アメリカノリノキ‘アナベル’の育て方

育てる環境について
アナベルの育て方や管理方法は他のアジサイとほとんど同じです。樹高は1mほどとあまり高くなりませんが、生育旺盛で多数の枝が出るため大きく育っていくので、庭植えの栽培が適しているといえるでしょう。通常のアジサイは半日陰が向いていますが、アナベルは日当たりのよい場所が向いています。
半日陰でも花が小さくなる程度ですが、できるだけ日なたに植えてあげるとよいでしょう。乾燥には弱いので夏の高温期でも乾燥しないように、水はけのよい土壌を選んでください。日本のアジサイと違う点としては剪定方法をあげることができます。アジサイは気温が18℃以下に下がると花芽が作られるといわれています。
通常のアジサイの場合花びらが散った後も、装飾花であるガクが長く残っているので切るタイミングを逃しがちです。夏以降の剪定では翌年の花芽ができてしまっているので、7月中に剪定を行わないと翌年の花芽まで切り落とすことになってしまうため、花つきが悪くなってしまうのです。
アナベルは新しい枝に春以降の花芽がつくため、冬から春の剪定でも花が咲くというメリットがあります。剪定する場合には2つの方法があり、深く切ると長いシュートが伸びて大きな花房となります。ほとんど切らなければ、前年枝から伸びた短い枝に小さな花房の花が
たくさん咲いていきますので、どちらでもお好みのスタイルを選ばれるとよいでしょう。近年販売されるようになっているピンクの花のアメリカノリノキ"アナベル"は、アメリカのノースカロライナ州立大学が開発した品種です。1回咲きである白いアナベルに対して、
切り戻すと霜が降りるまでくり返し咲く品種となっています。このアジサイは、草状の茎のために雨が降った後に重くなると花茎が曲がったり折れやすくなってしまいます。放置したままにしないで、切り戻してもう一度咲かせてみるとよいでしょう。
種付けや水やり、肥料について
植えつけは、3~4月の葉が出る前に行うか、成長が止まり気温が下がる10~11月に行うとよいでしょう。根鉢の表面を1/3程度くずしてから2~3倍の大きさの植え穴を掘り、植え穴に1/3程度の腐葉土を混合して植えつけていきます。完熟牛ふん堆肥や緩効性化成肥料などの
元肥を混合して植えつけると、より良い環境が得られます。植えつけ後にはたっぷりと水をあげておきましょう。植え付け後1週間程の間はしっかりと水をあげておきます。芽吹いてきた後からの日々の水やりは降雨だけでも充分です。北米産系の庭植えの株は根づいてしまえば、
夏の高温期の極端に乾燥する季節以外は特に水やりは必要ないものです。ただし水を好む植物ですので、乾燥するとてきめんに生育が悪くなります。極端に乾燥する夏の高温期には、朝か夕方に水やりをしておくと万全となるでしょう。夏の高温期には、
株元の周囲を腐葉土などでマルチングしておくと土壌の乾燥を防ぐこともできます。鉢植えにした場合は、土が乾いてからしっかりと水をやります。アナベルは水切れに弱く、地上部に対して鉢が小さいと更に水切れ頻度が増しますので出来れば庭植えにしてあげてください。
冬の肥料は長く効く油かすと骨粉を混ぜたタイプで、夏~初秋の肥料としては速効性の化成肥料を施すのがおすすめです。鉢植えの場合は根がきちきちに張って根づまりを引き起こすので。1年に1回花が終わった7月下旬頃におこないます。
増やし方や害虫について
アジサイは挿し木でふやすことができますが、アナベルは普通のアジサイと同じ挿木方法ではなかなか活着しません。日本のアジサイと同じく若枝で6~7月に挿し木すると、腐りが来て発根が困難になることが多いのです。11~12月に刈り取った挿し木を濡れ新聞などでくるんで乾かないようにしてから、
戸外または冷蔵庫で越冬させておきます。2~3月頃になってから、1時間ほど水揚げした後に挿し木していきましょう。節と節の中間は発根し難いので、挿し穂には2節を利用して下の節から発根させて、上の節から発芽するようにしておきます。
この方法ですとほとんどの場合発根しますので、2ヶ月もすれば定植できるようになるでしょう。太めの軸穂には初年度から花がつくようになります。アジサイの病気としては、うどんこ病、モザイク病に注意するとよいでしょう。うどんこ病は葉にカビが生えて白い粉をふいたようになり、
ひどくなると葉は枯れてしまいます。病気になりやすい環境は、湿度が低い時や枝が茂りすぎている時ですので剪定で風通しをよくして予防します。モザイク病は葉に濃淡ができて葉が変形する病気です。アブラムシが病原菌を媒介するので、見つけ次第退治しておきましょう。
感染した株は治りませんのでモザイク病にかかったものを見つけたら、抜き取って廃棄してください。害虫としては、カミキリムシ、ハダニをあげることができます。カミキリムシの幼虫が幹に入ってしまうと株が枯れてしまいます。株元に木くずを見つけた時は、カミキリムシが侵入しているということです。
穴から針金などをさして、幼虫を捕殺しましょう。ハダニは発生すると葉が茶色に変色、ひどくなると落葉していきます。乾燥に強いけれど水に弱いので、ホースなどで水を強くかけると寄生数を減らせます。薬剤で防除する場合は、高い効果を得るために数種類の薬剤を用意して発生した順に散布していきましょう。
アメリカノリノキ‘アナベル’の歴史
アジサイは初夏を彩る梅雨どきの風物詩として、日本では知らない人がいないほど親しまれてきた花木です。近年では馴染み深い青いアジサイに混じって、白いアジサイが増えてきたように感じている方も多いでしょう。白いアジサイはアメリカノリノキ、
別名セイヨウアジサイの園芸品種であるアナベルという品種です。アジサイの生息地は世界ではアジアや南北アメリカであり、30種ほど自生しているといわれています。アナベルは日本原産ではなく北米原産のハイドランジア・アルボレスケンスの手まり咲きを観賞用として改良したものです。
アメリカノリノキはアメリカアジサイともいわれ、北アメリカ東南部に自生する低木で、原種は装飾花がパラパラとついているだけで目立たないものでした。日本でガクアジサイからアジサイが生まれたように、アメリカノリノキ"アナベラ"は、自生のセイヨウアジサイが園芸品種として改良され生まれたものです。
栽培品種として改良されたアナベルは、手まりのように大きく花開く装飾花がひときわ目立ち、花房は直径30cmまで達する華やかなものになりました。近年は花の華やかさと育てやすさとで園芸ファンの間でもに注目されるようになってきています。
同じ国外の改良品種として、円錐形の花房とカシワのように深く裂けた葉が特徴的なカシワバアジサイも人気を呼んでいます。1981年に発行された園芸誌のアジサイ特集の記事の中に「最近川口市のしばみち本店が、オランダからAnnabelleという品種を導入した」というものがあります。
このことから、日本には約30年前ほど前には既にアナベラが入荷されていたと推測されます。近年では切り戻すことで霜が降りるまで咲くピンク色の花のアナベルも発表されました。草状の茎が雨の後に重くなると曲がったり折れやすいので、その場合は切り戻してもう一度咲かせてみるとよいでしょう。
アメリカノリノキ‘アナベル’の特徴
アメリカノリノキ"アナベル"は大きな手毬状に咲く花が美しいアジサイです。まっ白な細かい花が綺麗で開花期も長く、栽培用途も豊富であることから人気の高い品種となっています。春から伸びた幹の頂端に直径10~20cmほどの花序を形成、装飾花は全体に咲いて花弁状のがく片は3~4枚となります。
花序は薄い緑色で半開きのまま次第に大きくなってから美しい花となり、咲き終わると再び緑色を帯びてきます。あじさい園などでは見ごろの時期には白い絨毯をしきつめたような見事な風景を見ることができます。白く花開く前は緑がかった淡いライムグリーン色、
咲き終わってからはまた色が戻ることから、薄緑から白、白から薄緑へと色の変わる風景も楽しむことができる品種です。アジサイ類の栽培で一番にネックになるのがその耐寒性の弱さともいえますが、アメリカノリノキ"アナベル"は西洋アジサイに属すためにアジサイ類の中でも比較的耐寒性に強い品種となります。
日本のアジサイのほとんどの品種では前年伸びた枝に花芽ができるために、花芽を冬越できないと翌年の花を見ることができないことになってしまいます。アナベルの場合はその年に伸びた枝に花芽ができるために、耐寒性を気にすることなく栽培できるというメリットもあるのです。
同じ理由から、冬でも剪定することができるという特徴もあります。特にアメリカノリノキは、地上部を地際で刈り取っても平気でそのようにした方が樹高が揃うため綺麗に見えるようにもなります。洋花には珍しくアナベルの花は日本的ともいえる馴染み深い色でもあります。日本アジサイと同様に栽培が容易であり、毎年よく開花してくれる親しみやすい品種といえるでしょう。
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