませて群生する、白い毛に覆われた害虫です。巣網を見つけたら枝ごと切り落とし、専用の薬剤を散布してください。
④アブラムシ・・・葉の裏側に寄生する害虫で、葉が縮れたり落ちたりします。殺虫殺菌剤を散布して駆除してください。
⑤シンクイムシ・・・果実の中に入り込み、果実を食べてしまう害虫です。表面はきれいに見えるので気付きにくいのが難点ですが、きちんと袋がけを行っていれば防ぐことができます。
⑥アケビコノハ・・・果実に穴をあけて蜜を吸う、蛾の一種です。袋がけをしていても、被害に遭うことがあります。対策として、果実と袋が密着しすぎないよう、大きめの袋をかけてあげましょう。
⑦鳥・・・果実が熟す頃には、鳥類に食されてしまうこともあります。被害がひどい場合は、果樹全体を暴風ネットで覆うなどの対策を立てましょう。
⑧蟻・・・実害はありませんが、アブラムシが分泌する蜜にたかり、アブラムシを天敵から守る役割をします。蟻が果樹に上れないように、幹に脱脂綿などを巻きつけて対処しましょう。
桃の歴史
桃の歴史は紀元前にまで遡り、明確な時期は明かされておりませんが、中国北西部の黄河上流が原産地とされています。当時の果実は、たくさんの毛で覆われた甘味の乏しいものでした。そのため「毛毛」と表記され、中国の理想郷といわれる桃源郷の仙果(邪気を払って不老長寿を授ける仙人の果物)と考えられていました。
紀元前4世紀頃、シルクロードを辿ってペルシャへと伝わった桃は、1世紀頃になって、古代オリエント一帯(現在の中東地域)、ギリシャ、ローマへと広がり、品種改良も進められるようになりました。果実の色は、徐々に黄色味を帯びたものが出回るようになり、17世紀になると、ようやくアメリカ大陸にまで伝わって、生息地は世界各地に及ぶようになりました。
日本においては、縄文時代前期に、日本最古とされている果実の種が長崎県多良見町で出土しています。当時の品種は、主に薬用や観賞用として扱われていましたが、明治時代に糖分の多い水蜜桃が輸入され、食用として広まるようになりました。現在、日本に出回っている品種は、これを元に品種改良を重ねて栽培されています。
桃の特徴
属性はバラ科モモ属、落葉小高木に分類されており、春になると、梅や桜に良く似た五弁または多重弁の花を咲かせ、夏になると、産毛に覆われた甘い果実を実らせる植物です。花の色は、品種によって白・ピンク・紅色など、果実の色は、黄・ピンク・紅色などがあります。果実は、食物繊維、ビタミンC、E、カリウムなどを豊富に含む一方、100gあたり40kcal程度の低カロリー食品でもあります。
桃の葉や未成熟な果実と種子には、アミグダリンという青酸配糖体が含まれています。仮に、未成熟なままの果実を大量摂取した場合、アミグダリンが体内で加水分解され、青酸中毒を起こす可能性があります。また、湯船に葉を浮かべる桃葉湯は、皮膚炎やあせもの症状緩和に有効とされていますが、乾燥していない葉を使用する場合は、浴室に湯気がこもらないように十分な換気を行う必要があります。
また、大きな特徴として挙げられるのは、果実や葉以外にも、樹木全体を余すところなく利用できるという点です。幹や枝は、丈夫で割れにくい性質を利用して、箸の材料に用いられています。また、燃えると独特の上品な香りが立ちのぼるため、魚肉類の燻製用ウッドチップとしても加工されています。樹皮については、煎じて草木染めの染料として利用され、種子やつぼみは、婦人病や利尿薬などの漢方薬の原料として重宝されています。
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