トルコギキョウの育て方

育てる環境について
トルコギキョウは主に乾燥した降水量の少ない土地で栽培されてきました。ですので、家で育てる時も充分日の当たる、湿度の少ない場所を選んで育てるようにします。梅雨の時期は、雨の当たらない軒下やベランダなどに移動することが大事です。
また、蒸れることも非常に嫌うので、風邪通しの良い場所を選ぶことも大事です。日が当たる分には良いので、暑さには強い方です。30℃くらいまでなら大丈夫です。ただ日本の夏が近年非常に暑くなっているので、真夏には、極端な暑さを避けるため風通しの良い、明るい日陰で育てるのが良いでしょう。
もともとは、アメリカのテキサス州出身の花であることからわかるように、本当はやや乾燥地帯を好む花です。数々の品種改良を重ね、特徴は弱まってはいますがそれでももともとの性質はしっかり受け継がれています。ですので、本当は、日本の高温多湿な環境は生育には適していません。
それを踏まえて、多湿を避けて育てることが、栽培する上での成功のポイントとなります。また、同じ品種でもわずかな環境の違いから、花もち、開花輪数、丈やボリュームなどが違ってくるので、最初のうちはその違いを楽しむようなつもりで、
おいおいその地方の気象条件にあった育て方を模索していくのが良いでしょう。夏季が涼しい地域であれば、9~10月ごろに花を楽しめますし、平地であれば、春先から日照量が増えますから6,7,8月と次々に花が咲くのを楽しむことができます。
種付けや水やり、肥料について
種をまいて増やすことは可能ではありますが、育苗の環境が難しく、なかなか育たないので、苗を買い求めてそこから育てる方が無難です。非常に細かい種で、扱いづらい。発芽に光を必要とするので、種から育てる場合はまいたあと、土をかぶせないようにします。
発芽後は高温によるロゼット化を避けるため、15℃くらいを保つ必要があります。ですので、育種家は発芽後冷房室に移したりするのです。やはりこのようなシビアな温度管理をするのは一般の家庭では難しい面がありますので、やはり苗から育てる方が良いということになります。
苗を買うときには丈が高くなる品種か、低くてコンパクトなタイプかを確認して購入します。鉢植えで楽しむにはコンパクトなタイプ、切り花にして楽しむには丈の高くなるタイプが適しているからです。また水やりは、乾燥を好む花なので、やりすぎに注意することが肝心です。
水のやりすぎによる根腐れが、一番陥りやすい失敗要因です。多少の感想はむしろ好むので、土の表面が乾いてから水を与えるようにします。また、水が花びらにかかるとシミができることがあります。ですので根本から静かに与えるようにします。肥料は、植え付けの時にまず入れておきます。
この時使う肥料は粒状肥料です。そのあとからは、液体肥料を使います。次々に花を咲かせるため、肥料も月に2,3回はやるようにします。液体肥料は1000倍くらいに薄めます。秋にも花を楽しみたい場合は花が咲き終わったあとも追肥します。
増やし方や害虫について
増やし方は、先ほどのような理由から、種からではなく苗を買い求めて増やす方が無難です。苗を買うときのポイントは、枯れた葉がないこと。葉や茎の色艶が良いこと。花が咲ききっていない、つぼみの多いものを選ぶこと。茎がだらんとしていないで寸がつまったものを選ぶこと。
つぼみに虫がいないこと、などがあげられます。また、一度植え付けて花が咲き終わったあとはそのまま枯れてしまいますので、植え替えはしません。花が植え替えを好まない、というのも理由のひとつになります。最初から鉢仕立てになっているものは、
あまり植え替えをせず、そのままポット状で花を楽しむ方がうまくいきます。害虫は、春に暖かくなると、アブラムシが発生することがあります。予防に薬剤を散布することである程度は防げます。また、風通しが悪かったり水のやりすぎだったりすると、立ち枯れ病が発生することがあります。
まず下葉がしおれてきて、次に全体が枯れていきます。この病気は一度発病すると対処の方法がありません。また同じくカビが生えて腐ることもあります。これも株全体を抜いて処分するしかありません。こうならないためには、
枯れたりしおれたりした部分をそのままにせず、こまめに摘み取ってきれいにしておくこと、水をやりすぎないようにすることです。また種つけから育てた場合、幼少期の温度管理に失敗すると弱弱しくべちゃっとした状態になりやすいので、このころからの管理が重要になってきます。
トルコギキョウの歴史
長野県は、世界に冠たるトルコギキョウの生産地です。そしてここは、日本で初めてトルコギキョウが栽培された土地でもあります。昭和25年ごろ、そのころまだビニールハウスがなかったため、降水量の少ないこの土地の気候が露地栽培に全国的に適していたことから始まりました。
当初は単色のみだったのですが、たゆまぬ当地の育種家による品種改良により、白をベースに縁が紫やピンクの美しい品種が次々開発され、一大トルコギキョウブームを巻き起こしました。このような経緯を経て今でも、長野県は全国的に有名なトルコギキョウの生産地であり、かつ、育種家の多い土地として知られています。
もともとは、アメリカ合衆国テキサス州近辺が原産地です。それを、プラントハンターによって、イギリスへ持ち込んだのが、世界に広がった最初の経緯です。日本に伝わったのは大正から昭和にかけてですが、当初農家の間で細々と栽培され、あまり出回ってはいませんでした。
二度に渡る世界大戦のため、海外の生息地ではそのほとんどが失われてしまいました。しかし、日本では細々と栽培していたのが幸いしたのか、海外よりは多く生き残り、昭和の終わりごろから急速にその品種改良が進み始めます。
それにより、大変美しい種類の花が開発され今では、日本が品種改良の中心地となっています。近年では、花色の豊富さや姿形の良いこと、花もちの良いことなどから、冠婚葬祭や和洋を問わず、幅広く使用される花の代表となりました。
トルコギキョウの特徴
トルコギキョウは大変種類や色味の豊富な品種です。80年代から開発された八重咲品種は、まるで小ぶりの薔薇を思わせるような可憐で安定した八重咲き率を誇る美しい品種です。また、同じ八重咲品種でも実に多様な種類があり、数々の世界的な国際園芸博覧会で優秀賞に輝いています。
開花の時期は5~9月で、庭植えにも鉢植えにも適し、また切り花としても楽しむことができます。豊富な花色には、紫、白、赤、黄、ピンク、緑、青、また白地にピンクや紫の縁取りになったものや、様々な色合いから選ぶことができます。いろいろな育種家が、
本当に様々な種類の花種を出しており、それぞれに名前がつけられ、また特徴もそれぞれちがいます。例えばまるで薔薇の花のような八重咲の花には、キングオブスノー、ロジーナブルー、アンバータブルミント、ボヤージュアプリコットなどの種類があり、
このうちキングオブスノーは国際花と緑の博覧会で金賞受賞、またロジーナシリーズでは八重咲の花形を限りなく薔薇に近づけたとして、グッドデザイン賞を受賞。またこのような花の育種や新しい花の普及に貢献したことが評価され、この育種企業は農林水産大臣賞を受賞しています。
またオランダで開催されたフロリアードでも、キュートブルーピコテイーという品種が金賞を受賞。そのほかにも数々の賞に輝く美しい品種が次々と生み出されています。ネーミングがまた絶妙で、まるで花言葉のようなロマンチックな響きがありますね。
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