アストランティア・マヨールの育て方
アストランティア・マヨールの種付け
アストランティア・マヨールは育て方がややこしく、日本で栽培するのが難しい品種と思われがちですが、その理由は種付けの難しさに多くの原因があります。種から育てることが難しい植物の一つとして知られる通り、発芽率が低く、また発芽後も幼苗の時期に枯死してしまうことがあり、種付けそのものが困難な品種なのです。
手をかけて育てようにも発芽すらしない、しかし一方で、花壇のこぼれた種から発芽した小さな苗の方が生育状況が良いなど、手をかけない環境にある種の方が育ちやすいという特徴も見られます。アストランティア・マヨールの種付けは、人の手で大切に大切に甘やかしてしまうよりも、いかに自然に近づけるかという観点で実践したほうが成功率が高くなるようです。
自然状況の再現を心がけることが、栽培をスタートさせるための最初のポイントです。まずは一定の期間、しっかりと低温に当てることで冬の寒さを再現します。そして、完全に種が乾いてしまわないよういくらかの湿気を保つようにすることで、冬に積もった雪と同じ環境を作ることができます。寒冷地向けの品種なので、冬の雪を忌避してはいないことに気を付けておきましょう。
冬の寒冷な気候と雪の積もった環境を再現するには、湿らせたキッチンペーパーに包んだ種をさらに食品用のラップで包んで、冷蔵庫で保管しておきます。このひと手間によって、アストランティア・マヨールの難しい種付けの成功率を上げることができるのです。ポット苗を植えつけるのであれば、元肥として緩効性化成肥料の粒状肥料を混ぜ込んだ用土を準備しておきましょう。
アストランティア・マヨールの育て方
育て方の基本は他の園芸用品種と大きな違いはありません。水やり、肥料、植え付けの場所と鉢の置き場所の3点に気を付けて栽培します。まずは水やりですが、土の表面が乾き始めたらたっぷりと水やりをします。土が乾ききってしまわないように日ごろから土の状態を観察しておけば、水のやり忘れを防ぐことができます。
アストランティア・マヨールは過湿にやや弱い植物なので、水を与えすぎないように注意することも重要になります。特に、高温多湿になる夏は細心の注意を払い、根腐れを起こさないように気を付けて育てます。次に肥料ですが、肥料は、早春と晩秋から冬にかけて施します。ちょうど、芽が動き出す前と、落葉が起こり始めるころです。
年に2回、緩効性化成肥料を一般の園芸用植物よりもやや少なめに施します。緩効性化成肥料の粒状肥料を、庭植えであれば1平方メートル当たりにつき100g、鉢植えであれば用土1リットル当たりにつき3グラムを、株元にばらまいて施します。最後に、植え付けの場所と鉢の置き場についてです。アストランティア・マヨールは基本的に日当たりを好む品種ですが、夏の強い日ざしや西日など、強烈な直射日光は苦手としています。
春から初夏にかけて、さらに秋であれば日なたが最適な環境ですが、夏は明るい日陰のような環境の方が栽培に適しているといえます。鉢植えの場合は季節に合わせて置き場所を変えてあげましょう。庭植えにするのであれば、落葉広葉樹の下などがおすすめです。アストランティア・マヨールは強い日差しを苦手としているとはいえ、もしも1年中日陰に置いたりすると、茎が軟弱になってしまいます。
置き場所を変えることができない庭植えの場合は、日当たりと水はけの良い場所を選んで植え付けましょう。なお、株は徐々にボリュームを増していくので、風通しが悪くならないよう植え付けの間隔をあける必要があります。
アストランティア・マヨールの栽培の注意点
育て方の基本である高温多湿を避けるというポイントを守ることが、アストランティア・マヨールの栽培における最たる注意点です。木漏れ日の当たる半日陰など、地面が熱くなり過ぎない場所が理想的な環境といえます。冷涼地の場合は日なたも適地になるため、栽培にはその土地の気候を把握することが重要になります。
さらに、開花させるには種付けのときと同様の工夫をしなくてはなりません。確実に花を咲かせるためには、冬の寒さにしっかりあてる必要があるのです。また、晩夏から初秋のころにかけて、うどんこ病の被害がよく見られます。植え付けの際に風通しのよい場所を選ぶだけでも効果はありますが、殺菌剤を散布して予防することもできます。
病害虫の被害は目立ちませんが、まれに毛虫がつくことがあります。殺虫剤、もしくは捕殺によって対処しましょう。種付けから栽培し、美しい花を楽しんだ後、アストランティア・マヨールには剪定も必要になります。アストランティア属の植物は冬に落葉して休眠し、古株になると成長が悪くなってしまうので、庭植えだと3年から4年ごろを目安に株分けをします。株分けに適した季節は、4月ごろ、もしくは10月ごろです。
アストランティア・マヨールの歴史
アストランティア・マヨールは、中央・西部ヨーロッパが原産のセリ科の宿根草で、生息地は主にヨーロッパからアジアの西部にかけて広がっています。アストランティアという、セリ科アストランティア属の品種には約10種類ほどの原種が存在していますが、その中でも特に、園芸用の品種として数多く利用されてきた歴史を持つのが、アストランティア・マヨールです。
原産地であるヨーロッパでは古くから利用され親しまれてきた植物ですが、日本での歴史はまだまだ浅く、名前も一般的には知られていません。日本においては、近年急速に切り花や花壇を彩る植物として扱われるようになり、その過程で少しずつ知名度を上げてきています。
とはいえ、アストランティア・マヨールは海外ではその繊細な姿形からガーデニングに欠かせない品種として数多く流通しているのですが、日本では切り花として目にすることはあっても園芸用の苗を探すことはまだまだ難しい状況です。
アストランティア・マヨールの特徴
アストランティア・マヨールは、星をちりばめたような繊細な見た目が特徴の、セリ科アストランティア属に属する植物です。アストランティアは別名アストランチャと呼ばれることもありますが、学名がそのまま品種名として認知されています。アストランティア属の品種は原種が約10種類ほどありますが、その中でもっとも数多く園芸用に利用されている品種が、アストランティア・マヨールです。
アストランティア属の品種は、枝分かれした小さな花がたくさん咲き、最盛期には星が輝いているかのような美しい見た目になります。一見すると花びらの中心部に細かな星のようなものが集まっているのですが、花びらに見える部分はガクといい、花弁ではありません。真ん中に身を寄せ合った星のような部分が、アストランティア属の品種の花にあたります。
だいたい40個から50個ほどの花がまとまって咲いており、じっくり観察するとおしべとめしべがあることが分かります。アストランティア・マヨールは高温多湿に弱い品種なので、夏が冷涼な地域ほど栽培に適しているといえます。暑さに弱く寒さに強い性質から、日本での栽培は夏の気温が気がかりな点といえるでしょう。涼しい地域では10月ごろまで花を楽しめますが、中国・四国・九州地方など、年間を通して気温が高く、夏の暑さが厳しい土地では、寒冷地に比べると栽培がより難しくなります。
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