ハンカチノキの育て方
育てる環境について
日当たりのよい場所を好みますが、乾燥を嫌うため西日が当たらないような場所に置きます。耐寒性はありますが、乾いた寒風を嫌うので、北風が当たらない場所を選んで置く必要があります。大きく育つ品種なので植える場所をよく検討することが大事です。
もともと標高2000mの高原で自生していたので、気温の高くなる地域では水はけを良くして土の通気性を高め、夏場の蒸れを抑えるようにしましょう。ハンカチノキは水持ちの良い、肥沃な土を好みます。そのため赤玉土中粒と完熟腐葉土またはバーク堆肥を等量で混ぜたものなどを使用するとよいでしょう。
夏の気温上昇に伴う蒸れ防止のために、通気性を良くします。赤玉土中粒1に対して桐生砂中粒または日向土中粒1、完熟腐葉土またはバーク堆肥2の比率で混ぜたものなどを使います。ただ通気性を良くした分土が乾きやすくなるので注意して水やりを行う必要があります。
剪定を行う場合は、基本的には11月から翌年2月の落葉期間中に行うのがよいでしょう。7月に翌年の花芽を作り始めるので、落葉期には花芽ができていますが、葉のある生育期に剪定を行うと、樹冠内の乾燥につながるためおすすめできません。
ハンカチノキは剪定をしなくても、自然に樹形は整いますが、放っておくと大きく育つので、限界まで育つ前に、ある程度育ったら枝が太くなる前に、早めに切り戻しや間引きをしておく方が手入れが楽です。また自然な仕上がりにもなります。
種付けや水やり、肥料について
ハンカチノキは鉢植えや、庭植えでも生育は可能です。植え付けてから2年未満の株は、乾燥を嫌うので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。水切れさせると、特徴的な大きな葉に風を受けて水分が奪われてしまうことになります。
乾燥を嫌う品種なので、水切れにはくれぐれも注意しましょう。空気が乾燥していたら、葉水や周囲の地面への水まきを行い水分調節を行います。庭植えの場合には、植え付けてから2年以上たつ株には、基本的に水やりの必要はありませんが、雨が少なく土の表面が乾燥している場合にはたっぷりと水をあげましょう。
肥料は、庭植えは、1月から2月中旬頃に寒肥として有機質肥料を株元の周辺に埋めておきます。それ以外は特に必要はありません。鉢植えの場合には、3月に化成肥料を株元に追肥します。市販されているハンカチノキの苗は、ほとんどがポットで生産されています。
出荷時に根を切られていないので植え付けの時期は特に選びません。根を切った場合の植え付けは、11月から翌年の3月にかけての休眠期に行いますが、中でも3月上旬から芽吹く直前までが一番の最適期でもあります。鉢植えの植え替えも同様に行い、
植え穴や鉢底に有機質肥料か化成肥料を元肥として施すことが重要です。花を包むように白いハンカチのような葉状部分が印象的なハンカチノキは、花をつけるまでには10~15年ほどもかかります。花をつけたハンカチノキを見れるのは、なかなか奇蹟的かもしれません。
増やし方や害虫について
ハンカチノキの増やし方は、挿し木による方法があります。ただ発根率が非常に低いので、ダメ元で頑張りましょう。15~20㎝ほどの穂木をとり、水あげ後湿らせた細かい赤玉土にさし、たっぷりの水を与えます。行う時期は6月で、発根促進剤をさし穂の切り口につけてからさすとよいでしょう。
また種まきでも増やすことはできますが、どちらにしても発根率は10%にも満たないほど低いので、数多くさした方がよいでしょう。さし木後は大きめの透明なビニールで密閉して、湿度を保つことが大切です。できるなら密閉する空間は大きい方が、湿度や温度の変化が安定するので、おすすめです。
過乾燥や過湿、日照不足などの影響で、花だけではなく樹木の生長全体に影響してきます。また花が咲く前年の夏に雨が多かった場合、翌年の花つきが悪くなることがあります。また夏以降に剪定を行うことも花つきに影響してきます。
肥料のあげすぎでも花芽がつきにくくなることがあるので、適度な管理が大切となってきます。害虫は、カミキリムシです。カミキリムシの幼虫は、木の幹の内部を食い荒らす害虫です。カミキリムシの被害にあった場合、必ず幹の食べカスが根元の地表に落ちているので、
よくチェックし観察しておく必要があります。幹のどこかに穴が開いていて、その中に幼虫がいる可能性があります。駆除方法は穴に殺虫剤をしみ込ませた脱脂綿を詰めて退治しますが、なかんか駆除するのが難しい問題があります。
ハンカチノキの歴史
ハンカチノキはミズキ科ハンカチノキ属の落葉高木です。中国四川省・雲南省付近が原産で、標高1500~2000m位の標高の湿潤な山地に自生しています。生息地は熱帯アフリカ・アジアおよび太平洋諸島です。花のついた大きな白い2枚の苞が垂れ下がり、
その姿がハンカチのように見えることからこの名前が付きました。とても珍しい木なので「樹木界のパンダ」ともいうべき植物です。ヨーロッパでは、古くから街路樹などに利用されています。英名はhandkerchief treeととてもわかりやすい名前です。
日本国内でも開花する木は増えてきていますが、まだあまり大きな木もなくあまり目にすることはない、日本ではまだ珍しい木です。特徴的な形状をしているハンカチノキですが、それだけではなく樹形も美しく、橙褐色で縦に鱗状に薄く剥がれる樹皮もとてもきれいです。
花びらに見える白い部分は苞葉で、本来は花の基部にあってつぼみを包んでいた小さな葉が変化したものです。また花が咲くまでに10~15年ほどかかるので、苗から植える場合には、ずいぶん待たなくてはいけませんね。ハンカチノキは中国で発見された植物で、
「ハトの木」や「ユウレイの木」などとも呼ばれています。フランス人の宣教師J.P.A.デビッドが四川省の西境でこの木を発見しました。日本には1958年に、ワシントン大学樹木園から東京大学付属植物園に導入されたものが最初で、現在では世界的に栽培されています。
この木は寒さには強いですが、苗木の場合暑さには弱い性質をもっています。また成長するととても大きく育つので、庭木に植える場合など場所を十分検討して植えるようにしてください。
ハンカチノキの特徴
4月下旬から5月上旬にかけて白いハンカチのような姿の花を咲かせます。花弁はなく、たくさんの雄花と1個の雌花が1つの球形を作り、大型の2枚の苞に抱かれるような形で開花するとても珍しい樹です。この大きな2枚の苞がハンカチに見えることからこの名前が付きました。
花の特徴は、白いハンカチのように見える2枚の苞です。苞ははじめは黄緑色で、しだいにだんだん大きくなって白くなります。花はこの苞に包まれ根の部分にかたまって咲いています。葉の特徴は、幅の広いたまご形で、たがいちがいに生えています。葉のふちには粗いギザギザがあります。
実の特徴は、楕円形をしていて皮が堅く、種と接触せずに種を包んでいます。このハンカチノキは、雑木としてとても人気があります。やはりハンカチをぶら下げたような白い花がとても面白いからでしょうね。また育て方は簡単で、樹形を乱すことなく、
ある程度まとまった形で生育するので、極端な剪定は必要ありません。ただハンカチの花は咲きずらいものなので、あまり切りすぎないように注意する必要があります。剪定するポイントは、枝先を切り戻したり、不要な枝や絡み枝などを切り落とす程度に行います。
長い枝には花芽が付きにくく、短い枝に花芽が多く付くので、短い枝はなるべく残すように気をつけましょう。放っておくと大木になってしますハンカチノキなので、庭木として楽しむ場合には、ある程度の高さで芯を止め、それ以上伸びないようにするのも剪定管理のコツです。
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