アニスヒソップの育て方

アニスヒソップの育てる環境について
アニスヒソップは基本的に丈夫な植物ですが、乾燥を嫌います。したがって、どちらかといえば湿り気のある場所のほうが、植えるには適しています。もちろん極端な湿地は避けてください。また土地は肥沃であるに越したことはありませんが、普通の土地でも十分に育てられます。
ただし保水力がある土質を選ぶのが大切です。日陰でも育つことは育つものの、あまり日に当たらないとひょろ長くなり、見た目は良くなりません。とりわけ秋から春にかけては、日当たりの良い場所で育てたいところです。ただし真夏は半日陰になったほうが好ましいようです。
地面が乾燥することは、できるだけ避けなければなりません。水分が足りていれば枯れることはありませんが、夏の強い日差しを浴びすぎると、葉が黄色っぽくなることがあります。もともと冷涼な地域にも分布していた植物なので、寒さには強いほうです。
日本でも温暖な地域では、冬になっても地上部が枯れず、常緑のまま越冬することができます。北日本では地上部は枯れますが、極端な寒冷地でなければ、根は生きていて翌春には復活します。ただし秋まきで芽生えて間もない苗は、真冬には室内に入れる必要があります。
なおアガスターシェの名前で販売されている他の園芸品種は、上記に当てはまらないことがあります。たとえば乾燥を好み、湿り気が多いと花のつきが悪くなったりする品種もあるので、購入するときは確認を忘れないようにしてください。
種付けや水やり、肥料について
アニスヒソップの種は春または秋に蒔きます。春は3~6月ごろ、気温が発芽温度である15度~20度ほどになったら蒔き時です。秋は9~10月ごろが適していますが、寒冷地では冬を越せない可能性があるので、春まきにしたほうが良いでしょう。
ポットに土を入れて浅いくぼみを作り、一粒ずつ重ならないように蒔きます。種が小さくてこぼれやすいので、白い紙に乗せるなどして慎重に蒔いていきましょう。蒔いたら上から軽く土をかぶせ、霧吹きなどで十分に水を与えます。
土が乾かないように注意していれば、約1週間で発芽します。その後も水やりはこまめに行なってください。鉢に蒔くなら5号~7号の素焼きの深鉢が適しています。プランターなら20リットル程の大きさが適当です。アニスヒソップは花期が長いため、多くの花を咲かせるには追肥を与える必要があります。
具体的には6~10月にかけて、1か月に1~2回ほど緩効性の固形肥料を株の周囲に施します。または液体肥料を週1回ほどの割合で施肥します。晩秋には株の周囲の土を耕し、堆肥などを混ぜてやると、翌年には強い芽を出します。寒冷地では晩秋ではなく早春に行なってください。
アニスヒソップは毎年10月ごろ、小さな種を大量に作ります。条件の良い花壇では、種がこぼれて勝手に増えていくこともあります。最近では園芸店のほか、インターネットでも種やポット入りの苗が販売されており、入手しやすくなっています。
アニスヒソップの増やし方や害虫について
発芽したのち本葉が出てきたら、育ちの悪いものは間引きを行ないます。また本葉が数枚に増えたら、30cm間隔で定植します。根を崩さないようにすること、またここでも水を十分に与えることが大切です。アニスヒソップは放っておいても株元から枝分かれして、形が整っていく傾向があります。
さらに形よく仕上げるには、何度か摘心してやります。すると多数の脇芽が伸びて、バランスの良い姿に育ちます。また花穂を切り戻すと、脇芽から花が増えていきます。たくさんの花を見たいときには有効です。なお開花が終わったら、花穂は刈り取ってやります。
秋口からは、やや土を乾燥させてもよく、そのほうが強く育つようです。アニスヒソップは通常は種から育てますが、挿し木や株分けで比較的簡単に増やすこともできます。時期としては春なら4~5月ごろ、秋なら9~10月ごろが適当です。挿し木をするなら香りの良い枝を選ぶと良いでしょう。
ポプリや切花として収穫するなら、花が開いたタイミングで、葉を何枚かつけて花穂ごと切り取ります。ドライフラワーならば、花が開く直前に刈り取ります。またハーブとして使用する葉は、茎ごと切って収穫します。
アニスヒソップは基本的に、病気や害虫への耐性が強い植物なので、それほど心配する必要はありません。ただしハチミツのもとになるだけあって、虫はよく集まります。特にバッタの好物とされているため、食べられないよう注意が必要です。
アニスヒソップの歴史
アニスヒソップはシソ科 カワミドリ属の常緑多年草です。原産は北アメリカから中央アメリカで、森林や比較的降水量の多い高原などを生息地としていました。そのためノースアメリカンミントという別名を持っています。ネイティブアメリカンは、この植物を民間薬として利用していました。
現在でもハーブティーとして用いられ、咳を止めたり痰を切ったりするのに有効とされています。また疲労回復や健胃作用もありますが、妊婦には良くないと言われているので注意してください。後にヨーロッパへ持ち込まれ、ハチミツを採るための植物として盛んに栽培されました。
ヨーロッパのヒソップよりも草丈が高いため、ジャイアントヒソップという別名も生まれています。このほかフェンネルヒソップという呼び名もあります。近縁種のカワミドリは、昔から日本にも自生しています。アニスヒソップよりも長い花穂を持ち、漢方薬として利用されることがあります。
ただし実際には野草とみなされ、あまり栽培されていません。なお属名のカワミドリは学名ではアガスターシェといって、「多くの麦の穂」の意味があります。園芸店などでは、アニスヒソップがアガスターシェの名前で販売されていることもあります。
ただしアガスターシェ属の植物にはいろいろな種類があり、たとえばアウランティアカは橙色の花を咲かせます。これらはそれぞれに特性や育て方が異なっているので、間違えないように注意する必要があります。
アニスヒソップの特徴
アニスヒソップは全体の外見がミントに似ています。また花や葉には、アニスに似た甘く爽やかな芳香があります。ただしアニスはセリ科、アニスヒソップはシソ科なので、まったく別の植物です。葉は三角形で先が尖り、周囲にギザギザがあって、対生しているのが特徴です。
草丈は60cm~100cmほどにまで育ちます。花穂は8cm~15cmと長く、シソ科に共通した唇状の小さな花が、穂の部分にたくさん咲きます。花の色は赤紫~青紫が一般的ですが、白や薄桃色をした品種も栽培されています。白い花を咲かせる品種はアラバスターと呼ばれます。
穂の部分が長持ちするため花期が長く、だいたい5月ごろから10月ごろまでにわたって、次々に花を咲かせます。そのため観賞用としてよく栽培されます。花が美しく香りが良いので、花穂をドライフラワーにしたり、ポプリやフラワーアレンジメントにしたりして楽しむ人も多くいます。
アニスヒソップは観賞用のほか、エディブルフラワーとしてサラダにしたり、カレーなどの薬味に使ったり、ハーブティーとして飲んだりすることもあります。また乾燥させた葉は漢方薬になります。冬には枯れたように見えますが、春になると再び元気に成長を始めます。
育てるのがそれほど難しくなく、放っておいてもそれなりに形がまとまるというメリットがあり、ガーデニング初心者でも扱いやすいほか、ハーブガーデンにもペレニアルガーデンにも向いた植物です。
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