アリアケスミレの育て方

育てる環境について
アリアケスミレは寒さに強い耐寒性がありますが、山野草として扱われることもあるほど、暑さに弱いのが特徴です。そのため栽培する際には夏越しができるかどうかが重要になってきます。スミレ類は日当たりを好むもの、日陰を好むもの、半日陰を好むもの品種によって変わってきますがアリアケスミレは半日陰を好む仲間です。
スミレが咲いているところをよく見てみると明るい人の手が入った草原であることがわかります。またはあぜ道や道路脇、明るい樹木の下など、ほかの草丈のある植物に邪魔されない明るい半日陰を好んで咲いています。そのためほかの植物のように一日中日当たりが良い場所ではなくてもしっかりと育てることができます。
ただし、鉢植えは日向で育てましょう。とはいえ夏の高温期に日照に当てすぎると葉焼けをお越してしまう場合がありますので遮光をして30%程度日光に当てるか、午後には半日陰に移してやるのが良いでしょう。庭植えの場合などは芝生の隙間など日当たりの良い場所に植えてやると株が丈夫に育ちます。
植え替えは毎年行い、夏の終わりから秋にかけてまたは育成開始の2月から3月にかけて、小鉢に植え付けた花は毎年少しずつ大きめの鉢に植え替えていきます。種まきで育てた苗も一回りずつ大きな鉢に植え替えていくことで充実した株を作ることができるようになります。アリアケスミレは庭植えよりも鉢植えで管理したほうが、確実に株を増やしていくことができます。
種付けや水やり、肥料について
アリアケスミレの育て方で注意する点は寒さには強いのですが、夏の暑さには弱いというところです。直射日光が当たりすぎるとかれてしまうことがありますので、地植えよりも鉢植えで管理して夏には日陰に移動させるのが上手な管理のコツです。半日陰を生息地としているのですが基本的に乾いた土地なので、水をやりすぎると根腐れを起こしてしまうので注意が必要です。
表面が乾いたら鉢のそこから水が出るほどたっぷりと与え、次に乾くまでは与えないようにしましょう。ただし夏の高温期はアリアケスミレにはつらい季節となります。朝夕二回の水やりをして時々葉水をやると葉焼けを起こすことなく丈夫に夏を乗り切ってくれます。スミレ類は野に咲く花ですからあまり肥料を必要としません。
しかも窒素の多い肥料を与えすぎると株が軟弱になって腐ってしまうことがあるので、肥料を与えるのであれば窒素分が少なくリン酸やカリウムが多い肥料を与えるようにしましょう。植え付けの際には水はけに注目して用土作りをします。赤玉土と腐葉土をブレンドして水はけを確保して緩行性の粒状肥料を鋤込んで作りましょう。
その後も窒素分の少ない液体肥料を希釈して月一ペースで与え続けると花付きが良くなります。アリアケスミレは山野草としても育てられることがあり、風通しの良い乾いた土地を好みますので、平地の場合には夏の暑さをどう乗り切るかが丈夫な株を育てることができるかという鍵になります。
増やし方や害虫について
アリアケスミレの栽培における増やし方は株分けが最適です。株分けとは株そのものを分けて増やしていく方法ですが、3月から5月の生育期の株、または秋になって休眠期前の株をポットから抜いて行います。分け目を探し、その部分で二つに切り分けますと株を増やしていくことができます。
ただしあまりに細かく分けすぎると養分が足りずにかれてしまうことがありますので注意が必要です。ある程度の大きさで分けること、二つに分ける程度にしておいたほうが無難と言えるでしょう。その際に傷んだ根や腐った根を取り除くことでスッキリさせることで病害虫の予防にもなります。植え付けは赤玉土や鹿沼土、腐葉土を混ぜた用土に植え付けます。
スミレ類は寿命が短い花なのであらかじめ株分けをして株を増やしておくことで株を絶やさずに栽培し続けることができます。またスミレは種を飛ばして増えていく植物ですので、実生でも増やすことができます。地植えにしておくとどんどん種を飛ばし自然に増えていきますので環境さえ合えば庭のいたるところにアリアケスミレを咲かせることができます。
鉢植えの場合には花の咲き終わりまでにカバーをかぶせて種を採取することで、ポットに種を植え付けることができます。種は冷蔵庫で保管して寒さに当てることで発芽しやすくなります。また挿し芽でも増やすことができるので春の若い芽をカットして鹿沼土などにさして管理することでも株を増やすことができます。害虫はツマグロヒョウモンの幼虫がつきやすいのでスプレー式の殺虫剤で対処しましょう。
アリアケスミレの歴史
アリアケスミレはスミレの仲間で本州から四国、九州にまで広く生息地としています。山野草として分類されることもある品種です。スミレの仲間は世界中で愛されているため、各地の伝説や神話にも登場します。中でもギリシア神話にはスミレの花が度々登場することで知られており、美の化身である女神ビーナスが美しい乙女達を嫉妬してスミレに変えたという神話は有名です。
またスミレは度々バラとその美しさを比較され愛されてきました。古代ローマ帝国ではスミレを勝利の花として花冠に織り込んで作り、その冠をかぶりながら盃に酒を満たしてのんだとされています。その盃にもスミレを散りばめて酔い止めのハーブとしても使われていましたので、スミレは盛んに栽培されるようになりました。
時代は進み、フランスの英雄ナポレオンと、その妻のジョセフィーヌはスミレを大変好み、ナポレオンは結婚記念日には妻にスミレの花束を贈ったとされています。後にナポレオンが追放された時にはスミレはナポレオン復興を願う人々のシンボルとなりました。またスミレは宗教にも大きな影響を与えており、
キリスト教ではスミレは聖母マリアの化身ともされて純潔の象徴とされています。このようにヨーロッパ全土で愛されてきたスミレですが日本でも古くから登場しており、日本最古の歌集万葉集にもスミレの花は須美礼久佐として詠み込まれています。うつむき加減で咲くはかなげな姿は日本人の美意識に合ったと言えるでしょう。
アリアケスミレの特徴
アリアケスミレは日本原産の本州から四国、九州に自生するスミレの仲間ですが、山野草としても扱われて盛んに栽培されています。背丈は10センチメートルから15センチメートルほどで高くなく茎が横ばいになっていく特徴があります。葉はすみれ特有のハート型をしており、花色はすみれ色と呼ばれる美しい青紫をしています。
アリアケスミレの場合には若干色が薄くなり、まるで空色のように見える株もあり大変美しい青を持っているのが特徴です。花期は4月から5月で春の野に咲く可憐な花の代表格になっています。左右対称に5つの花びらで構成されていますが、多くのものが一重咲きで、中には華やかな八重咲きのものもあります。
スミレの仲間にはさまざまな色合いがあり、濃い紫の他に白や薄紫、ピンクなど豊富なカラーがあります。同じ種類の植物にパンジーやビオラがあるのですが、こちらの豪華でカラフルな印象の花とは違い、スミレは楚々とした可憐さが魅力になっています。芳香があり、部屋に飾るとえも言われぬ良い香りに包まれますが、
毒性もあるので食べることはできません。神経性の症状や嘔吐をしてしまうケースもありますので注意が必要です。この性質を活かして薬効のあるハーブとして扱われてきた時期もあります。咳止め効果、消炎効果があるとされ利用されてきました。またイライラした時の精神の鎮静効果があるということで就寝時に鎮静剤として入眠のサポートをした経緯もあります。
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