エゴノキの育て方

エゴノキの育て方

日本全土と中国、朝鮮半島を生息地とするエゴノキは、古くから日本人の生活になじみ深い樹木です。チシャノキやロクロギなどの別名もあり、その花をめでた大伴家持の歌が万葉集におさめられているほど、いにしえの時代から多くの日本人に親しまれてきました。

エゴノキの育てる環境について

エゴノキは日本原産の樹木ですので、基本的には特別な栽培方法を必要としません。日本の山野に普通に生えている樹木ということもあり、園芸初心者でも比較的簡単に育てることができるでしょう。育てる環境はできるだけ日当たりの良いところが適しています。

ただし高温と乾燥には弱いのでそのあたりは注意が必要です。幹が若い頃は曲がりやすいこともあるので、樹形をできるだけ美しく保ちたいのであれば、風にあまり当たらないところに植えておいたほうが無難です。特に園芸品種として人気のピンクチャイムなどは、

幹が曲がると印象も変わってしまいますので、支柱を添えるなどして風に備えておいたほうがいいでしょう。樹木の多くは鉢植えでも楽しめますが、エゴノキの場合は庭に植えるのが一般的です。庭に植えた場合は基本的には自然の雨だけで十分です。

耐寒性についても十分備わっており、北海道のような寒い地域でも南部では栽培が可能となっています。樹形の保ち方については個々のセンスによりますが、自然樹形を楽しみたいのであれば剪定は必要最低限でいいでしょう。剪定に適している時期は落葉の時期で、

切る際は枝先でなく枝の根元から切るようにします。この木の魅力は開放感のある広がりをもった枝の姿にありますので、伸びすぎたり大きくなりすぎている枝や、他の絵だと重なり合ってしまっている不要な枝だけを切ってやり、自然のままの野趣あふれる樹形を楽しむようにします。

種付けや水やり、肥料について

エゴノキの植え付けは3月頃、もしくは11月から12月にかけての晩秋の頃におこないます。耐寒性の優れている樹木ですが、1月や2月など寒さの厳しい時期に植え付けをおこなうのは避けなければいけません。乾燥を嫌う樹木なので、

植え付け場所の用土は腐葉土やたい肥などを混ぜ込んで水持ちのいい土地にしておきましょう。樹木の周りに土手を作り、水が貯まりやすくしておくのもいい方法です。また幹が不必要に曲がってしまうのを避けるためにも、植え付けの際には支柱を建てておいたほうが無難です。

水やりについては、庭に地植えした場合は根付いてしまえば自然の降雨だけで十分です。夏に日照りが続いて土が乾燥している場合にのみ水を与えてあげましょう。鉢植えで育てるのはあまりメジャーな方法ではありませんが、もし鉢植えで育てるのであれば水やりはしっかり行わなければいけません。

特に落葉前の春から秋にかけては、水を切らしてしまうと枝先から枯れてしまいますので注意が必要です。肥料についてもさほど気にする必要はありません。冬の間に寒肥として有機性の肥料を、花が終わった7月頃に樹の勢いを弱めないための緩行性の肥料を与える程度です。

水やりや施肥のタイミングなど多少の注意点もありますが、もともと日本に古くから自生している樹木ですので、基本的には育て方に神経質になる必要はありません。極度の乾燥にさえ気をつけておけば、園芸初心者でも比較的問題なく育てることができるでしょう。

エゴノキの増やし方や害虫について

エゴノキは挿し木によって増やすことができます。挿し木は3月頃、花の生育が始まる前におこないます。また開花後におこなってもかまいません。挿し木に適しているのは前年に伸びた太い枝です。15センチほどの長さに切り、水揚げをしてから清潔な用土に挿します。

また種から育てることも可能です。種から育てる場合は秋に採取してすぐに蒔きます。樹木によっては湿度を保った状態で保存し、春に気温が暖かくなってから種まきをするものもありますが、この樹木の場合は種をとってからすぐに蒔くのが基本です。

エゴノキは病気に強い樹木ですが、害虫は発生することがあります。この樹木を好む害虫としてはカイガラムシやテッポウムシです。カイガラムシは体長2、3ミリから1センチほどの小さな虫です。大量に発生すると新しい枝や葉が出づらくなります。

またカイガラムシの排せつ物がスス病の原因となることもあり、この病気になると光合成が阻害され、生育に悪影響を与えます。テッポウムシはカミキリムシの幼虫で、幹の内部を食い荒らしてしまいます。こちらも樹木の生育に大きな影響をあたえますので、見つけ次第に駆除することが重要です。

なおこの樹木特有のエゴノネコアシという虫こぶも害虫の働きによるものです。アブラムシの一種がこの樹木に寄生することで虫こぶが作られます。この虫は樹皮の間で越冬することから、虫こぶを予防したいのであればあらかじめ粗皮を削り落しておくのも一つの方法です。

エゴノキの歴史

日本全土と中国、朝鮮半島を生息地とするエゴノキは、古くから日本人の生活になじみ深い樹木です。チシャノキやロクロギなどの別名もあり、その花をめでた大伴家持の歌が万葉集におさめられているほど、いにしえの時代から多くの日本人に親しまれてきました。

エゴノキの名称の由来は果皮が有毒で、えぐみがあることからきているとされています。現在は禁止されていますが、昔はこの果皮をすりつぶしたものを川に流し、その毒によって麻痺してしまった魚を捕獲する漁がおこなわれていたほどです。

また木材は粘りがあり、加工しやすいことから、ろくろで加工しておもちゃや傘の柄が制作されていました。エゴノキの別名であるロクロギは、このろくろを利用して加工する木であることからきています。原産地である日本の山野には、このエゴノキは当たり前のように存在する樹木でした。

しかし近年、この樹木になる可憐な白い花や、美しい緑の葉に注目が集まり、庭木としても広く利用されるようになりました。もともとの自然樹形が野趣に富み、あまり剪定する必要がないことも人気の秘密となっています。庭木としての需要の高まりを受けて、

現在ではさまざまな園芸品種も開発されています。エゴノキの花は基本的には白色ですが、品種改良によりピンクの花を咲かすようになったピンクチャイムやヒメエゴノキ、ホソバエゴノキなどが販売されており、庭の雰囲気に合わせた品種を選ぶことができるようになっています。

エゴノキの特徴

エゴノキは5月から6月頃にかけて小さな白い花を咲かせます。品種によりピンク色をした花を咲かせるものもありますが、釣鐘状の花が枝中に広がる様はなかなか壮観な景色です。木の幹自体はさほど太くはならず、樹形は野趣に富む面白い形になることもあります。

ですから自然な雰囲気を持たせたい庭には適している樹木といえます。またエゴノキは実の形状もユニークです。エゴノキの果実といえば、その果皮に含まれている有毒成分が良く知られていますが、果実そのものは1センチぐらいの白い卵型をしています。

エゴノキの英名はジャパニーズスノーベルといいますが、これは果実の形状が由来になっているようです。エゴノキは新緑も美しく、白い花とのコントラストが見事です。葉の形状は楕円形で、その縁には細かい鋸歯の形状をしています。晩秋になるとこの葉が黄色く紅葉します。

さらにエゴノキは虫こぶができることでもよく知られています。梅雨時期になるとみられるこの虫こぶは、エゴノネコアシアブラムシという虫が寄生することによって作られているもので、一般的にはエゴノネコアシと呼ばれています。

猫の足を連想させる形をしていることからこの名前が付けられていますが、名前が示すとおりなかなかユニークな形をしており、この虫こぶもエゴノキの魅力の一つとなっています。花や葉、果実に虫こぶとさまざまな魅力が一つの樹木に詰まっているのが、エゴノキの人気の秘密となっているのでしょう。

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