センダイハギの育て方
育てる環境について
センダイハギは丈夫で生命力旺盛なため、育て方は比較的簡単です。本来が寒冷地の植物なので、寒さには非常に強く、真冬でも庭に放置したままで構いません。花壇はもちろん、鉢植えの場合も同様です。育てるのに適した環境は、日当たりと水はけの良い土地です。
海岸の砂地に群生していることからも、この2つの要素は必須であることが分かります。庭に植えるなら、長時間日差しが当たる場所を選びましょう。また鉢植えにするなら、できる限り日なたに出してやるようにします。日に当たる時間が短いと、花つきが非常に悪くなります。
また土が湿りすぎていると、根腐れを起こして枯れることもあります。寒さに強い一方で、暑さにも耐性が高く、暖かい地方でもよく育ちます。ただしこの場合も、日当たりと水はけには配慮してください。もともと海岸に生えているため、潮風に吹きさらされても大丈夫です。
さらに土壌が肥沃である必要もなく、どちらかといえば痩せた土地を好みます。肥えすぎていると、むしろ生育に悪影響を及ぼすことがあります。放っておいても地下茎を伸ばし、どんどん増えていくほど勢いのある植物ですが、それだけに伸びすぎには注意が必要です。
庭植えにすると、他の植物を圧迫したり、通路にまで増え広がってくることがあります。グラウンドカバーにする場合は別として、そうでないなら増えすぎないように花壇を区切るなど、あらかじめ対策を講じておくほうが良いでしょう。
種付けや水やり、肥料について
センダイハギは過湿には弱いかわりに、乾燥には強い植物です。庭に植えた場合は雨水だけでも十分です。暑い地方の真夏で、よほど地面が乾燥している時などを除けば、特に水をやる必要はありません。鉢植えの場合は、表土が乾いているのを確かめてから、十分な水を与えます。
とりわけ成長期には、しっかりした水やりが必要になります。しかし、いずれにせよ水のやりすぎは禁物です。マメ科植物の共通点として、センダイハギも根粒菌と共生しています。根に付着したバクテリアが、空気中の窒素を肥料に変えて供給してくれるので、肥料を与えなくても育ちます。
ただし窒素以外の肥料を少し与えると、生育や花つきが良くなることもあります。鉢植えの場合、葉が枯れる前の9月~10月ごろに、緩効性の肥料を置き肥します。こうすることで養分が地中部分に行き渡り、翌年の花つきが良くなります。
また葉を出す前の2月~4月ごろに少量の肥料を施せば、枝葉がよく伸びるようになります。コンパクトに育てたい場合には、この肥料は必要ありません。種まきは春なら3月~4月ごろ、秋なら9月~10月ごろが適しています。用土は水はけの良いものを使用します。
市販の培養土を使うこともできますし、赤玉土を多めにして鹿沼土と腐葉土を等量混ぜた土でも良いでしょう。庭に植える場合も、湿気の多い土地は適当ではありません。気になるなら庭土に川砂や軽石などを混ぜ、水はけを良くしておきましょう。
増やし方や害虫について
センダイハギは種からも増やせますが、主として株分けで増やします。株分けは春3月~5月ごろ、もしくは秋10月~11月ごろ、地下茎を切り分けて行ないます。切り分ける長さは30~40cmほどで、ひとつの株に芽が3つぐらい付くようにします。小さく切り過ぎると、
その後の生育が遅くなり、花をつけるのに時間がかかります。切り分けた株は、水はけの良い砂質の用土に3割ほどの腐葉土を混ぜ、石灰を加えた土に植えつけます。庭に植えつけるなら、日当たりの良い場所にすることが大切です。また地下茎が大きく広がっても構わないよう、
周囲に余裕を持って植えるようにしましょう。どうしても広がって欲しくないときは、仕切り板を埋めて地下茎を遮るなどの方法で対応します。鉢植えの場合は旺盛に伸びるため、大き目の鉢に植えつけて、2年に1度ほどの割合で株分けします。
庭植えの場合は植え替えの必要はありませんが、伸びすぎた部分を適宜刈り取って手入れします。そのほか花が終わった後、種を収穫しないなら、花柄を切り取る作業をします。病害虫は水はけと風通しをよくすることで、ある程度防ぐことができます。
土壌が湿っていると、カビの一種である白絹病の病原菌が繁殖しやすくなります。また過湿状態では根腐れを起こすこともあります。害虫に関しては、新芽などの軟らかい部分に、アブラムシの被害を受ける可能性があります。いずれも早めに対策を立てることが重要です。
センダイハギの歴史
センダイハギはマメ科センダイハギ属の多年草で、ハギ属の萩とは異なります。また観賞用に好んで栽培されるムラサキセンダイハギとも別の属で、区別するためにキバナセンダイハギと呼ばれることがあります。シベリアや極東、北アメリカなど、北半球の寒冷地域が原産です。
日本では園芸用に栽培されるほかは、茨城県と富山県を結ぶ線から北側を生息地としています。北海道にも自生しており、礼文島などには大きな群生地が見られます。そのほか中国や朝鮮半島にも広く分布しています。学名はThermopsis lupinoidesですが、
近年では種名をfabaceaとする見解もあります。属名のThermopsisはハウチワマメに似ていることを示し、種名のlupinoidesは花がルピナスに似ていることを表します。英語ではSiberian lupin、「シベリアのルピナス」と呼ばれます。
また中国では野决明と呼ばれ、葉や種が去痰作用のある漢方薬として用いられます。センダイハギの名は、歌舞伎や浄瑠璃の演目のひとつ「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」から取られたと言われています。これは仙台伊達家のお家騒動を題材にしたストーリーで、
宮城県仙台市にはセンダイハギがよく見られることから名づけられました。別の説として、船を修理する船台の近くに咲くから船台萩であるという解釈もあります。その名のとおり、海岸の近くの砂地でも良く繁殖するのが特徴です。
センダイハギの特徴
自生しているセンダイハギは草丈が約40cm~80cmありますが、鉢植えにして育てると30cm以下の小さな株にすることができます。根は太く、茎は直立して伸び、あまり分枝しません。葉は互生し、3つの小葉が掌状複葉をなします。表は無毛で、裏には白い毛が生えています。
小葉は卵形または倒卵形で、長さは4cm~8cmほどです。葉柄の基部に、小葉に似た托葉を生じます。花茎には柔らかい毛が生えています。4月~7月にかけて、茎の先端に黄色い蝶型の花を多数咲かせます。花は総状花序に配列し、長さは2cm~2.5cmほどで、あまり密生しないのが特徴です。
明るい花の色が春らしく爽やかなため、アメリカではgolden peaと呼ばれ親しまれています。花壇や鉢植えにして鑑賞するほか、日本では昔から茶花にされてきました。花後には長さ3cm~12cmの平べったい莢をつけます。色は茶褐色で、中に暗褐色の小さな豆が入っています。
この豆を蒔いて増やすこともできます。センダイハギは地下茎を長く広く伸ばして増えていきます。繁殖力が強いので、庭の雑草を抑えるためのグラウンドカバーとしても使えます。初心者にも育てやすく、みるみる大きくなる様子が楽しめます。
こうした性質を利用して、痩せた土地の緑化に使われることもあります。なおセンダイハギ属の中で園芸用に栽培されているのは、現在のところセンダイハギだけで、ほかの種はほとんど見かけません。
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