ヒメシャラの育て方

ヒメシャラの育て方

ヒメシャラはナツツバキ属のうちのひとつです。日本ではナツツバキをシャラノキ(沙羅樹)と呼んでおり、似ていますがそれより小さいので、ヒメシャラと名づけられました。シャラノキとは、仏教の開祖である釈迦が亡くなったときにそばに生えていたとされる、沙羅双樹(沙羅樹)のことでもあります。

育てる環境について

高温と乾燥に弱く、寒さにもやや弱いとされています。水はけのよい、半日陰で栽培します。なるべく寒風が吹かず、氷点下にならない場所に植えつけましょう。夏の直射日光があたると葉やけを起こします。夏の夕方はまだ空気も熱く、日光も側面から強く当たります。西日にも気をつけましょう。

真夏に強い日差しが根元まであたると、根が傷んで木が弱まり、やがて枯れてしまいます。移植を嫌いますので、移植はできないものと考えてください。環境が変わって日が当たるようになってしまったときは、西日よけの木を植えるか、グリーンカーテンやヨシズなどで遮光します。

戦後の荒れた東京で、街路樹としてナツツバキを植えたところ、夏の暑さですべて枯れたということがありました。ヒメシャラも条件は同じです。10mを越す木になりますので、根がしっかり張れるよう、土を深く耕せる場所がよいです。すぐ下に粘土質の土があると、水はけが悪く根腐れをおこします。

庭先で育てても枯れてしまうときは、腐食質が足りていないことが多いようです。シラカバ、アオギリとともに日本三大美幹にも数えられる独特の姿から、盆栽にも使用されます。庭に植生した時と同じく、強い日差しのあたらない半日陰で栽培し、、冬は暖かい場所に移します。

自生するヒメシャラの生息地は温帯地域、神奈川県~宮城県と四国、九州の山地です。暖かい雨の降る森の中で、空中湿度が高く、直射日光の当たらない環境に自生しています。こうした生息地の環境を把握しておくと、育て方を間違えることはないでしょう。

種付けや水やり、肥料について

植え付けは11月~3月に行います。水はけと水もちのよい、肥沃な腐植土の多い土壌に整えます。少し掘って粘土質の土にあたるようだと、今後の栽培に影響が出ます。根の大きさの2~3倍の穴を掘り、パーク堆肥(樹皮を発酵させたもの)と腐葉土を混ぜた土で植えつけます。

根の隙間にも土が入るよう、棒などで押さえながら、十分に水をやります。株の丈が高い場合は、支柱を立てて幹を支えます。植え付け後は一週間ほど確実に水を与えるようにします。夏は乾燥し、葉が枯れやすくなります。4~10月は多めに、冬は控えめに水をやります。

土が乾ききると葉が垂れてきて、やがて木が弱ってしまいます。土の表面が乾いたら水を与えます。成長に伴い、必要とする水の量が増えていきます。大きくなったら与える量と頻度を増やしましょう。鉢植えのときは、夏場は鉢の中の温度が上がり乾燥します。十分注意してください。

日光での葉やけは葉の中央あたりから茶色に色が変わります。乾燥・水切れでは、枝も枯れてきます。木が成長していくにつれ腐葉土が分解されて量が減り、年々水もちが悪くなっていき、根からの吸収が悪くなります。水切れがおきやすくなったときはこれが原因のことがあります。

三年おきを目安に、周囲の土に複数穴を開け、腐葉土を埋めます。リン酸系肥料を混ぜるのもよいでしょう。肥料は、二月に寒肥として骨粉や油かすといった有機肥料を与えます。ほかに肥料は必要としませんが、花の終わった夏にお礼肥として与えてもいいでしょう。

増やし方や害虫について

種か挿し木で増やします。10月ごろ、熟した種を採り、そのまま湿り気の多い土にまきます。翌春には芽が出ますが、翌々年の春に芽が出るものも多いようです。いくつかまいて、育ちのよいものだけ選ぶとよいでしょう。種を保管するには、湿度を保って、冷暗所に置きます。

乾燥させると休眠して、発芽しなくなりますので注意しましょう。挿し木は、6~7月の初夏に伸びる新しい枝を使います。30分程度水揚げし、発根促進剤をあたえ、土に挿します。乾燥させないよう、注意して水を与えます。ツバキ科の葉を専門に食い荒らすチャドクガが発生することがあります。

春から初夏にかけてと、8月ごろにも毛虫が発生し、木のそばで毒針毛にさされます。チャドクガにふれると皮膚がかぶれ、猛烈にかゆくなります。セロハンテープなどで毒針毛を取り、流水で洗い流し、病院で適切な薬の処方を受けてください。チャドクガは葉の裏に黄色の毛玉状の卵を産み付けて越冬します。

駆除の際は、毛針が舞ったり毛虫が逃げたりしないよう、枝に袋をかぶせてしっかり口を閉じます。枝ごと切り落としたら、園芸用殺虫剤で駆除できます。アオドウガネも発生することがあります。葉を食害するアオドウガネは、夜行性のため発見しにくいです。

風通しが悪いと、枝の基部などにカイガラムシが発生することがあります。カイガラムシは冬に硬いへら状のものを使って削り落とします。冬に枝が落ちきってから、込み合った枝を落とし、風通しをよくすることで予防できます。

ヒメシャラの歴史

ヒメシャラはナツツバキ属のうちのひとつです。日本ではナツツバキをシャラノキ(沙羅樹)と呼んでおり、似ていますがそれより小さいので、ヒメシャラと名づけられました。シャラノキとは、仏教の開祖である釈迦が亡くなったときにそばに生えていたとされる、

沙羅双樹(沙羅樹)のことでもあります。釈迦の住んでいたインドよりも寒い日本では、沙羅樹をうまく育てることができませんでした。そこで、形のよく似たナツツバキが沙羅樹として各地の寺院で育てられることになりました。ナツツバキによく似たヒメシャラも同じく、

沙羅の名を持ちます。平家物語の冒頭で歌われる沙羅双樹の様子は、当時の日本人の脳裏ではナツツバキやヒメシャラを通して人々の心に染み込んだことでしょう。ナツツバキやヒメシャラは夏の季語となっており、斉藤茂吉や芥川龍之介が沙羅の木や花について詠っています。

正確な分類や命名は、19世紀、幕末に訪日したロシアの植物学者によってなされました。カール・ヨハン・マキシモヴィッチは東アジアと日本で植物採集をし、ナツツバキの学名をつけています。ヒメシャラの学名はシーボルトとツッカリーニの連名で登録されています。

ドイツ人のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトはオランダ領インドを経由して、当時オランダのみと貿易していた日本へオランダ人と偽って入国しました。出島のオランダ商館の医師として開業するかたわら、日本文化や地理などを研究し、

成果をオランダへ送りました。その中には植物標本もあったのです。同じくドイツの植物学者であるヨーゼフ・ゲアハルト・ツッカリーニと12000点に及ぶ標本を分類し、命名しました。そのうちのひとつが、ヒメシャラです。

ヒメシャラの特徴

ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木です。原産地は日本で、日本特産種となっています。本州では神奈川県から和歌山県までの太平洋側、四国南部、九州、屋久島に自生しています。樹高は15メートル、直径20~30センチほどに達することがあります。

幹が垂直にすっと伸び、ほうき状で、枝が大きく広がることもない美しい立ち姿です。幹は独特なすべすべした手触りで、光沢があります。赤褐色の幹と枝は森林でもよく目立ちます。若木の間に形成された灰色の樹皮が成長するにつれ剥がれおち、薄いつるつるの樹皮になります。

この薄い樹皮がうろこ状に剥がれて次々更新され、平滑な状態を保ちます。剥離した部分は灰白色のまだらに見えます。これはサルスベリも同様で、手触りも似ているため、ヒメシャラやナツツバキを「サルスベリ」と呼ぶ地域もあるようです。老木では薄片が剥離し、黄褐色のまだら模様がみられます。

外樹皮と木部の間の甘皮の形成が悪く、水の通る導管が存在する木部に外樹皮が近いため、人が触れると冷たいように感じます。木肌が美しく、器具材、床柱、彫刻材などに利用されます。野球で使用するバットの材料としても知られています。

6~7月に、2センチメートルほどの小さな白い花が咲きます。ナツツバキでは5センチメートルの花になります。ツバキに似ていますがもっと小さく、可憐な花です。白い花びらは五枚で、固まったしべ部分は黄色です。咲いたその日のうちに、五枚の花びらごとまとめてぽとりと落ちます。

9月ごろに1.5センチメートル程度の卵形の実がなります。濃褐色の実は硬く、白い毛が密集しています。この実は10~11月に熟して五つに裂けます。葉は5~8センチメートルの長さで、ふちにゆるいぎざぎざがついています。黄緑色の葉で、夏は特に美しく、全体に毛がついています。秋には赤く紅葉し、やがて落葉します。

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