プリムラ・ポリアンサの育て方

プリムラ・ポリアンサの育て方

プリムラ・ポリアンサは、ヨーロッパを原産でクリンザクラとも呼ばれています。17世紀には、プリムラの野生種から幾つかの品種が作られています。プリムラ・ポリアンサは、ヨーロッパからアジアを生息地とするプリムラ・ウエリス品種とプリムラ・エラチオール品種とプリムローズとも呼ばれるウルガリス品種の種間交雑種です。

プリムラ・ポリアンサ、団粒構造

植物を順調に栽培するには、土の状態が良い事が第一条件です。良い土は土の中に新しい空気が入り易い、隙間の多い土が良いとされています。水の溜まってしまう土は空気が入り難く、根腐れを起こしてしまうので排水性の良い土を用意する必要があります。しかし、根からは栄養分だけで無く水分も同時に補給したいので、保水性も必要となります。

排水性と保水性は相反する性質のようですが、団粒構造の土は排水性と保水性の両方を併せ持っています。又、良質な粘土と有機物で分解されて出来た腐植が多く含まれている保肥力のある土も必要となります。更に、日本は雨量が多く、雨は少し酸性なので土も酸性を示すのですが、酸性が強い場合は種付けをする前にアルカリ性の苦土石灰などで調整します。

多くの植物は、弱酸性の土壌に種付けて栽培する事で良く育つとされています。土の酸性濃度は、酸度測定液やリトマス試験紙で確認する事が出来ます。団粒構造の土とは、土の細かい粒子が集まって小さな団子状になった塊が団粒で、この大小の団粒が土壌を構成している状態の土です。通気性や排水性、保水性が有るとされ、根が伸びやすく種付けには最高の土とされています。

団粒構造の土にするには、土を良く耕して軟らかいい状態にして、腐葉土や堆肥、ピートモスなどの有機物を入れる事により、有機物が分解する時にノリ状の物質が出来て土の粒子を引き付けて団粒を形成します。時間と共に有機物が大小さまざまな大きさの団粒を形成して、土の中に隙間が出来ます。

ここで注意するのが、殺虫剤や殺菌剤を余りまき過ぎない事です。土の中にはミミズなどの生物や多くの微生物が棲んでいます。土の中の有機物や肥料もミミズなどの生物によって食物にされたり分解されて、植物の根が吸収しやすい形に変えられます。又、ミミズなどの生物は、土の団粒化にも役立ちます。

プリムラ・ポリアンサ、種付け

プリムラ・ポリアンサは苗でも出回るので、苗を購入して栽培する方が失敗が無く簡単ですが、種付けから苦労して栽培した苗が開花する喜びは園芸の醍醐味です。ただし、種を庭などで自家採取した場合、必ずしも綺麗で納得出来る花が咲かないケースもあります。故に、園芸店やホームセンターで購入した場合は、種の袋の写真や文字情報を参考に選ぶので確実です。

又、基本的に種の使用期限は、1年から5年ですが、1年以上経った種は発芽しない事も有るので、使わない方が良いとされています。種付けには、移植まきと直まき、ばらまき、すじまき、点まきなど色々な方法があります。プリムラ・ポリアンサは、プラスチック製の育苗箱の底に大粒の赤玉土敷きピートモスを混ぜた用土を入れて、全体的に湿らせたまき土表面全体に平均的にまきます。

プリムラ・ポリアンサは、種に土をかけると発芽しない事が多いので土を掛けないで、軒下などの半日陰に置き、発芽後に日向に移します。特に種に土を掛け無いプリムラ・ポリアンサは、発芽するまでは用土が乾かない様に水をやり続ける必要があります。

プリムラ・ポリアンサ、発芽後の管理

本葉が出始めたら間引き作業を行いますが、間引きを怠ると芽が密集して日光が当たらずに間伸びした苗になってしまいます。本葉が1枚から2枚の頃にピンセットや箸を使用して3cmから5cm間隔で間引き、葉色の良い苗や形の良い苗、しっかりとした苗を均一に残します。

本葉が2枚から3枚開いて来たら定植したい所ですが、1度移植すると良い苗に育つとされています。定植する前に苗を掘り上げる事で根が切れて、新たに小さな根がたくさん出て来るとされ、より多くの養分や水分を吸い上げ、更にしっかりと根を張り花や茎を支えるとされています。

定植は、本葉が2枚から3枚開けばいつでも可能ですが、間引きと追肥を行っていれば、本葉が4枚から6枚ぐらいまで育ててからでも結構育つので心配は無用です。定植する際には、根が絡まっていないかをしっかりと確認を行い、もし絡まっている様ならばほぐして古い根を整理してから植え付けます。ここで注意するのが、根が乾かない様に素早く作業を行う事です。

定植後の育て方ですが、水は種付けや苗の植え付けの時には用土が乾かない様にたっぷりと何回にも分けて与えていましたが、生育中は過度に水をやらない方がプリムラ・ポリアンサが水を求めて根を深く広く張ろうと頑張るので、丈夫に早く育つとされています。 プリムラ・ポリアンサは、灰色カビ病にかかる事が良くあります。

灰色カビ病に感染した時には、速やかに感染部分を取り除きます。灰色カビ病は、ボトリティスシネレアと言う糸状菌が原因とされ、気温が25度で湿度が高いほど多く発生するとされています。症状としては、花や茎、葉が赤褐色に腐敗した後に灰色のカビに覆われます。予防としては、花がらや枯れ葉をまめに摘み取り清潔に保つと事だとされています。

プリムラ・ポリアンサの歴史

プリムラ・ポリアンサは、ヨーロッパを原産でクリンザクラとも呼ばれています。17世紀には、プリムラの野生種から幾つかの品種が作られています。プリムラ・ポリアンサは、ヨーロッパからアジアを生息地とするプリムラ・ウエリス品種とプリムラ・エラチオール品種とプリムローズとも呼ばれるウルガリス品種の種間交雑種です。

特に有名なプリムラの品種は、ベルギーやイギリスの園芸愛好家によって栽培・育種されたフローリスツ・フラワーの一つに数えられているゴールドレース・ポリアンサです。ゴールドレース・ポリアンサは、18世紀に作出された古典園芸種のプリムラ・ポリアンサです。ゴールドレース・ポリアンサは、15cm程度の花芯を立てて、その先端に花径1.5cm程度の黄色い縁取りの茶褐色の小さな花を咲かせます。

現在では、シルバーレースやゴールドレースレッド、ゴールドレースブラックなどの品種が改良され、総称してレースタイプと呼ばれています。プリムラ・ポリアンサの学名は、種間交雑種に由来しており、ポリアンサの交雑に使われた品種が1950年台代にアメリカで改良された品種であるパシフィック・ジャイアントに関わっているとされています。

プリムラが属するサクラソウ属は、日本の北海道南部から本州や九州の高原や原野に分布しており、江戸時代以降に育種されたサクラソウは、古典園芸植物として扱われています。

プリムラ・ポリアンサの特徴

プリムラは、サクラソウ科サクラソウ属の園芸植物です。サクラソウ科は、北半球の暖帯から寒帯を中心に幅広く分布する被子植物であり、サクラソウ属に属するプリムラは、地下に根茎を有しており全品種が多年草ですが、ヨーロッパに比べて暑い日本の夏を越す事が出来ず、開花後枯れてしまい日本の園芸店では一年草として扱われています。

プリムラは、品種が豊富で似た品種が多いのですが、品種ごとに育て方が少しずつ異なります。プリムラ・マラコイデスは、小さな花がたくさん咲きます。プリムラ・ジュリアンは、日本でポリアンサとコーカサスを原産とする赤紫色の小型種ジュリアエと交配して作られています。その為、ミニポリアンサと呼ばれており、花茎が短く葉の中央に集まって咲く特徴があります。

プリムラは、花色が豊富で寒さに強く、むしろ暖かい室内で観賞すると花付きが悪くなり、徒長してしまうので、霜の当たらない屋外の日当たりと風通しの良い場所で育てます。主に、種から発芽させて増やしますが、夏を越せば株分けでも増やせます。プリムラ・ポリアンサは、11月から5月頃に花茎の先の散形花序に赤や白などの多彩な色の花を咲かせます。

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