パキスタキスの育て方

パキスタキスの育て方

キツネノマゴ科に分類される低木です。樹高は0.5mから1m程度ですが、放置すると2mほどになることもあります。熱帯性なので高温と日光を好み、日本では5月から10月までの気温の高い時期に開花します。

育てる環境について

育て方は鉢植えと花壇植えの2通りです。どちらの育て方でも共通して言えるのは、日照条件についてです。パキスタキスは日光を好みます。そのため、生育中はできるだけ日当たりのよい場所に置き、よく日光に当てる必要があります。ただし、強い直射日光に長期間晒されると葉が痛むことがあります。

ある程度の日陰には耐えられるので、真夏は明るい半日陰に置くと良いでしょう。鉢植えは室内の明るい窓際に置き、花壇植えの場合は他の植物で陰を作るか、園芸用の遮光ネットを活用しましょう。あまりにも日陰過ぎて日当たりが足りなくなると花付きが悪くなるので、

一番日差しの厳しい昼前から夕方にかけての日差しを重点的に避ける工夫をすると良いでしょう。さらに、土の乾燥にも注意が必要です。多湿を好みますし、一番水を要求する開花時期と暑い時期が重なるので、真夏は特に水切れしないように気を配りましょう。

また、低温は大敵です。耐寒性がないので冬場は室内栽培が原則です。花壇の場合は冬を越させるのは難しいので、10月に掘り上げて鉢に移植し、屋内に退避させて管理を行うか、その年限りのものとして扱うことになります。適温は15℃から25℃で、

冬を越すのに必要な温度は最低でも5℃から8℃です。耐えられる温度を下回ると葉を落として枯れてしまいますが、株が完全に枯れてさえいなければ、春に新芽を出すことがあるので半分ほどの丈にして植え替え、保温しておきましょう。

ただし、枯れずに冬を越した株でも春には新しい鉢に植え替えた方が良いでしょう。もともと冬の管理さえ徹底すれば丈夫な品種ですし、性質自体は常緑性なので、あまり枯れる心配はありません。また、常に15℃以上の環境に置くようにすると、通年開花します。

種付けや水やり、肥料について

春になると苗が出回るので、これを植え付けると良いでしょう。多湿を好みますが、土自体は水はけの良いものを好みます。赤玉土を6割、ピートモスか腐葉土を4割の割合で配合すると良いでしょう。ピートモスと腐葉土はどちらでも構いませんが、鉢植えの場合はピートモスの方が適しています。

また、肥料を好むので植え付けの際には緩効性の粒状肥料をあらかじめ混ぜ込んでおきましょう。生長が活発になりますし、ゆっくりと穏やかに長く効くので、後々の追肥の回数を減らすこともできます。生育中は乾燥を嫌うので、水やりは土が乾いたらたっぷりと行います。

生育期の4月から10月にかけては特に水を欲しがり、中でも開花中は水切れを起こしやすいのでこまめな水やりが必要です。室内栽培で常に開花させておく場合は気を付けた方が良いでしょう。根元だけではなく葉にも水をかけるようにした方が効果的です。霧吹きなどで潤しても喜びます。

10月以降は徐々に越冬の準備に入るので、徐々に水の量を減らします。冬から春先までは乾かし気味で構いませんが、土がカラカラにならないように、乾いたら日を置かずにすぐに水をあげましょう。葉を枯らして冬を越させるのであれば湿らせる程度で構いませんが、

乾燥しすぎると完全に枯れてしまうので気を付けましょう。開花させるのにさほど手間の掛からない品種ですが、肥料が切れると葉の色が悪くなったり花付きが悪くなったりすることがあるので、その場合は追肥として窒素、リン酸、カリを与えます。

3種類が等量か、リン酸を多めに配合して株の周りに置きます。また、開花時期の育て方のコツとして、月に2回程度花用の液体肥料も併せて与えると、より効果的です。

増やし方や害虫について

種も簡単に採種できますが、家庭では発芽環境を整えるのが難しいので、増やす時は挿し木を行いましょう。4月から9月までの長い期間行うことができます。具体的には芽が付いた枝を5cmから7cm程度に切り、清潔なバーミキュライトに挿して育てます。

パキスタキスは摘心すればするほどどんどん脇芽が伸びてくるので、その脇芽の一部を切り取って使用すると良いでしょう。十分な水を与えておけば自然と根を張るので、簡単に増やすことができます。芽はすぐに花になってしまいますが、気にせずに脇芽を育てればすぐに大きな株になります。

根詰まりしやすいので、早めに大きめの鉢に植え替え、常に株より一回り以上大きい鉢植えに植えておくようにすればすくすく育ちます。害虫については、カイガラムシやハダニの被害を受けることがあります。いずれも観葉植物の代表的な害虫です。

カイガラムシは樹液を吸って養分を吸い取ってしまいます。また、排泄液によって葉をベタベタにしたり、この排泄液にカビが生えて「すす病」という病気を引き起こしたりすることがあります。通気性の悪い枝に発生するので、こまめに枝を剪定して葉や枝が込み合わないようにし、

風通しの良いところに置くようにしましょう。一方、ハダニは乾燥した葉に発生します。こちらは葉に霧吹きなどで水をかけ、潤いを維持しておけば被害を受けにくくなります。湿潤な環境はパキスタキスの好むところなので、葉が茂っている間は積極的に霧吹きで水を与えると良いでしょう。

パキスタキスの歴史

パキスタキスは熱帯アメリカ原産の植物で、6種が分布しています。熱帯性の花木で、西インド諸島から中南アメリカにかけての熱帯地域を主な生息地としています。その中でも特に広く流通し栽培されているのは、パキスタキス・ルテアという名前の南米ペルー原産の品種です。

そのため、園芸の世界でパキスタキスというと、一般的にはパキスタキス・ルテアのことを指します。パキスタキスの名前はギリシャ語で「厚い、太い」を表すPachysと「穂」を表すStachysを語源としています。その名のとおり厚く穂をつけたような花姿をしていますが、

穂のように見える部分は花弁ではなく蕾を保護する苞の部分で、その苞の間から伸びる細く白いものが実際の花弁です。ルテアは「黄色の」という意味で、黄色い苞を持っていることに由来します。そのため、和名では鬱金珊瑚(ウコンサンゴ)、英名ではゴールデンキャンドルと呼ばれます。

栽培の盛んなバリ島などでは美容と健康のためにお茶にして飲用されたりしていますが、日本ではもっぱら観賞用に栽培されています。日本各地の植物園やハーブ園で見ることができるほか、家庭でも夏の花壇を彩る花として広く親しまれています。

また、花そのものの寿命は短く、苞の部分の方が長期間残ることから、どちらかと言えば苞の部分を楽しむ目的で栽培されます。しかし周年開花性が強く、温度管理によって一年中開花させることができるので、管理しやすい鉢植え用の花としても人気があります。

パキスタキスの特徴

キツネノマゴ科に分類される低木です。樹高は0.5mから1m程度ですが、放置すると2mほどになることもあります。熱帯性なので高温と日光を好み、日本では5月から10月までの気温の高い時期に開花します。常緑性ですが寒さに弱く、冬の外気に晒されると枯れてしまうので、花壇で育てる場合は一年草として扱うことになります。

しかし、鉢植えで管理し冬は室内に避難させれば冬を越すことも容易です。幹や枝は細く、枝の先端に長さ10cmほどのボリュームのある花穂をつけます。花穂の大部分は苞という蕾を保護する役割を持った部分で、本来の花弁はその隙間から伸びます。

苞は枝先に向かってうろこ状に整然と並んで花穂を形作り、その穂の中程をぐるりと取り囲むように花弁が這い出てきます。花弁は白色で細くユリの花弁のような質感で、先端は唇のような形状をしていて可憐なのですが、遠目にはあたかも黄色の花弁をもった華やかな花であるかのように見えます。

花が咲かない時期にも苞は残るので、余計に苞の黄色の印象が強い花木です。葉は大きめで柔らかく、形状は先の尖った楕円形です。艶がなく落ち着いた深い緑色をしており、花穂の下にこんもりと茂ります。また、花が終わると実が成ります。

この実はホウセンカなどと同じ「さく果」という種類で、熟すと下側から裂けて弾け、種子を散らします。黄色が目立つ花木ではありますが、熱帯植物にしては華美過ぎない色味で、色々な場面に合わせやすい品種です。花壇の主役を張るだけでなく、

他の花の引き立て役になることもできますし、インテリアのワンポイントとしても有効です。それなりの高さになるので、屋外では支柱やフェンスに這わせるなどして支えながら育てると良いでしょう。また、摘心すると次々に芽が伸びて花が増え、より賑やかになります。

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