シュガーバインの育て方
シュガーバインに向く場所
真夏の強光の時期以外はレースのカーテン越しに直接日が当たる場所に置きます。真夏は、西日を避けて午前中に日の当たる半日陰の場所に置きます。春~秋にかけては、屋外で育てることも可能ですが、木漏れ日のようなやわらかい日差しが当たる場所に置き、霜が降りる前には室内に取り込みます。
冬場はなるべく室内の中でも暖かい、エアコンなどの風が直接当たらない場所に置き、窓際など夜間の気温が著しく下がる場所は避けます。光の量が足りないと、葉の色が薄くなったり、葉と葉の間(節間といいます)が長く間延びしてしまうので、そのような症状が出たら、より明るい場所で栽培します。
植物は全般的に午前中に光合成をするものが多いため、午後の西日よりは午前中しっかり(最低でも3時間ほど)日が当たる場所がおすすめです。茎が細く水分量が多いので、湿度が高い場所では蒸れて病気の発生する場合がありますので、とくに高温多湿の夏場は、風通しのよい場所に置くか、扇風機などで風を動かすように注意します。
シュガーバインの年間管理
シュガーバインは、種付けからの栽培はせず、苗や鉢の状態で入手します。春と秋は、表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり水をやり、受け皿にたまった水は捨てるようにします。夏は蒸れを予防するために、涼しい時間を狙って水やりをします。冬は成長が鈍くなり、必要な水分量も少なくなることから、水が多くなりすぎると根腐れの原因となってしまいます。
そのため、水やりが必要な時の鉢の重さをあらかじめ覚えておき、鉢を持って重さを確認しながら、水やりのタイミングを計ると失敗が少なくなります。肥料は、春に固形の効き目がゆるやかな緩効性肥料を与え、春と秋の生育期には薄い観葉植物用液肥を2週間に1度、水やりの時に与えます。真夏は、観葉植物用の液肥をごく薄く作って与えるか、活力剤を与えるようにします。
つる性の植物で、環境が合うと次々に枝先から葉を出してくれますが、時間が経つと古い葉っぱから落ちていってしまい、バランスが悪くなってしまうことがあります。その場合は、5月頃に思い切って2/3くらいの長さか、鉢の縁あたりで切戻してあげると、切ったところから枝分かれしてくれます。切り戻しで取れたつるは、そのままリースにして水を張ったお皿に飾っても美しいですし、さし芽にして増やすこともできます。
育て方がいいと数年で鉢がいっぱいになるほど根を張ります。鉢底の穴から根がたくさん出てきていたり、水やりの際に、水が土になかなかしみ込んでいかなかったりするようであれば、根が詰まって呼吸困難になっていると考えられますので、5~8月の暖かいシーズンに植え替えて栽培します。
現在植わっている鉢の、ひと回りからふた回り大きい鉢を準備し、6号以上の場合は、底の部分に鉢底石を敷き詰め、観葉植物用の培養土で植え替えを行います。5号以下の場合でも、高さがある鉢を使う場合や、プラスチックなどの乾きにくい鉢を使う場合は、鉢底石を入れた方が安心です。この際、鉢の大きさは欲張らずに必ずふた回りまでにしておくことが栽培のポイントです。
なぜなら、大きすぎる鉢は、外側や下側の土にまで根が届かず、結果的に根腐れを起こしてしまうためです。鉢底石を敷いた状態で、一度植え替える株を置き、鉢の上端から3cmくらいに地際がくる高さになるように調整をします。その後、培養土を入れていきますが、割り箸などを使って隙間なくしっかりと土が入るように突きましょう。植物は、根に種付け用の土や培養土が密着することで、はじめて水を吸収できます。
さし芽での育て方
伸びてきたつるは、5~8月の暖かいシーズンでしたら、トリミングした時にさし芽にして増やせます。葉を2~3枚つけた状態で、節の1~2cm下を、よく切れるはさみを使ってカットしてさし穂にします。この時、巨大な葉がさし穂に含まれている場合は、半分くらいの大きさに切っておくと活着率が上がります。
種付け用やさし木用の肥料分が含まれていない用土を用意し、3号~4号鉢の上端から3cmほどの高さまで入れ、あらかじめ水をたっぷり与えておきます。ひとつの鉢に、3本程度をさし、根が張るまでは明るい日陰に置いておきます。水を切らさないように注意し、新芽が伸びてきたら明るい場所で栽培します。しばらく伸ばして安定してきたら、切戻す(摘心)と枝分かれして、ボリュームのあるこんもりとした姿になります。
取り木での育て方
シュガーバインを取り木で育てるメリットは、親株から伸びたままの枝を使えるので、栄養分や水分がしっかり吸収できるために、活着率が高いことにあります。伸びてきたつるは、葉の付け根から細いひげ根のような気根を出しますので、その部分を種付け用などの土を入れた新しい鉢に伸ばし、Uピンなどで止め、上から薄く土をかぶせておきます。その後、新芽が伸びて葉数が増えてきたら、親株との間を切り取り、子株を独立させます。
シュガーバインの歴史
シュガーバインは、ブドウのような葉をつけ、葉のつけ根からひげのような根(気根)が伸びて、他の植物に巻きつくことで広い面積に伸びていくつる植物で、やさしく繊細な印象の葉を鈴なりにつけることから、特に若い方を中心に人気のある植物です。まだ歴史は浅く、はっきりした作出場所は分かっていませんが、近年に欧州で交配されたのではないかと言われています。
元々は、甲子園球場を覆っていたことで有名な、日本原産のナツヅタや、ヘンリーヅタなどと同じ属の仲間で、自然界に生息地(植物学上は生育地といいます)があるわけではなく、人間の手によって作り出された園芸植物です。甘いツタという意味のシュガーバインという名前は、葉の付け根に半透明の甘い粒(樹液)がつくことに由来しているとされています。この樹液は、葉裏などについて時間が経つと、白っぽい結晶状の粉のような状態になります。
シュガーバインの特徴
シュガーバインは、ブドウ科の園芸品種で、正式な学名は、Parthenocissus ‘Sugar vine’(パルテノシッサス‘シュガーバイン’)と言います。繊細な印象なので、外に植えられるカラーリーフと間違えられることがありますが、雪が降ったり霜が降りたりする場所では冬を越すことができない観葉植物の一種です。基本的には、最低温度が5℃以上ある場所でないと冬越しは難しいですが、徐々に慣らせば0℃のところでも越した例があるようです。
つる性の植物で、枝の先からたくさん枝分かれして伸びていきます。葉のついた節から気根を出して、土に根を張って広がりますが、鉢などで根を張る場所がない場合は、下へ垂れ下がるように伸びていきます。その性質を利用して、ハンギングの吊り鉢仕立てにしたり、コンテナの寄せ植えで、前面に垂らして表情を出させたりといった利用の仕方をされます。
シュガーバインは、なんといっても葉の形状がかわいらしく、手を広げたような形の葉をつけますが、この5枚葉すべてで1枚の葉っぱになっており、このような葉を植物学上は「拳状複葉(しょうじょうふくよう)」といいます。
新芽はやや白っぽく薄い緑色をしており、かぎ針のような形状で伸びてきますが、少し開くとしっかり5枚の形になっており、この形状を見ると、拳状複葉という1枚の葉っぱであることがお分かりいただけるのではないでしょうか。しばらく時間が経った葉は、濃いグリーンになるので、ふたつの色味を楽しめる、表情豊かな植物です。
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