シロヤマブキの育て方

育てる環境について
自生している範囲は狭いものの、全国の植物園や庭園などで見られ、一般家庭でも植栽して育てられていることから、環境に対する順応性は高いとされてします。寒さにも強いので、北海道でも育てられています。植え付けして栽培することもできますし、鉢植えでも栽培は可能です。
環境省のレッドリスト、絶滅危惧IB類(EN)に指定されていますが、ほとんどが観賞用に全国の植物園や庭園などに植え替えをするために伐採されたものであり、自生しているシロヤマブキは、絶滅が危惧されているものの、種としては、このような人工的な植栽により、一定度、保全されているとみなすことができます。
レッドリストに登録されているが故に、環境への適応力が不安になりますが、既に述べたとおり、適応力自体が弱いわけではありません。自生しているシロヤマブキは、石灰岩地に見られますが、石灰岩地が必須というわけではないことが、分布している数多くの植栽先により証明されています。
なぜ、石灰岩地に自生しているのかは、未だに解明はされていません。また、自生している生息地は、岡山県のみとされている説、中国地方全体という説、中国地方の瀬戸内方面のみという説、そして、岡山県、広島県、島根県、香川県、福井県の5件にまたがり、中国地方、四国地方に分布し生息している説があるが、そもそもの自生分であるのか、
または、どこかに自生していたものを分けて人工的に植えられたものが、長い歴史をかけて自生しているように見えるかは定かではなく、いずれにしても、環境に依存しない生育が確認されています。
種付けや水やり、肥料について
一般的には、種付けから行うよりも、苗を購入するケースが多いようで、苗自体は、園芸店からホームセンター、インターネットなどでも購入ができます。植え付けの時期は、秋(10月頃)から、梅雨入りの時期(6月頃)の間で行います。滋養分が豊かな土地、土壌を好み育つため、有機物を多く含む腐葉土やバーク堆肥などを多く用いましょう。
バークチップスというものもありますが、バーク堆肥を発行させ有機物をもたせているので、区別しておくと間違いがありません。専門家により、多少、水やりに関する見解が異なる場合がありますが、自然の雨の量で十分とされる場合と乾燥を嫌うため若干多めの水やりを推奨するケースがありますが、
乾燥しない程度の水やりで、雨があまり降らない日が続いた場合には、感想を避けるために、水を上げると考えておけば、水やりで失敗することはありません。肥料は、寒肥として二月に与えます。この際には、有機物を多く含ませるために、株周りに堆肥と油粕などを若干多めに与えます。日陰を好む性質がありますが、肥沃な土壌であれば、多少の日光があたっても問題ありません。
もちろん、種付けからも育てることが可能ですが、樹木の種付けは扱いが難しく、専ら樹木の種付け専門業者が行うことから、根気とある一定程度の技術が必要です。ただし、知人やツテなどからもらった種を、庭に蒔いていただけで育ったという例も多く存在するため、あまり神経を尖らせない程度に、庭に蒔くか、鉢植えで育ててみるのもよいでしょう。一般的には、種はポリポットに蒔いて発芽を待ちます。春頃芽が出ます。
増やし方や害虫について
株分けと挿し木が一般的な増やし方になります。種から増やす場合には、開花後、数日中に花が落ち、種ができるので、熟すまで待ちます。種子は、黒く光沢がある状態のものが用いられます。株分けの場合、枝を5本くらいずつ株分けし、2月から3月、または、10月から11月頃行います。挿し木の場合は、枝先を5cmほど切り取り使います。
この際には、挿し木用の土壌などを購入することができるので、専用の土を購入できれば使用しましょう。挿し木をしたあとは、たっぷりと水を与えます。レッドリストに追加されている品種とはいえ、その多くの要因として、日本全国に渡る植物鑑賞のための伐採が要因とされていることから、自生しているものは、
今でも昔ながらに自然の中で種を落とし、自然に発芽をして育っています。このことからも、あまり神経を尖らせなくても、自立して育っていく、比較的栽培のしやすい品種です。育て方も、一般的な観賞用の樹木と大きく異なることもなく、大きな病害虫の心配もありません。まれに病害虫がついてしまうケースが報告されていますが、
これもほとんどが他の樹木とかわりはなく、ついてしまった場合には、適切に処置すれば問題ありません。似ているヤマブキを併せて育てる方もいらっしゃり、育て方も似ているので、白と山吹色のグラデーションを作るために、二つの品種を少ない株から始め、増やしていくことで、ガーデニングの楽しみも増えるかもしれません。
シロヤマブキの歴史
江戸城を築城したことで知られる武将、太田道灌は、山吹と併せて語られる人物です。白山吹そのものを示すものは確認されていませんが、山吹を題材にした和歌は有名です。「七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞかなしき」という古歌が兼明親王、後拾遺和歌集に収録されています。
ヤマブキは、バラ科ヤマブキ属、シロヤマブキは、バラ科シロヤマブキ属と属性が異なりますが、同じ場所で生息していることが多く見られており、京都市西京区にある松尾大社の庭園では、揃って鑑賞することができます。また、白山吹の種を、松尾神社では「清めの白山吹」として授与していることも有名です。
古来、万葉集では、山吹を山振と記載していたとされていますが、現在のように、バラ科ヤマブキ属、シロヤマブキ属のような区別がなかった時代には、それが白山吹のことを示すのか、山吹のことを示すのかはわからず、歌に込められた想いを読み取ることにより、どちらの花のことを歌ったのかは、心のなかで想像を膨らませることのみが知る手段と言えます。
また、自然界では岡山(または中国地方)のみに自生していますが、観賞用として愛されており、日本全国の庭園などでみかけることができ、日本庭園に多く用いられていることからも、古くから親しまれてきた存在です。現在では、環境省の定めるところのレッドリスト、絶滅危惧IB類(EN)に指定されており、シロヤマブキの保護に注目が集まっています。
シロヤマブキの特徴
前述のとおり、シロヤマブキは、落葉低木で、バラ科シロヤマブキ属です。山吹色として知られるヤマブキとは別の属ですが、しばしば、「白いヤマブキ(山吹)」と呼ばれるくらいその姿形は似ています。厳密には、シロヤマブキの萼は4枚に対し、ヤマブキ5枚、シロヤマブキが4弁花に対し、ヤマブキは5弁花、シロヤマブキの葉は対生付き、ヤマブキは互生して付くなど細かい違いが見られます。
また、バラ科の植物は通常、5弁花なのに対して、シロヤマブキは、4弁花となっていることも特徴的で、バラ科としては珍しい存在です。更に、バラ科としては、唯一、対生葉を持つことからも、個性的な存在であることがわかります。春頃(4月から5月頃にかけて)開花し、花の色はその名の通り白で、美しく、開花のあとは、果実として痩果が4個付きます。
夏頃には、身は黒く熟します。自生は、国内では岡山県(広くは中国地方)のみとされていますが、中国や朝鮮半島などでも確認されています。また、原産地は日本(または、中国も含む)ですが、アメリカ大陸へ持っていった際には、一部の地域で力強く育ったという結果があります。
木の高さは、1mから2m程度、花の大きさは、2cmから5cmです。シロヤマブキの漢字は、白山吹で、学名は、Rhodotyposscandensです。日本人が間違えそうな白山吹と山吹の関係ですが、山吹の学名は、Kerriajaponicaであり、明確に分かれています。
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