フロックスの育て方

フロックスの育て方

フロックスとは、ハナシノブ科フロックス属の植物の総称で、現時点で67種類が確認されています。この植物はシベリアを生息地とする品種も存在していますが、ほとんどが北アメリカ原産の品種で、世界貿易の拡大とともに、世界中に様々な品種の種が広まり、現在ではヨーロッパやアジア地域でも数多くの品種が栽培されています。

育てる環境について

フロックスの多くは北米原産の品種ですが、やはり品種によって微妙に育てる環境や育て方が変わってくるので、事前に把握しておき、それに合わせて栽培することが大切です。フロックスは他の植物と同様に葉に太陽光を浴び、光合成で養分をつくりながら成長しますが、

成長に適した湿度が品種によって異なるので、庭に花壇をつくって植える場合には、日光のあたり具合や土壌の水はけなども考慮する必要があります。たとえば、クサキョウチクトウなどのパニキュラタ種は日当たりのよい南側や半日陰にある肥沃な土地に植え、

乾燥に弱いツルハナシノブなどのストロニフェラ種は適度な湿り気がある土壌のほうが育ちやすいので半日陰で適度に保湿性がある土地に植えます。また、シバザクラなどのスブラタ種やキキョウナデシコなどのドラモンディ種は日がよく当たって水はけのよい場所に植えるとよいでしょう。

フロックスは寒さに強くて暑さにやや弱い程度の品種が多いので、ほとんどの品種は夏の暑い時期に高温に晒されないように気をつければ元気に育ちますが、ドラモンディ種は寒さや暑さに弱いので、春に植えて秋まで楽しみたい場合には昼間の強い日差しが

当たらないようにするなど暑さ対策を徹底する必要があります。最近はドラモンディ種でも暑さに強い園芸用の品種も新たにつくられているので、夏の平均気温の高い地域で育てるときには、こうした品種を選んでおくと安心です。

なお、鉢植えで栽培する場合には、市販の赤玉土や腐葉土などをうまく配合して水はけがよくて適度な保湿性を持つ土をつくり、必要に応じて置き場所を変えながら日当たりを調節しながら育てましょう。

種付けや水やり、肥料について

フロックスは種苗店やガーデニングショップなどで様々な品種の種やポット苗が販売されているので、これらを購入して植え付けます。品種によって植え付けのシーズンは異なりますが、種は春(3~4月)や秋(9~10月)に撒き、ポット苗は3~5月ごろに植え付けるのが一般的です。

種からでも十分に育ちますが、種は植えても発芽しないものも場合もあるので、初心者の方は植え付けのシーズンに流通するポット苗を利用するのがお勧めです。フロックスの庭植えではそれぞれの品種に適した日当たりと水はけの花壇に植え付ければ、

肥料を使わなくても土の中の養分のみでも元気に成長していきます。鉢植えにする場合には赤玉土中粒・腐葉土・ピートモス(酸度調整済み)を5:3:2の割合で混ぜて水はけの良い配合土をつくり、これに緩行性化成肥料を入れたものに種や苗を植えます。

また、鉢植えの場合には春や秋に緩効性化成肥料を定期的に追肥すると育ちやすくなります。水やりは庭植えの場合には特に行わなくても問題ありませんが、乾燥に弱いツルハナシノブ(ストロニフェラ種)を栽培するときには晴れの日が続いて土壌が乾燥しやすい時期に水をたっぷり与えます。

鉢植えの場合には土の表面が乾いてきたら水をたっぷり与えながら育てますが、高い湿度に弱いシバザクラ(スブラタ種)を育てるときには水のやり過ぎに注意しましょう。なお、フロックスは花びらが散った後でも花がらと萼(がく)はその後しばらく残りますが、これらは病害を発生させる原因となるので、早めに摘み取っておくことをお勧めします。

増やし方や害虫について

キキョウナデシコ(ドラモンディ種)などの一年草のフロックスは花が咲いた後にできる種から増やしますが、これに対してクサキョウチクトウ(パニキュラタ種)やツルハナシノブ(ストロニフェラ種)などの多年草(宿根草)のフロックスは、株分けやさし芽で

増やすほうが効率がよく増やせるので、品種をよく確認して増やし方を変える必要があります。多年草のフロックスは、越冬させて次の年も同じ花壇で花を咲かせてくれますが、2~3年すると根っこが伸びて株同士が混み合ってくるので、植え替えも兼ねて株を掘り上げ、

それを株分けをして増やすのが一般的です。株分けを行う時期はパニキュラタ種は3~4月、ストロニフェラ種は5~6月というように品種によって異なるので注意しましょう。ドラモンディ種は春(3~4月)と秋(9~10月)に種まきを行ないますが、

パニキュラタ種を種で増やすときには晩秋(10~11月)に種まきをして越冬させます。フロックスを庭植えするときには水や肥料を与える手間がほとんどかかりませんが、湿気の多い季節にはうどんこ病や灰色かび病などのカビの菌の繁殖によって生じる病気にかかりやすいので注意が必要です。

これらの病気は梅雨や台風などで長雨が続いて湿度が上昇する6~7月や9~10月ごろに生じやすいので、風通しを良くして菌の繁殖を抑えるとともに、木酢液や重曹を薄めたものをスプレーしたり、市販の殺菌剤を散布したりするなどして病気の発生を予防しましょう。

フロックスには茎・葉から養分を吸い取って成長を阻害するアブラムシやアオバハゴロモなどの害虫がつきやすいので、これらの害虫が発生しやすい時期(5~10月)には定期的にオルトランなどの浸透移行性の薬剤で防除するのがお勧めです。梅雨の時期にはナメクジが大量発生して被害を与えることもあるので、見つけたら塩や熱湯をかけて駆除しましょう。

フロックスの歴史

フロックスとは、ハナシノブ科フロックス属の植物の総称で、現時点で67種類が確認されています。この植物はシベリアを生息地とする品種も存在していますが、ほとんどが北アメリカ原産の品種で、世界貿易の拡大とともに、世界中に様々な品種の種が広まり、現在ではヨーロッパやアジア地域でも数多くの品種が栽培されています。

日本で古くから栽培されているフロックスは、特にクサキョウチクトウやシバザクラ(ハナツメクサ)などの和名を持つ品種が有名で、それぞれ明治時代には日本人の生活の中に浸透していました。クサキョウチクトウという和名は明治時代から呼ばれている名前ですが、

その名前には曲折があり、大正時代から戦後にかけては「オイランソウ(花魁草)」という名前で呼ばれていたそうです。これは主にクサキョウチクトウという名前が長すぎて覚えにくく、キョウチクトウ(夾竹桃)の仲間であると誤解されやすいことが理由いわれていますが、

戦後に売春防止法が制定され、売春婦をイメージさせる花魁草という名前も使いにくくなりました。このため、現在では、宿根フロックスフロックス・パニキュラタ(学名の英語読み)と呼ばれるのが一般的です。シバザクラは明治時代に原産国の北米から伝来してきたといわれており、

やがて大勢の人々の訪れる公園などにも植えられるようになりました。現在でも北海道や北関東、北陸、東北地方など日本全国にシバザクラを植えた公園が数多く存在しており、シバザクラが見頃を迎える4月~6月のシーズン中には群生するシバザクラがまるで花の絨毯のように咲きほこり、大勢の観光客の目を楽しませています。

フロックスの特徴

フロックス属の植物は、5枚の同じ大きさや形の花びら(花弁)を持っていることは共通していますが、67種類以上の多種多様な品種があるので、品種によってそれぞれ様々な特徴を持っています。5cmから20cm程度低い草丈の品種が多いですが、中には1mを超える品種も存在するなど、

草丈は品種によって幅広いので、ガーデニングで複数の品種を同じ花壇に植えるときなどには、事前にどのくらいの草丈になるかをよく確認しておく必要があります。花びらの色や形状も様々で白やピンク、薄紫、青、オレンジ、黄色など色とりどりの品種が存在するので、

咲いたときの彩りを考えて複数の品種を植えた花壇をデザインすると、最盛期には千紫万紅の花々が咲きほこる花壇をつくることができます。また、フロックスの品種は春に見頃を迎えるものが多いですが、開花時期も種類によって異なるので、花壇に植える際には

複数の品種を植えることで3月から11月までの長い期間、彩り豊かな花々を咲かせることができるのもこの植物の魅力といえます。日本では、春または秋に早い時期に植える1年草の「キキョウナデシコ」や草丈が1メートルを超える多年草のクサキョウチクトウ(宿根フロックス)、

草丈が短くて庭に植えると春の最盛期には花の絨毯を楽しめるシバザクラなど、様々な特徴を持つ品種が広く栽培されています。また、花壇での栽培に適したものだけでなく、小さな植木鉢で室内やベランダなどで育てやすい園芸用の品種もあるので、事前によく調べて自分にあった品種を選んでみるとよいでしょう。

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