バイカオウレンの育て方
育てる環境について
バイカオウレンの変種には、シコクバイカオウレンが在りますが、これは四国山地における特産で、姿や性質はバイカオウレンとほとんど変わらないと言います。しかしながら、蜜腺の先端がコップのような形をしており、雄蕊の花柱は曲がっており、
バイカオウレンとは異なる品種であるなどの区別として見ることが出来ます。尚、バイカオウレンは繁殖品が流通する以外にも、八重咲き、黄金葉と言った園芸品種を専門店で購入が可能ですが、量が少ない事からも専門店に問合せをしてみると良いです。
バイカオウレンを育てる環境に適しているのは、春や秋などは午前中に太陽の光が当たり、それ以外は日陰になるという半日日陰で、夏場は直射日光を避けることが出来る風通しが良く明るい日陰で、冬場は霜や風を避けることが出来る日当たりの良い環境を持つ場所が育てる環境としては最適です。
鉢植えなどの場合は、その都度場所を移動して管理を行えますが、庭植えの場合はこのような条件を持つ場所を探して栽培をする事で多年草であることからも毎年開花を楽しめますし、這い性の植物でもあり、最初は数が少なくても徐々に広がっていくので群生を作り出す事も可能になってきます。
尚、庭植えを行う場合は、夏場に日陰になり、冬から春にかけては日当たりが良くなる場所、広葉樹の下などが良いと言えます。バイカオウレンは耐寒性はありますが、常緑の植物であり冬場も葉を持ちます。そのため、冬場の乾いた寒風、霜などに当たる事で葉が傷んでしまうので、しっかりと日が当たる場所で管理をしていく事が大切です。
種付けや水やり、肥料について
バイカオウレンは環境さえ整えば、庭植えでも栽培は可能な多年草の植物です。マンションなどに住んでいる人の場合は、コンテナや鉢植えなどを利用して栽培を行う事も可能ですが、鉢植えの場合は明るい日陰の環境で育てることが出来るため、ベランダなどで管理を行う事で毎年花を観賞出来ます。
但し、乾燥を嫌う事、寒風を嫌うなどの理由からも、高層階の部屋に住んでいる人などは、べランダでの栽培を行う場合は風を抑える工夫と、湿らせた人工芝などの上に鉢を置くなどして、適度な湿度を保てるように管理を行う事がポイントとなります。
また、庭植えでは、広葉樹や落葉樹の下、常緑樹のなど、太陽の光が入り易い環境の下で栽培を行う事で毎年開花を楽しめます。尚、鉢植えの場合、庭植えの場合、どちらも水はけが良い環境を作ることが大切です。バイカオウレンは乾燥を嫌うため、表土が乾燥し始めた段階で、
鉢底から水が抜けるほどの量の水をたっぷりと与えてあげます。また、湿り気を一定にする目的で、底面給水にする方法も良いですし、山草鉢を利用する場合などでは2重鉢にしてあげたり、砂床に埋めるなどして乾燥を防ぐことが出来ます。尚、庭植えで行う場合についても、
土の表面が乾いている時などはたっぷりと水を与えてあげて乾燥しないようにして挙げることが大切です。肥料は、鉢植えでは花が咲き終わった4月から2度ほど、窒素、リン酸、カリウムが同等含まれている緩効性肥料を施し、5月から7月は月に1度から2度ほど、リン酸とカリウムが多く含まれている液体肥料を施してあげます。庭植えの場合も、鉢植えと同じように施してあげると良いです。
増やし方や害虫について
バイカオウレンは乾燥が嫌いですし、かといって多湿も嫌います。そのため、適した用土を作り上げて栽培を行う事が育て方のコツとなります。腐植質を含んでいる山砂を利用し、細かいヤシ殻チップもしくは粉砕した山ゴケ、日向土の小粒もしくは軽石、桐生砂小粒、
赤玉土小粒などを同じ割合で混ぜて用土を作ると良いです。尚、用土は混ぜる前にはそれぞれふるいにかけておく事、日向土や軽石、桐生砂などは水洗いして綺麗な状態にしてから混ぜるようにします。増やし方としては株分けと種まきの2つの方法が在ります。
株分けは、2~3年に1度の割合で植え替えを行う時に、株が自然に分かれている部分を切り離して植え付けます。尚、株は小さくても育ちますが、成長が遅くなるため、1株に10芽前後の塊になるのを目安にして分けてあげます。種は花が咲き終わると2か月ほどで果実が熟して種が出来ます。
果実を取って軽く振ると細かな種がこぼれて来るので、親株と同じ用土にまいてあげます。尚、種は保存が出来ないため、収穫後は直ぐに種をまいてあげることと、苗床を乾かさないようにするなどの注意点が在ります。バイカオウレンの葉が枯れてしまった時、
葉が傷んでいるものなどは見つけ次第すぐに切り取ってあげるのが育て方のコツの一つです。定期的に確認をする事が大切ですが、病気や害虫などについては殆ど心配が要りませんので管理も比較的楽に行えます。しかしながら、古葉を取る事や表土が乾いている時に水を与えると言う事はバイカオウレンの栽培のポイントでもあるのです。
バイカオウレンの歴史
バイカオウレンは日本原産の多年草の山野草です。生息地としては、本州の東北地方南部から近畿、中国地方西部などであり、深山の渓谷沿い、針葉樹の下と言った比較的湿潤な場所に自生する植物になります。主に、本州の福島県より南の地域や四国などに多く分布しており、
場所によっては群落が作られているケースも有ります。糸状になっている地下茎が地中を這い、四方に広がり、そこから葉を出します。葉は一つの軸に対して、5つの小さな葉が手を広げたよう生えてくるのが特徴で、葉の形がウコギ(五加木)に似ている事からも、
ゴカヨウオウレン(五加葉黄連)とも呼ばれています。バイカオウレンは、キンポウゲ科オウレン属、学名は「Coptis quinquefolia」になりますが、学名のコプティス(Coptis)は、ギリシャ語のコプト(切り離すと言う意味)に由来しており、葉が深く切れ込んでいると言う姿にちなんでいると言います。
バイカオウレンの仲間には、薬草としてその効用も名高いと言われているオウレン、屋久島のみに分布すると言うオオゴカヨウオウレン、セリの葉に類似していると言うセリバオウレン、高山性の植物でもあるミツバオウレン、バイカオウレンとミツバオウレンの
交配種と言われているコシジオウレンなどの種類が存在しており、これらの多くが腐植質に富んだ湿った場所に生息していると言われています。因みに、オウレンと言うのは日本が原産となるのですが、この名前自体は中国名起源であると言われています。
バイカオウレンの特徴
バイカオウレンは、3月から4月にかけて新しい葉を出しますが、花茎を伸ばしてから、その先端には1輪の白い花を咲かせるのが特徴です。葉の姿がウコギ(五加木)に似ているため、別名としてゴカヨウオウレン(五加葉黄連)とも呼ばれていますが、
白い花弁については萼が変化したものであり、本来の花弁と言う部位は中心に近いところにある黄色いスプーンのような形をしている部分であり、花の形が梅の花に似ているオウレンの仲間であることからも、梅花(バイカ)オウレンとも呼ばれているのです。
尚、バイカオウレンの草丈と言うのは、3cm~10cmほどであり、花色は白色であり、多年草であることからも株はそのまま残り翌年の2月~3月頃に開花をします。耐寒性や耐暑性は弱くもなく強くも有りませんが、山地の森林内などの腐植質に富んだ湿った場所に自生している事からも、
栽培する場合にはこのよな環境を作り上げることが育て方のポイントになってきます。舷部(蜜腺の先端の広がりが在る部分)は平皿状になっており、雄蕊の花柱(雄蕊の細長い部分)は真っ直ぐ伸びているのが特徴で、葉は革質で光沢を持つ5枚であり、葉脈はへこんでいるのが特徴です。
また、根本よりほふく枝を伸ばして広がるため、自生している場所では大半が群生をしているのが一般的だと言われています。因みに、ほふく枝と言うのは、糸状の地下茎が地中を這い回り、それが四方に広がっていき、そこから葉を出すための枝を意味しています。
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