ナンバンギセルの育て方
育てる環境について
育て方ですが、寄生植物ですから被寄生植物のススキやヤクシマススキ、ミョウガなどを事前に用意します。被寄生植物の生育に適した環境であればあまり場所を選ばず育てることが出ます。そういう意味では比較的育てやすい部類の植物といえるのではないでしょうか。
植物を栽培するための土は用土と呼ばれます。一般の植物を栽培するのであれば、赤玉土や庭の土のような基本用土に腐葉土などの有機質をまぜたもので十分です。さらに基本用土をいくつか組み合わせたり、改良資材を加えればよりよい生育をさせることができます。
基本用土にこの植物にはこの用土でなければならないといった法則はありません。水やりや置き場所などの環境などの管理条件をもとに配合するのがいいでしょう。それで植物が順調に成長しているのであればそれが栽培環境と用土がマッチしているという事です。
ですから植え替えの際などに無理に用土の組み合わせを変える必要はありません。もちろん生育が思わしくないのであれば、その原因が用土にある可能性が考えられるので植え替えの時にその原因を改良した用土に代えてやる必要はあると思います。ただ被寄生植物をススキにした場合、
一般に販売されている花壇用の草花用培養土で問題なく育ちます。それでも生育が思わしくないと感じたら市販の草花用培養土に改良資材を加えて生育の様子を見た方がいいと思います。ススキ以外の被寄生植物を利用する場合はその植物にあった用土を準備する必要があります。
種付けや水やり、肥料について
タネまきをする場合、ススキやヤクシマススキがあらかじめ植えてある鉢などを準備します。そして被寄生植物が植えてある用土を掘っていき、被寄生植物の根が見えてきたらそこへナンバンギセルのタネをバラまきにして植えます。1か所だけではなく数か所に播いた方がいいでしょう。
この作業は前年の内に済ませておいた方が無難です。タネの効果的な播き方としては、被寄生植物の根を少し裂きその中にタネを入れるという方法があります。その他の方法として赤玉をねってその中にタネを入れて団子状にし、被寄生植物の根のそばに置くなどの方法があります。
水やりの方法ですが被寄生植物が弱らない程度に水を与えれば問題ありません。基本表土が乾いてきたら水を与える程度で十分です。肥料の与え方ですがナンバンギセルは寄生植物です、ですからナンバンギセルに合わせた肥料を与える必要はありません。
与えるならば被寄生植物に合わせた肥料を与えて下さい。ススキを被寄生植物にした場合は葉色が特別悪くなければ肥料を与える必要はありません。何も肥料を与えないことが若干不安だというのであれば、市販の肥料を適宜与えれば十分ススキは育ちます。
考えれが当然ですが川の土手に育つ自然のススキは肥料など一切なくあれだけ元気に育ちう事が出来るのですから。そういった意味では被寄生植物にススキを使ってナンバンギセルを育てた場合、こと肥料に関しては何の心配もいらないということがいえると思います。
増やし方や害虫について
ナンバンギセルの増やし方ですが、基本タネまき以外に増やしていく方法はありません。そういった意味では、被寄生植物を元気に育てナンバンギセルがその栄養を吸収して元気に育つことがなにより大切なことです。花の後ろのつく丸い実の中にタネができますので、
極力花を多く咲かせることがナンバンギセルを増やすため最低限必要なことです。タネの採取方法ですが、花が咲き終わって枯れた花の後ろから採取します。黄色い粉状の非常に小さい種ですので多少注意が必要です。採取した種はタネのままの状態で越冬させます。
採取した種は透明なビニール袋に入れてタネ播き時期まで冷蔵庫で保管して置いて下さい。そしてタネ播きの時期ですが3月ごろがいいと思います。被寄生植物の表土を深く掘っていき、被寄生植物の根が確認できたらその上に粉のようなタネをまきます。
播き終わったら掘った部分の表土に土をかぶせ穴を埋めれば作業は完了です。播いたナンバンギセルのタネが被寄生植物の根に定着しやすくするために、鉢底から水を吸わせれば播いたタネが定着しやすくなります。タネがしっかり定着しなければ栄養を吸収できなくなり、
ナンバンギセルが育たなくなってしまいますので注意が必要です。害虫ですが他の植物とは違って、基本これといった害虫はいません。ですから害虫対策のためにあれこれ薬剤をそろえる必要はありません。そういった点でも非常に育てやすい植物の1つといっても過言ではありません。
ナンバンギセルの歴史
ナンバンギセルはハマウツボ科でナンバンギゼル属に属し、別名がオモイグサと呼ばれています。原産地は東アジアから東南アジア、南アジアの亜熱帯地帯から温帯地帯が原産で、1年草の寄生植物です。草丈は10cm前後が多い植物ですが、亜熱帯地帯では30~50cmに達することもあります。
開花時期は8月から10月ごろの暖かい時期に咲きます。花色は紫と白とがあり、栽培も比較的容易に育てることができることから人気のある品種となっています。ただ、原産が亜熱帯や温帯地方ということから寒さには弱い品種ですが、その代わり暑さには強いので植物の性質をよく把握していれば
温度管理もそれほど神経質になることはありません。また、日本では「道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何かを思はむ」(作者未詳)と「万葉集」にも詠まれています。このことからも古くから日本に広く分布していたことがうかがえ、さらに人々に親しみを持たれた植物だった事が想像できます。
別名でもあるオモイグサは万葉集に詠まれたことからつけられたものと考えられますが、いにしえから親しまれているナンバンギセル、江戸時代俳句の世界でも「南蛮煙管」や「思草」が秋の季語として多くの俳人に詠まれています。現在の日本人には認知度は低い名前ですが
認識を改めたいと思える品種です。また生息地ですが日本各地と広く、野山のススキ、ギボウシ、サトウキビ、ミョウガなどに寄生しています。ただサトウキビの栽培地方では害草として大変嫌われています。
ナンバンギセルの特徴
ナンバンギセルの花の特徴ですが、桃色を帯びた鼻の先は5つに浅く裂けていて、花の後方は筒型なっています。花の中を観察すると黄色い細いキノコのようなものを見ることができますが、これが柱頭つまり雄しべの一部となります。そのさらに奥に雄しべが4本あることが見てとれます。
花の基部を覆っているのが、がくです。がくは舟形の形をしていて黄色地に紫色の縞模様がついています。がくの先がとがっていることが仲間の品種のオオナンバンギセルと区別するポイントになります。花は長さが2~3cmで赤紫色をしています。
日本に生息しているものは茎が赤茶色か薄黄色で細かな縞状の模様が入ります。茎が黄色で真っ白な花が咲く白花や、茎は黄色で花弁の先端部分だけが赤紫色になる口紅咲きもあります。変種のヒメナンバンギセルはやや小さく花の先端が青紫色をしています。
養分は寄生する植物から吸収しているので緑葉はつけていません。がくと同じ色の花柄があり、地中には暗赤褐色の小さな葉がついているだけです。晩夏から初秋にかけて花柄を大きく伸ばし、その頂部に花をつけるようになります。花の後ろに丸い実がなりますが、
その中に黄色い色をした粉状のタネができます。タネができる頃には花が枯れるようになります。寄生植物のナンバンギセルは被寄生植物が元気に育っていなければ自らが元気に育つことはできない植物です。大株のススキでさえも寄生されると弱るほど栄養を吸収します。
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ナンバンギセルはハマウツボ科でナンバンギゼル属に属し、別名がオモイグサと呼ばれています。原産地は東アジアから東南アジア、南アジアの亜熱帯地帯から温帯地帯が原産で、1年草の寄生植物です。