アニスヒソップの育て方

アニスヒソップの育て方

アニスヒソップはシソ科 カワミドリ属の常緑多年草です。原産は北アメリカから中央アメリカで、森林や比較的降水量の多い高原などを生息地としていました。そのためノースアメリカンミントという別名を持っています。

アニスヒソップの育てる環境について

アニスヒソップは基本的に丈夫な植物ですが、乾燥を嫌います。したがって、どちらかといえば湿り気のある場所のほうが、植えるには適しています。もちろん極端な湿地は避けてください。また土地は肥沃であるに越したことはありませんが、普通の土地でも十分に育てられます。

ただし保水力がある土質を選ぶのが大切です。日陰でも育つことは育つものの、あまり日に当たらないとひょろ長くなり、見た目は良くなりません。とりわけ秋から春にかけては、日当たりの良い場所で育てたいところです。ただし真夏は半日陰になったほうが好ましいようです。

地面が乾燥することは、できるだけ避けなければなりません。水分が足りていれば枯れることはありませんが、夏の強い日差しを浴びすぎると、葉が黄色っぽくなることがあります。もともと冷涼な地域にも分布していた植物なので、寒さには強いほうです。

日本でも温暖な地域では、冬になっても地上部が枯れず、常緑のまま越冬することができます。北日本では地上部は枯れますが、極端な寒冷地でなければ、根は生きていて翌春には復活します。ただし秋まきで芽生えて間もない苗は、真冬には室内に入れる必要があります。

なおアガスターシェの名前で販売されている他の園芸品種は、上記に当てはまらないことがあります。たとえば乾燥を好み、湿り気が多いと花のつきが悪くなったりする品種もあるので、購入するときは確認を忘れないようにしてください。

種付けや水やり、肥料について

アニスヒソップの種は春または秋に蒔きます。春は3~6月ごろ、気温が発芽温度である15度~20度ほどになったら蒔き時です。秋は9~10月ごろが適していますが、寒冷地では冬を越せない可能性があるので、春まきにしたほうが良いでしょう。

ポットに土を入れて浅いくぼみを作り、一粒ずつ重ならないように蒔きます。種が小さくてこぼれやすいので、白い紙に乗せるなどして慎重に蒔いていきましょう。蒔いたら上から軽く土をかぶせ、霧吹きなどで十分に水を与えます。

土が乾かないように注意していれば、約1週間で発芽します。その後も水やりはこまめに行なってください。鉢に蒔くなら5号~7号の素焼きの深鉢が適しています。プランターなら20リットル程の大きさが適当です。アニスヒソップは花期が長いため、多くの花を咲かせるには追肥を与える必要があります。

具体的には6~10月にかけて、1か月に1~2回ほど緩効性の固形肥料を株の周囲に施します。または液体肥料を週1回ほどの割合で施肥します。晩秋には株の周囲の土を耕し、堆肥などを混ぜてやると、翌年には強い芽を出します。寒冷地では晩秋ではなく早春に行なってください。

アニスヒソップは毎年10月ごろ、小さな種を大量に作ります。条件の良い花壇では、種がこぼれて勝手に増えていくこともあります。最近では園芸店のほか、インターネットでも種やポット入りの苗が販売されており、入手しやすくなっています。

アニスヒソップの増やし方や害虫について

発芽したのち本葉が出てきたら、育ちの悪いものは間引きを行ないます。また本葉が数枚に増えたら、30cm間隔で定植します。根を崩さないようにすること、またここでも水を十分に与えることが大切です。アニスヒソップは放っておいても株元から枝分かれして、形が整っていく傾向があります。

さらに形よく仕上げるには、何度か摘心してやります。すると多数の脇芽が伸びて、バランスの良い姿に育ちます。また花穂を切り戻すと、脇芽から花が増えていきます。たくさんの花を見たいときには有効です。なお開花が終わったら、花穂は刈り取ってやります。

秋口からは、やや土を乾燥させてもよく、そのほうが強く育つようです。アニスヒソップは通常は種から育てますが、挿し木や株分けで比較的簡単に増やすこともできます。時期としては春なら4~5月ごろ、秋なら9~10月ごろが適当です。挿し木をするなら香りの良い枝を選ぶと良いでしょう。

ポプリや切花として収穫するなら、花が開いたタイミングで、葉を何枚かつけて花穂ごと切り取ります。ドライフラワーならば、花が開く直前に刈り取ります。またハーブとして使用する葉は、茎ごと切って収穫します。

アニスヒソップは基本的に、病気や害虫への耐性が強い植物なので、それほど心配する必要はありません。ただしハチミツのもとになるだけあって、虫はよく集まります。特にバッタの好物とされているため、食べられないよう注意が必要です。

アニスヒソップの歴史

アニスヒソップはシソ科 カワミドリ属の常緑多年草です。原産は北アメリカから中央アメリカで、森林や比較的降水量の多い高原などを生息地としていました。そのためノースアメリカンミントという別名を持っています。ネイティブアメリカンは、この植物を民間薬として利用していました。

現在でもハーブティーとして用いられ、咳を止めたり痰を切ったりするのに有効とされています。また疲労回復や健胃作用もありますが、妊婦には良くないと言われているので注意してください。後にヨーロッパへ持ち込まれ、ハチミツを採るための植物として盛んに栽培されました。

ヨーロッパのヒソップよりも草丈が高いため、ジャイアントヒソップという別名も生まれています。このほかフェンネルヒソップという呼び名もあります。近縁種のカワミドリは、昔から日本にも自生しています。アニスヒソップよりも長い花穂を持ち、漢方薬として利用されることがあります。

ただし実際には野草とみなされ、あまり栽培されていません。なお属名のカワミドリは学名ではアガスターシェといって、「多くの麦の穂」の意味があります。園芸店などでは、アニスヒソップがアガスターシェの名前で販売されていることもあります。

ただしアガスターシェ属の植物にはいろいろな種類があり、たとえばアウランティアカは橙色の花を咲かせます。これらはそれぞれに特性や育て方が異なっているので、間違えないように注意する必要があります。

アニスヒソップの特徴

アニスヒソップは全体の外見がミントに似ています。また花や葉には、アニスに似た甘く爽やかな芳香があります。ただしアニスはセリ科、アニスヒソップはシソ科なので、まったく別の植物です。葉は三角形で先が尖り、周囲にギザギザがあって、対生しているのが特徴です。

草丈は60cm~100cmほどにまで育ちます。花穂は8cm~15cmと長く、シソ科に共通した唇状の小さな花が、穂の部分にたくさん咲きます。花の色は赤紫~青紫が一般的ですが、白や薄桃色をした品種も栽培されています。白い花を咲かせる品種はアラバスターと呼ばれます。

穂の部分が長持ちするため花期が長く、だいたい5月ごろから10月ごろまでにわたって、次々に花を咲かせます。そのため観賞用としてよく栽培されます。花が美しく香りが良いので、花穂をドライフラワーにしたり、ポプリやフラワーアレンジメントにしたりして楽しむ人も多くいます。

アニスヒソップは観賞用のほか、エディブルフラワーとしてサラダにしたり、カレーなどの薬味に使ったり、ハーブティーとして飲んだりすることもあります。また乾燥させた葉は漢方薬になります。冬には枯れたように見えますが、春になると再び元気に成長を始めます。

育てるのがそれほど難しくなく、放っておいてもそれなりに形がまとまるというメリットがあり、ガーデニング初心者でも扱いやすいほか、ハーブガーデンにもペレニアルガーデンにも向いた植物です。

ハーブの育て方など色々な植物の育て方に興味がある方は下記の記事も凄く参考になります♪
タイトル:キャットミントの育て方

pixta_serastium

セラスチウムの育て方

セラスチウムは、20センチ前後の、あまり大きくない花になります。ですが、上へと伸びるのではなく、どんどんと横に伸びていき...

pixta_gettou

ゲットウの育て方

ゲットウの特徴ですが、南国の植物でショウガ科に属し、葉は生姜の葉と同じ形をしています。葉の幅約15センチ程度、長さが40...

pixta_mokuren

モクレンの育て方

中国南西部が原産地である”モクレン”。日本が原産地だと思っている人も多くいますが実は中国が原産地になります。また中国や日...

pixta_amerikanorinoki

アメリカノリノキ‘アナベル’の育て方

白いアジサイはアメリカノリノキ、別名セイヨウアジサイの園芸品種であるアナベルという品種です。アジサイの生息地は世界ではア...

pixta_yuri

ゆりの育て方

ゆりは日本国であれば古代の時期から存在していました。有名な古事記には神武天皇がゆりを摘んでいた娘に一目惚れして妻にしたと...

pixta_meranpojiumu

メランポジウムの育て方

メランポジウムはメキシコや中央アメリカを原産としていて、その用途は鉢植えや寄せ植え、切り花などに用いられています。なお、...

pixta_sukimia

スキミアの育て方

「スキミア」はミカン科ミヤマシキミ属、日本を原産とする常緑低木の一種です。学名は「シキミア・ジャポニカ」、英名を「スキミ...

pixta_tamashajin

タマシャジンの育て方

タマシャジンとは西アジアからヨーロッパが原産地のキキョウ科フィテウマ属の多年草です。アルプス山脈などの高山地帯の岩場など...

pixta_kridansas

クリダンサスの育て方

クリダンサスの特徴としてはやはり見た目と香りでしょう。鮮やかな黄色の花を咲かせて香りは花のフレグランスとも呼ばれているよ...

pixta_ninniku

ニンニクの育て方

ニンニクの原産地は中央アジアと推定されていますが、すでに紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていたよう...

スポンサーリンク

pixta_toritonia

トリトニアの育て方

トリトニアはアヤメ科トリトニア属の多年草になり、南アフリ...

pixta_kakkouazami

カッコウアザミ(アゲ...

アゲラータムは別名カッコウアザミという和名を持っています...

pixta_abokado

アボカドの種を観葉植...

節約好きな主婦の間で、食べ終わったアボカドの種を観葉植物...

pixta_ibukijakousou

イブキジャコウソウの...

イブキジャコウソウなどのタイムの原産地は南ヨーロッパで、...