ゲッキツ(Murraya paniculata)の育て方

ゲッキツ(Murraya paniculata)の育て方

奄美大島以南、沖縄から東南アジアにかけてが生息地で、ゲッキツ(月橘)の名は、花が特に月夜に橘のようによく香るからと言われています。

ゲッキツの育て方

ゲッキツは強い日差しを好むので、1年を通して十分に日の当たる場所が理想的です。特に、花や実を楽しみたい場合は直射日光が必要です。春から秋は直射日光に当て、冬は室内のできるだけ日光が当たる暖かい場所に置きます。

耐陰性もあるので、1年を通して室内で栽培することも可能ですが、その場合は必ず窓際など日の射し込む場所に置いてあげましょう。極度に日当たりが悪いと葉を落としてしまうことがあります。室内であまり日を当てない育て方をしていた株を屋外に出す場合は、いきなり直射日光の当たる場所には置いてはいけません。

最初は日当たりのよい窓辺に置くなどして、徐々に強い日射しに慣らしていくようにします。いきなり直射日光にさらされると、葉が焼けてしまうことがあるためです。購入してすぐの株は、これまでどのような育ち方をしてきたかわからないため、いきなり直射日光に当てない方が無難です。

気温が5℃を下回ると葉が枯れてきて落葉しますが、株自体は0℃近くまでは絶えることができます。冬に落葉してしまった場合は、春になって暖かくなったら枝を短く切り戻して、新しい枝を伸ばすようにします。冬にも葉の美しい姿を楽しむには10~15℃の温度を保つことが必要です。

ゲッキツの栽培の注意点

水は、土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。春から秋の気温の高い時期に土の表面が完全に白っぽくカサカサになるまで乾かしてしまうと、水切れを起こして葉が落ちてしまいます。もともと熱帯・亜熱帯原産のため、強い日光もたっぷりの水もどちらも必要です。

日光に当てると土が乾きやすくなるため、水切れを起こさないようにこまめにチェックしましょう。特に、夏に屋外に置いているものは毎日乾き具合を確認します。室内に置いているものは葉にホコリが付きやすくなるため、時々ベランダや浴室に移動させて、頭から株全体に水をかけると葉がきれいになります。

葉のホコリ対策には水拭きする方法もありますが、ゲッキツは葉が小さくて多く、ひとつひとつ拭くのは大変なので、市販の葉面洗浄剤を利用するのもよいでしょう。冬はあまり生長しないので、やや乾かし気味にし、土の表面が乾いてから水やりを行いますが、やはり冬場もカラカラにしすぎないように気を付けましょう。

1年を通して、土を乾き切らさないのがポイントです。特に土は選びませんが、赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜた水はけのよい土が良いでしょう。肥料は生育期の5~10月に、2か月に1回緩効性の固形肥料を与えます。花が咲いている時期は肥料は止めましょう。鉢の底から根が伸びていたり、低温で傷んだ株は5月~8月に植え替えます。

株を鉢から抜いたら古い土を1/3程度落とし、ひと回り大きな鉢に植え付けます。かかりやすい病気には炭そ病があります。葉に黒褐色の小さな斑点ができ、病状が進むと斑点が大きくなり、葉が枯れてきます。病変を見つけたらすぐに取り除き、病気が広がらないようにしましょう。

害虫では、ハダニやカイガラムシの被害が見られます。ハダニは葉の裏に寄生して汁を吸います。葉の表面から見ると、吸われた部分の色が抜けて白っぽい斑点があるように見えます。樹木は被害の進行で枯れることはありませんが、葉の色が褪せて見た目が損なわれるだけでなく、生育が悪くなってしまいます。

ハダニは水に弱いため、定期的に葉の裏に水をまんべんなくかければ数を減らすことができますが、室内で育てている場合は進行が早いため、特に注意が必要です。定期的な散水が難しい時は、駆除用の薬剤を用いて退治します。

カイガラムシは風通しの悪い場所で育てていると発生しやすくなります。風通しの悪さは炭そ病を招きやすい要因でもあるので、枯れた葉を取り除いたり枝が込み過ぎたら剪定するなど、風通しを確保するように気を付けましょう。芽吹く力が強いため、剪定する場合は短めに刈り込んでも大丈夫です。

ゲッキツのふやし方

さし木と種付けでふやすことができますが、さし木の方が簡単で管理もしやすいです。さし木をする場合は、枝を10cmほどの長さに切り、下の方の葉を落とします。上の方の葉も、長ければ先端の1/3ほどを切り落としておきます。葉を落とすのは、そこから水分が逃げるのを防ぐためです。

平たい鉢や箱にバーミキュライトや赤玉土を入れて湿らせ、整えた枝をぐらつかないように何本かさします。およそ1か月で根が出てきます。根が出て新芽の生長が確認できたら、1本ずつビニールポットに植え替えます。ポットの中で十分に成長したら、鉢に植え付けます。

種をまく場合は、8月~10月に行います。よく熟した果実の皮を剥き、種の周囲についているぬるぬるをよく洗い落とします。さし木の時と同じように、平たい鉢や箱に赤玉土などを入れ、種の大きさ程度の深さに埋めます。発芽には1~2か月ほどかかりますので、気長に待ちましょう。小葉が完全に展開したら、鉢に植え付けます。

ゲッキツの歴史

日本での別名にはイヌツゲ、九里香などがあり、英語ではオレンジジャスミン、シルクジャスミンなどと呼ばれます。ジャスミンの名がつきますが、ジャスミンティーなどに使われるジャスミンはモクセイ科であり別種です。

また、英語ではコスメティックバークという異名があり、葉と根は血行促進、鎮静作用、抗炎症作用があると言われ、昔から生薬として親しまれてきました。同じゲッキツ属のオオバゲッキツはカレーリーフとも呼ばれ、葉にスパイシーな香りがあり、南インドやスリランカではカレーなどの料理の香りづけに用いられています。

また別の英語名では、サテンウッドという名もあります。ゲッキツの材は極めて硬く、緻密で絹のような光沢があります。そのため彫刻や、美しさと耐久性とが求められるステッキ、文鎮、印鑑、櫛のほか、刃物や農具の柄、版木などに広く使われてきました。

本来英語で言うサテンウッドは、同じミカン科のインドシュスボクを指しますが、こちらも繻子のような光沢のある美しい材が得られることで知られており、ゲッキツの材も同じような特質を持つため、この名でも呼ばれているのではないかと言われています。熱帯・亜熱帯地域では庭木や生け垣として愛されており、沖縄でもゲッキツの生け垣を見ることができます。

ゲッキツの特徴

ゲッキツはミカン科ゲッキツ属の常緑小高木の柑橘類です。光沢があり、革質の小ぶりの葉を持ち、直径2cmほどで香りのよい、真っ白な花を枝先にたくさん咲かせます。日本では、気温の高い6月~9月に咲くことが多いですが、もともとの原産地である熱帯・亜熱帯地域では季節を問わない四季咲き性に近い植物です。

花の後には、直径1cmほどの赤い実をつけます。実は先端の尖った少し縦長の球形で、長い時間色あせずに美しい姿を見せてくれます。夏に開花した場合は、実が熟すのは冬です。実は食べることができ、生食のほかジャムなどに加工することができます。

光沢のある葉、強い芳香を持つ白い花、熟した美しい赤い果実と、1年中を通して楽しめる、観賞価値の高い植物として人気があります。通常日本で栽培されているのは基準変種のパニクラタで、そのほかには台湾固有種で少し大型のオンファロカルパがあります。

生命力が強く、刈り込んでもよく枝を伸ばすので、熱帯・亜熱帯地域では庭木や生け垣にしたり、きれいな形に刈り込んで庭園樹にしたりして好んで用いられています。日本では一般的に、鉢植えにして花も実も楽しめる観葉植物として人気があります。

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